コンサルティングアクチュアリーとして一人前になりたい!その思いから、企業年金専門のコンサルティング会社に飛び込んだ


―大手生命保険会社から、企業年金・退職金分野に特化したコンサルティング会社、IICパートナーズへ。それまでの経歴を教えてください。

大学3年時にアクチュアリーという職種を知り、「数学の知識を生かせる適職だ」と生命保険会社への入社を決めました。生命保険会社の場合、アクチュアリーの仕事は保険分野と年金分野に分かれますが、よりお客様に近い立場にある年金分野に魅力を感じ、希望通り企業年金の部署に配属されました。実際、先輩アクチュアリーの仕事ぶりを見ていると、直接お客様とコミュニケーションを取ったり訪問する機会も多く、その場に同席させてもらうこともありましたね。自分としても数理計算の仕事だけでなく、お客さまと一緒に年金や退職金に関する課題に向き合い、コンサルタントとして助言できるようになりたいという思いが強く、企業年金分野に特化してコンサルティングを行っているIICパートナーズへの転職を決意しました。

―大手企業からの転職に、不安はありましたか。

それはとくにありませんでした。IICパートナーズは、企業年金・退職金に関する経営課題を解決するコンサルティング会社なので、いわば企業年金のプロフェッショナル集団。その環境で実績をつめれば、アクチュアリーとして一人前になれると考えていました。
転職を決めたのは社会人4年目で、アクチュアリー正会員になるための2次試験の結果待ちのとき。「今落ちてもいつかは正会員になれるだろう」と楽観的で、正会員になったから動いた、ということでもないんです。会社の看板がなくても認められるアクチュアリーになりたい、そんな気持ちが強かったですね。

―IICパートナーズでの仕事内容を教えてください。

入社して2年半の東京勤務を経て、2006年9月から大阪事務所の立ち上げに携わりました。その頃は、適格退職年金制度が廃止され、新しい企業年金制度へ移行していた時期だったので、移行に向けたコンサルティング業務を行っていました。大阪にもお客さまが増えていたこともあり、「(地元に近い)関西で仕事がしたい」との念願が叶うことになったのですが、当初の事務所はレンタルオフィスで、メンバーは2人だけ。新規顧客開拓のため、DMの発送作業もすべて自分たちでやっていました。
現在はメンバーも7人に増え、マネジメントをしながら、退職給付会計業務や、退職給付制度を設計するコンサルティング業務などを担当しています。退職給付会計は、企業の毎年の決算に必ず必要になる数字ですし、その内容によって業績に大きな影響が出てくることもあります。私たちの出す数字が、お客さま先でどれほど重要な意味を持つのかを理解しておくことは必須。どのように計算し、なぜこの結果が出たのかを、ノンアクチュアリーのお客さまに正確に説明する責任があります。専門的な用語をそのまま使うだけでは伝わりません。お客様の状況やニーズを把握した上で、相手の立場になりコミュニケーションをとることが求められます。

―現在の仕事の魅力とは何ですか。

年金アクチュアリーの最大の魅力は、お客さまと直接接する機会があるところだと思います。お客様から高い評価を得たり、直接感謝の言葉をいただくことが、大きなやりがいにつながっています。
また、当社に関して言えば、比較的小規模な会社なので、自分のパフォーマンス、仕事のクオリティがそのまま会社の業績に直結します。貢献度が目に見えることは、私にとって大きなモチベーションとなっています。
前職の大手生命保険会社は、新人に対する教育や業務フローが体系化されており、数理の実務的な経験を着実に積み重ねることができました。土台ができた上で当社に入ったことは非常によかったと思っています。

―これからアクチュアリーを目指す方へのメッセージをお願いします。

一口にアクチュアリーと言っても、企業年金、生命保険、損害保険といった異なる分野があり、また立場や環境によっても求められることは違います。私も当初は「数学の知識が生かせる」ということからアクチュアリーの仕事に興味をもったわけですが、経験を重ねるにつれ、仕事を通じてどうお客様や社会に貢献していくかということに重みを感じています。自分のもっている知識や素養をベースにしつつ、いろいろなことに関心をもって経験を積み、社会に役立つ存在となれるような道を自ら選び取ってもらいたいと思います。

**プロフィール**

向井洋平さん
株式会社IICパートナーズ。常務取締役 大阪事務所長。日本アクチュアリー会正会員、年金数理人、日本証券アナリスト協会検定会員。京都大学理学部卒業後、大手生命保険会社に入社。2004年に転職し、2006年より現職。

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