教科書の読み方


いよいよ新年度がスタートしましたが、アクチュアリーを目指す新社会人の方々は、仕事と勉強の両立をどのように実現させていくのかに頭を悩ませる日々が続いていらっしゃるかもしれません。
そこで今回のコラムでは、アクチュアリー試験を含めた「教科書の読み方」について、筆者の経験を交えながら効果的と思われるポイントをいくつかご紹介いたしましょう。

1.インベーダーゲームとの類似
Excelのマクロと格闘していた大昔、アクチュアリー会のムーンライトセミナーでご一緒させていただいた方からご紹介いただけた書籍に、とても興味深い図が掲載されています。(幸い、アマゾンのホームページにて無料で閲覧できます。)
一斉風靡した、「インベーダーゲーム」の攻略法にも似ていますね。(最下段から横一列に倒して、最上段の敵は気にしない。ただし、端っこの縦列をすべて倒せば、敵の左右移動時間がかかるので、攻撃時間が稼げる等)

【出典】『ExcelVBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本(秀和システム)』立山秀利 (著)https://www.amazon.co.jp/gp/product/4798017973?ie=UTF8&tag=hotapapa-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4798017973

2.全体像を把握する、目次を持ち歩く
ほとんどの教科書は「章」ごとに内容が分かれているため、これらの章の順序を頭に入れてしまえば学習がスムーズに捗ります。そのためには、教科書の「目次」部分だけをコピーして常に持ち歩くとよいでしょう。
もちろん、スマホやタブレットで目次部分を撮影しても構いませんが、軽くて直ぐに一覧できる点は紙媒体の方が便利ですね。

3.各論にこだわりすぎない
例えば、生保数理を初めて学習される場合、「養老保険、保険料年払(全期払込)、(死亡)保険金年度末払」の3条件に限定して、純保険料、純保険料式責任準備金、営業保険料、(全期)チルメル式責任準備金の順番で学習した上で、
1)養老保険以外の商品種類
2)保険料月払
3)死亡保険金即時払
の場合にどうなるかを学習すれば、最短コースで学習できると思います。
しかし、純保険料の細かい部分にこだわりすぎると、教科書がなかなか進まず、学習意欲が失われてしまうことがありますので注意しましょう。

4.どんな論点も一言で表す
例えば、払済保険と延長保険の違いは?と聞かれた場合、保険期間を変えないのか、保険金額を変えないのかという感じで、どんな論点も一言で表すように心がけると良いでしょう。
このような思考回路に慣れてくれば、「延長保険の方が払済保険よりも経験死亡率は高い。なぜなら、保険料不要で払済保険よりも死亡保険金額が高いから。」という感じで、制度の違いによる効果も理解できるようになるでしょう。

5.対の概念で考える
1つの事項を暗記する際、対の概念をまとめて覚えれば2倍の速さで学習できます。
例えば、英単語を暗記する際、反対語(例.深い⇔浅い、濃い⇔薄い、甘い⇔辛いなど)や同時に登場することが多い単語(例.狐とタヌキ、象とキリンなど)をペアで暗記することが考えられます。
また、最近話題の「経済価値ベース」に対する反対語としては、「償却原価ベース」などが挙げられますが、これは、債券価格を評価することをイメージすると理解しやすいかもしれませんね。
ちなみに、米国の幼児向け絵本で基礎単語を学習するものを書店で見つけたのですが、水たまりの絵に「深い」水たまりと「浅い」水たまり絵がそれぞれ、deep, shallowと合わせて隣接して表示されていたのがとても印象的でした。

6.問題と模範解答と読みながら教科書を辞書的に用いる
大学受験の頃、参考書選びで、「索引のない参考書は買うな!」という貴重なアドバイスを先輩から頂けました。
理由は単純で、意味の分からない単語を探す時間が短くて済むためです。
解けない過去問に出会った場合、大抵は、問題で考えているモデルや使用する公式などが頭に入っていないことが少なくありませんので、たとえ最初は遠回りに思えても、索引から単語などを探してから、教科書の本文を読むようにすれば、いつの間にか、「過去法=教科書」、「教科書=辞書」というスタイルが確立できることでしょう。

7.飛ばし読み(例.以前のコラムで太字のみを列挙←生保数理)
初学者の方には勇気が必要かもしれませんが、教科書を“適度に読み飛ばす”のも有効な読み方かもしれません。
例えば、286個ある「ゴシック体」(2020年05月14日 (木)合格点が取れるレベルとは(生保数理編)参照)を追いかけて、教科書を一気に読んでしまえば、精神衛生上も大きな安心感が得られるかもしれませんね。

いかがでしたか。教科書の読み方にも様々あり、かつ、個人差もかなり多そうなので、是非、皆様の好きな読み方が見つかることを願っております。

(ペンネーム:活用算方)

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