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大谷幸宏
記帳代行が、税理士の情報ビジネスになる?

2014.01.10

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長らく、税理士の主要な業務となってきたのが記帳代行。しかしパソコン用会計ソフトの登場による零細企業の自計化の流れと、それに伴う同業者との低価格競争に見舞われています。今後も、税理士にとって記帳代行が重要な存在であり続けることは間違いないでしょうが、将来的に見通しが明るい分野とは言い難いものがあります。
 
これは今も昔も変わらないことですが、記帳代行は税理士・会計士の独占業務ではありません。資格を保持していない個人や、事業会社でも業務として行うことは可能です。記帳代行の低価格化は、自計化による需要の減少もさることながら、会計ソフトの発達で記帳代行が深い専門知識や大きな事務所でなくても行えるビジネスとなったことによる、供給過多も背景にあるようです。
 
税理士の中には、記帳代行業務を、他事業者と値引き合戦をしながら獲得していく競争から降りて、新規顧客を取ることをやめるなど少しずつ手放し、付加価値の高い専門業務にシフトする戦略を進めている方が多くなってきているようです。
 
ある税理士は、税理士法人を設立してから、個人事業時代に主に行っていた中小企業・個人事業の記帳代行を含めた顧問業務から、M&Aや事業再編、デューデリジェンス、IPO支援など、専門性の高いコンサル業務を幅広く行う方向に大きく舵を切る方針。しかし、税務申告業務は大切な税理士の独占業務でもあり、収益の柱です。自計化を行っている企業への税務顧問はもちろん、税務申告のみのスポット業務は継続することにしました。
 
その際、今まで培ってきた記帳代行のノウハウを、商品としてなんとか使えないかと考えたその税理士。記帳代行業務の具体的な方法を、独立開業のノウハウとして、行政書士などの他士業、若手のコンサルタント、経理担当経験者などにレクチャーするセミナーを開催することを思いつきました。
 
セミナー後も指定の会計ソフトの使い方や、仕訳に関する相談を電話で受けるなどフォローアップも行い、関係を継続。受講生が記帳代行を行った事業者に、決算・申告が必要となった際、紹介を受けるようになったそうです。決算業務のみのスポット対応には、記帳した人との意思疎通がある程度あると、ミスが少なく、スムーズに税務も進みます。また、その事業者が今後成長すれば、税務顧問が必要となることも期待できるでしょう。
 
いくら記帳代行が独占業務ではないといっても、税理士・会計士と一般の方では、会計記帳に関する知見には大きく差があります。実際に会計をすることではなく、実はその業務知識そのものが、他の人にとって喉から手が出るほど欲しいものなのかもしれません。
(文:VRPスタッフ)

大谷幸宏 プロフィール

大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。

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