気になるニュース(2022年6月)


5月に引き続き6月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。

1.がん新療法

アメリカの臨床試験で、参加者全員のがんが消失する結果が確認された模様です。
がん専門医からも「前代未聞」の効果との評価がなされましたが、特定の直腸がんの患者が対象のようです。
従来のがん治療法では身体機能の一部を喪失するリスクが伴う可能性が高いものの、本件は投薬のみで寛解とのことですので、患者さんにとってもまさに朗報ですね。

日本と異なり、いわゆる国民皆保険制度が充実していない米国では、通院などに備えて、民間の医療保険に事前加入することが通例ですが、このようながん治療代にも使えるような医療保険の普及を期待したいですね。
また、治療法そのものも、他のがんへの適用可能性が検討されているようですので、今回の研究次第では、幅広い応用が期待されます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f59ccb2dd9b6503c21ca9d92da4ef3a8e3d7fa24

2.USBメモリ紛失

最近、ワイドショーなどを賑わせていたニュースは誤振込事件でしたが、6月下旬になって、急遽、USBメモリ紛失の事件が大々的に報じられました。
特に、地方自治体による記者会見で、パスワードの桁数が暴露されたこともあり、同自治体も情報セキュリティー意識の欠如を露呈する結果となりました。
「悪例として最高の手本」との酷評ですが、全市民46万人分の個人情報が入ったUSBメモリを許可なく持ち出して紛失するという、何ともお粗末な状況ですね。
もちろん、ただ単に批判して終わるのではなく、当方を含めたすべての人々が、今一度、情報セキュリティーについて考え直す良いきっかけを与えてくれたようにも思えます。

なお、大昔、筆者が監査法人に途中入所した際、これでもかといわんばかりに、様々な動画研修を受講いたしました。
特に、定番の“クライアント先の情報が入ったカバンを持ったまま居酒屋でお酒を飲んでかばんを紛失するシーン”が幾度となく登場しましたが、こうして、現実の出来事に遭遇すると、やはり、研修内容の周知徹底の必要性を痛感いたします。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2206/23/news202.html

3.ネットカフェの取り組み

最近、「快活CLUB」を街のあちこちで見かけるようになりました。
紳士服で有名なAOKIが仕掛け人のようですが、新型コロナウイルス感染症でリモートワークの推進やビジネスカジュアルによるスーツ需要の低迷の打開策として多角的経営の寒天は大いに見習いたいところです。
「PCなし席」と「レシートの工夫」が『成功のカギ』のようですが、先日の大宮での立てこもり事件など、ネットカフェにも、しっかりした『カギ』を具備して欲しいですね。

特に、ネットカフェでは当たり前の「PC」が邪魔というお客さまの声を真摯に受け止めて、椅子と机のみのシンプルな部屋を設計することは、図書館で机だけのスペースを設置して勉強用に利用することの応用形とも考えられます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f3e6c9c0ef02e8407162f2e621cd52cdb1eb15b1

4.居住地は全国自由

イーロン・マスク氏と真逆の対応かもしれませんが、国内3万人を原則テレワークにする制度がNTTで7月から導入される模様です。
具体的には、主要7社従業員の半分に当たる約3万人を原則テレワークとして、勤務場所は自宅やサテライトオフィスなどにするようです。
特に注目されるのは、出社が必要になった場合の交通費の支給上限はなく、しかも、飛行機も利用できる点です。これで、安心して全国津々浦々に拠点を構えることができますね。

多様な働き方を認めることで優秀人材の獲得につなげる狙いもあるようですが、是非、多くの会社に波及することを期待したいです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC162KR0W2A610C2000000/

5.新たな休暇制度

資金も労力もかからずにインフラ整備も不要で従業員に喜ばれる夢のような福利厚生が2016年に生命保険会社で創設された模様です。
特に、従業員のみならず会社にとってもメリットが大きい点が注目されます。
そもそも、定年制度がない金融機関も珍しいのですが、子育て世代がメイン層という若い会社ならではの発想ですね。
ボランティア休暇や、堂々と(笑)取得できる部活動休暇も設ける辺りは、他社の追随が難しいかもしれません。
個人的には、ナイチンゲールファンドという特別休暇も気になるところです。
https://biz-journal.jp/2022/06/post_302647.html

