アクチュアリー試験の直前対策(生保数理)


いよいよ、令和初のアクチュアリー試験が近付いてきましたが、受験生の皆さまにおかれましては、ラストスパートの時期に突入されていることと思います。

そこで、今回のコラムでは、アクチュアリー試験のうち、生保数理に関する直前対策を幾つかご紹介したいと思います。

1.重要公式

以下の3つの公式は、ほぼ毎年出題されていますので、必ず覚えるようにしましょう。

(1)死力から生存率 \(_nP_x=e^{-\int^n_0 u_{x+1}dt}\) ← 右辺の“マイナス”を忘れない
   ※ \(_nP_x\)は、変数\(n\)に関する単調減少関数であることに注意。

(2)養老保険の一時払純保険料 \(A_{x:{\overline{\small{\ n\ }|}}}=1-d\ddot{a}_{x:{\overline{\small{\ n\ }|}}}\) ← \(n\rightarrow\infty\)とすれば終身保険

(3)養老保険の責任準備金 \(_tV_{x:{\overline{\small{\ n\ }|}}}=1-\frac{\ddot{a}_{x+t:{\overline{\small{\ n-t\ }|}}}}{\ddot{a}_{x:\overline{\small{\ n\ }|}}}\) ← 保険料全期払込の場合
   ※ (イ)(ウ)は、保険金分割払い(転化回数\(k>1\))の場合も成立。

また、教科書の練習問題や過去問を繰り返し解くたびに、これらの公式以外にも比較的多く出題される公式(例.責任準備金の再帰式、生命年金現価の隣接二項間の公式など)が身についてきますので、ご自身のノートや単語帳などに公式をまとめておくのも大変効果的です。

2.教科書のゴシック体

生保数理の教科書には、ゴシック体で書かれた部分が幾つかあります。

例えば、教科書(下巻)152ページ上から6行目には『死亡・就業不能脱退残存表』が、また、教科書(下巻)155ページ一番下の行には『就業不能者生命表』が登場します。

つまり、教科書(下巻)第13章には、2つの残存表(注:生命表も残存表の一種)が登場します。そして、残存表ではiが2つ、生命表ではiが1つとなりますので、例えば、『分子の最後の項にはiが1つ』(←教科書(下巻)176ページ問題(4)(6)など)という感じでポイントを押さえると良いでしょう。

このように、ゴシック体の部分をざっと目を通すことで、教科書の全体像や重要ポイントをチェックすることができるでしょう。

3.最近の傾向

過去問のリメイク(例.死亡率などの前提条件を変えて同じ公式を用いて解く問題、記述式の問題を穴埋め形式に変換した問題など)が増えつつあるようにみえます。

例えば、2018年度の問題3(2)は昭和45年度(保険数学Ⅰ)問題6の、また、平成26年度の問題3(1)は平成4年度(保険数学2)問題2のリメイクです。

したがって、余力があれば、日本アクチュアリー会ホームページで公開されている過去問(昭和37年度以降が公開)について、最低でも、一通りは目を通しておくことが合格の秘訣と言えるかもしれません。

なお、資格試験要領には、第1次試験の出題範囲は教科書に限定することが明記されていますので、教科書の本文はもちろん、教科書の練習問題(計286問あります!)も一通りは目を通しておくと良いでしょう。

さらに、余力があれば、教科書の『深い部分』にも目を通しておけば万全でしょう。

具体的には、平成29年度の問題2(1)は多重脱退表に関する問題ですが、B脱退として『副集団から主集団に移る』ことが従来の問題と大きく異なります。(筆者の知る限り、『副集団から主集団への移動』を伴う出題はこれは初めてだと思います。)

実際、教科書(下巻)152ページ上から5~6行目にかけて当該移動は取り上げないことが明記されており、過去問でも当該移動は考えない前提で出題されています。

では、平成29年度の問題2(1)は教科書を逸脱しているのでしょうか?

答えはNoです。

実際、教科書(上巻)97ページ下から3行目にある公式

\[q=\frac{D}{A+\frac{N}{2}-\frac{W}{2}}\]

をみれば、(絶対死亡率である)qを表す右辺の『分母』に、集団に対する流入(この場合は新契約)部分が『+N/2』 と表示されますので、上記の『副集団から主集団への移動』を絶対脱退率の『分母』で符号をマイナス(=流出)からプラス(=流入)に変えたものと解釈すれば、(教科書(下巻)第13章ではなく)教科書(上巻)第3章にこの考え方が登場しているため、教科書を逸脱してはいないと考えることもできます。

4.年金数理人会試験の活用

毎年10月上旬に年金数理人会試験が行われていますが、その中で『基礎数理Ⅱ』という科目が、アクチュアリー試験の『生保数理』に近い内容になっています。

また、例年11月末頃には同試験の公式解答が同会ホームページ
http://www.jscpa.or.jp/become/test/past/index.html
で公開されています。

アクチュアリー試験の実施が12月上旬頃ですので、この年金数理人会試験を『腕試し問題』として活用される受験生も少なくないかもしれませんが、年金数理人会の公式解答は解答のみ(選択肢の記号のみなど)で、解答の過程は示されていない点に注意してください。

例えば、平成29年度問題1(11)は、死亡・就業不能脱退残存表からの出題ですが、生保数理の教科書や過去問にも登場しておらず、なかなか手ごわい問題といえます。

このような問題の解き方が知りたい場合には、正会員に質問したり、アクチュアリー試験の勉強会などの機会を活用されると良いでしょう。

いかがでしたか。アクチュアリー試験は直前になればなるほど、緊張感からか、なかなか集中できない日々が続くと思います。上記ポイントをしっかりと押さえて、良い結果が得られることを祈念しております。

(ペンネーム:活用算方)

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