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大谷幸宏
資金繰り指導は、「顔の見える距離」で

2014.04.28

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会計に関する情報収集の一環として、インターネットで金融機関等の情報を調べることが多いのですが、ネット閲覧のキャッシュが残っているからなのか、ポータルサイトに消費者金融の広告が自動的に表示されるようになっていることです。幸い、私はそのような金融機関を利用する必要がないので「釣られる」こともないのですが、このような広告の効果はかなり高いだろうな、と感じます。
消費者金融の業界では、利息制限法の厳格適用により、昔のように約30%の利息を取ることはなくなりました。現在の利息は、最大でも18%程度となっています。とはいえ、18%の利益を事業により出すことは至難の業。税理士の皆さんは、顧問先企業がそのような高利のお金を借りることを積極的に勧める人はいないでしょう。
 
消費者金融の利用があると、返済の困難のみならず、信用情報が残り、銀行等の融資が圧倒的に不利になります。ほかの金融機関を丁寧に探せば、資金繰りの可能性はあるにもかかわらず、消費者金融を安易に使うことは厳に慎まなければなりません。
 
とはいえ、理想と現実には乖離があります。
利息制限法すら守らない「街金」は論外としても、繋ぎ資金としてほかに選択肢がなく、しかも近い未来にキャッシュができることが確実である場合(というのも少ないかもしれませんが)、「借りるな」と強く言える人も少ないのではないでしょうか。
ある税理士の方が、独立を考えている会社員からこのような相談を受けたそうです。その方にある日、長年使っていたクレジットカードの会社から、「使い道自由」のカードローンの優遇金利の案内が来たそうです。クレジットカードを日常的に使っており、支払いの状況も完璧。そのためか、優遇利息は10%を少し超える程度でした。
 
事業者ローンとしても悪い利息ではないため「会社員のうちに、カードを作っておいたほうがいいでしょうか」との相談です。その税理士は普段、顧問先に「消費者金融からは絶対に借りないでください」と指導している方で、答えに迷ったそうです。税理士の回答は、「作ることについては反対しませんが、資金繰りについては普段から数字の変化に気を付け、融資については一人で判断しないでください」ということ。
カードローンは、ATMで誰とも顔を合わせなくてもお金が借りられます。そのような「手軽さ」が安易な利用につながっています。金利そのものよりも、そのような姿勢にこそ問題があります。日本人はとかく、ファイナンスの知識に欠けると言われています。子どもの頃からの金融教育の必要性も叫ばれています。
 
会計人は、事業者とフェイストゥフェイスで、キャッシュフローについて助言、指導できる存在です。資金繰りの考え方、利用できる金融機関、制度などの知識を提供することこそが求められているのだと思います。
(文:VRPスタッフ)

大谷幸宏 プロフィール

大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。

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