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大谷幸宏
会計人に求められる「気づく力」

2013.12.23

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税理士・会計士として関与先企業を深く見ていると、その会社の事業がどのような強みによって回っているのかということがありありと見えてくることがあります。それは往々にして、財務諸表の数字だけではわからないものです。
 
最近、会計業界で「事業価値の源泉」という言葉をよく聞くようになりました。これは、事業の付加価値、生産性や他社との競争力を生み出す代わりのきかない要素のことを指します。何が源泉として機能しているのかの見極めが経営分析では求められます。
 
事業価値の源泉は、とくに事業再生の現場で枢要な概念です。再生の現場では、この源泉を特定し、磨き上げ、それ以外の部分をスリム化することで財務環境を健全化し、融資などの際の信頼性を高められるかどうかが命運を分けます。
 
今年は、いわゆるモラトリアム法が終了しました。そして、新たな支援策として、税理士や会計士等が、中小企業の「認定支援機関」として経営改善計画の策定を支援し、その会社が融資・補助金等の優遇を受けられるようになる制度が整備されました。事業価値の源泉というキーワードがしきりに聞かれるようになったのも、会計人にそれを見極める役割が期待されているからこそでしょう。
 
中小企業の場合、この源泉となるものが少なく、限定的、また属人的になる傾向があります。社員が持つ技術やノウハウだけではなく、人柄などが価値を生み出していることもあります。二代目社長の場合は、先代から引き継いだ人脈だけで会社を維持している例も多いようです。
 
そして、経営分析やコンサルティングを得意とする会計士・税理士が口を揃えて言うのが、経営者自身が自社の事業価値の源泉に気づいていない場合が多いということです。そのため、リストラやコストカットで本当に価値のある部分を切り落としてしまい、中長期的に事業が継続できなくなる事例もあるようです。
 
あるコンサルタントは「意地の悪い見方ですが、社長が大威張りで自慢する部分以外のところに、事業価値の源泉を見つける瞬間がコンサルティングの醍醐味」と言います。目に見えない部分だからこそ、それを指摘することがビジネスになるのです。
 
顧問料の低価格化や会計業務のコモディティ化などが話題になり、付加価値の高い業務を模索している会計業界にとって、この「気づく力」が事業価値の源泉になるということです。
 
会計事務所として顧問先を獲得する際、あるいは勤務会計士・税理士の転職においても、中小企業の経営改善と同じように目に見えない自身の強みに気づき、その能力を磨き上げ、実績とともにアピールする方策が重要性を増してくるのではないでしょうか。
(文:VRPスタッフ)

大谷幸宏 プロフィール

大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。

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