新入社員の心得(アクチュアリー編)


このコラムを執筆しているのは3月ですが、社会人デビューを直前に控え、期待と不安が入り混じった気持ちで最後の“春休み”を謳歌している人も多いかもしれません。

これまでの自分自身の経験と反省を踏まえながら、アクチュアリーを目指す新入社員にとって、入社後に必要なスキルをアドバイスしましょう。

キーワードは、“10個のC”です!

1. communication
コミュニケーション能力は最も重要な要素でしょう。特に、アクチュアリーは極めて専門性が高いため、ともすれば、専門用語を羅列して相手を説き伏せてしまい、自分自身がいかなる時でも絶対正しいという“傲慢な”態度がついつい出てしまいがちです。常に、謙虚な態度でコミュニケーションを図ることが、まず第一歩でしょう。

2. compliance
 法令順守も重要な要素です。特に、プロとして仕事をする以上は、関連する法令等の知識はもちろんのこと、勤務先の内規等にも習熟する必要があります。これくらいだったら許容範囲かなと考えるのではなく、この程度であったとしても、やらない方がマシかなというくらいの気持ち、つまり、石橋をたたいて引き返すくらいの勇気を持って行動すれば、大きく間違うことはないでしょう。

3. computer
 Word、Excelはもちろん、PowerPointやAccessなどのITスキルは使えて当たり前の時代です。アクチュアリーとしては、理論と実践の両方のスキルを身につけてこそ、初めて、プロとしての一人前の仕事ができるのです。

4. common sense
 先日、公益社団法人日本アクチュアリー会の例会で、主務官庁の方が大変興味深いコメントをされておりました。行政官として、時には、自分の専門分野外の案件に対しても、何らかのジャッジメントをしなければならない時が多々あるそうです。そして、それらの事案が最もストレスを感じる瞬間だそうです。しかし、専門分野外だからといって、自分の判断が間違って良いという訳にはいきませんので、最終的には自分自身の常識や良心に照らして、決断を下すとのことでした。アクチュアリーである前に、一人の社会人としての良識を忘れずに維持しつつけることが、意外と成功への近道なのかもしれません。

5. commit
 お金を頂いている以上、仕事を自分が引き受けたからには、責任を持って最後までやり抜く力も必要です。しかし、部下や組織の育成のためには、時には心を鬼にして他人に仕事を割り振ることも重要です。年を取るほど、管理職の立場が近づいてきて、その結果、誰かに仕事を割り振らずに全て自分で抱え込んでしまうと、悲惨な目に合う可能性が高くなりますので気を付けましょう。

6. compromise
 筆者が新入社員の頃、人事部門の研修担当者が『いくら100点の解答を提出しても、制限時間内でなければ0点と同じ。たとえ、40点の解答であったとしても、制限時間内に提出することが重要。』とコメントされていたことを鮮明に覚えています。良い意味で、“妥協”することが求められる場面も少なくないと思います。

7. combination
 「上司と部下」、「株主と経営陣」、「役員と従業員」、「試験講座の講師と受講生」、「保険会社と契約者」など、色々な“コンビ”で会社は構成されています。時には、「敵と味方」なんてことも(笑)
常に切磋琢磨しながら、結果的に相手を巻き込んで全員が成長できるような関係が構築できれば、良い組み合わせと言えるでしょう。

8. comfortable
 快適な職場環境づくりも重要です。特に、新入社員に対しては、若さと情熱を期待して、より良い職場環境づくりに貢献してもらうことが期待されているかもしれません。一方、成長するにつれて、自分より立場が弱い人々に対しては、これでもかというくらいに優しく接することができれば、結果的に自分自身も成長できるように思います。
新入社員もいつかは管理職になることもあるでしょう。その際は、是非、脇の下や首の後ろから加齢臭を醸しだすだけではなく、より良い職場雰囲気を醸し出せるように心がけて頂けることを期待しています。

9. compare
 「どうして、あの会社の商品はヒットするのだろう?」、「なぜ、同期の●●さんは、同期トップで役員になれたのだろう?」など、常に何かを比較することが多々あります。逆に、常に比較探究する気持ちを忘れないようにすれば、自ずと、自らの目指すべき道が見えてくるのだろうと思います。
 激しい劣等感に苛まれることを、逆に奇貨として、自分を信じて常に比較する人生も意外と悪くないものですよ。

10. comment
 アクチュアリーという保険数理のプロ(上述の行政官曰く、リスク管理のプロ)として、決して評論家になってはいけません。常に、当事者意識をしっかりともって、明確な根拠とともに意見表明できるような人材を目指すべきです。理屈っぽいと言われてこそ、一人前のアクチュアリーと言えるかもしれません。

いかがでしたか?

ここまで読まれた方は、ある法則に気づかれるかもしれません。それは、見出しの英単語がすべて「com」で始まっているという点です。英語に詳しい方はご存じだと思いますが、英単語の接頭語の1つである「com」は「con」などの接頭語と同様に、「共に」という意味があるようです。まさに、会社と自分が「共に」幸せになる秘訣が詰まった英単語族という感じですね。

ところで、”10”個の”C”を並べてみると、locに似た表示になりますね。

英語のLOCには、“limiting conditions for operation(運用に対する制約条件)”の略語という意味もあるようです。

上述の内容は、あくまでも参考程度の位置づけと考えてください。

くれぐれも、意識しすぎて新入社員の成長に対する“制約条件”とならないことを祈っています(笑)

(ペンネーム:活用算方)

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