6.学び直し手当

幸い、2021年は台風などの自然災害も比較的少なく、損害保険業界の決算はおおむね好調であった模様ですが、好調な決算を背景に社員の処遇改善を図る動きがあるようです。
具体的には、毎月2万円や一時金3万円など、総額を考えるとかなり大きな金額が動くそうです。

ただし、単純な生活費の上乗せではなく、社内外の研修参加費や書籍購入費など学び直しに充てることが念頭に置かれている模様です。
いずれにせよ、コロナ後の社会を見据えて、優秀な人材を確保するとともに、副業にも繋がるような事前準備を会社がバックアップして、第二・第三のコロナ登場でも従業員が生活に困らないようにすることも、会社として重要な役割なのかもしれません。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB26BHD0W2A520C2000000/

7.副業制限なら理由公表

従前では、金融機関を始めとして、多くの企業では職務専念義務という名の下で副業を禁ずる社内規程が多く存在していたように思えます。
一方、平日はともかく、休日を利用したボランティア活動など、多種多様な働き方を推奨する動きも徐々に拡大し、ついに、メガバンクなどの大手金融機関でも副業を認める動きが出始めました。

このような流れを踏まえ、厚生労働省が、従業員に副業を認める条件などの公表を企業に対して求める方針を定める模様です。
特に注目されるのは、“副業を制限する場合はその理由を含めて開示するよう促す”という点で、原則、副業を認めることを尊重するように指導するものと考えられます。
今後、学生や転職検討中の方々においては、“副業のしやすさ”が就職・転職の際の判断材料になりそうですね。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA15BUS0V10C22A6000000/
8.営業職員の経費負担

生命保険会社で社会人デビューを果たせた筆者は、新人研修時に、
1) 営業職員は個人事業主という位置づけであり、生命保険会社の職員ではない
2) 内勤(総合職、一般職)および外務(営業職員)をまとめた労働組合を組成
という2点を人事部門の方が強調されていた記憶があります。
このため、本件記事を拝読した際、“正規雇用の外交員として働いている”という部分にかなり違和感を抱きました。もっとも、30年くらい前の環境と現在とは異なっているかもしれませんが。

営業活動に必要な品物をすべて会社が用意するという考え方も分からなくもないですが、少なくとも、個人事業主としての立場を尊重するのであれば、ある程度の自己負担はやむを得ないようにも思います。(←そもそも、自己負担という言葉の響きも微妙です)
とはいえ、大昔、死亡保険金を年金払いする課税関係について、相続税と所得税の二重課税問題も、とあるお客さまからの訴えでルールが変更されたという事例もありますので、今後の訴訟の行方が気になります。

ちなみに、筆者は仕事で使う名刺を自己負担しておりました。内勤でしたので、それほど名刺交換する機会は多くありませんでしたが、懇親会の席上でその旨を他社の方にお伝えすると、“信じられない”との回答をいただきました。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ5V5T4XQ5VULFA00Z.html

9.不正請求排除

コロナ給付金詐欺のニュースが連日報道されていますが、特に、国税局職員が関与した案件は驚きと同時に、以前、生命保険会社の保険金部門からアドバイスいただけた、“制度精通者ほど悪事に加担しやすい(=保険金詐欺の犯罪者ほど約款を熟読する)”とのコメントが蘇りました。
人工知能(AI)を使って火災保険の不正請求を排除する仕組みをつくるとのコメントが日本損害保険協会会長から行われた模様ですが、モラルリスクとの闘いは、生命保険についても業界共通の課題ですね。

南海トラフ地震などが懸念される中、同保険被災者に不正請求をさせて保険金の一部を手数料として請求する手口もあるため、悪質業者のデータベースを共有して支払い時の確認を促すとのことですが、是非、生命保険協会ともご連携いただき、同データベースの共有化を推進していただきたいと切に願います。
https://www.zakzak.co.jp/article/20220615-3IZNBVQOANL75KMSJODQUCH3WA/

いかがでしたか。今回は、引き続きウクライナ情勢や、誤振込問題、データ紛失、中東地震など、新型コロナウイルス感染症とは異なるニュースが多かったような気がします。一方、海外入国者の緩和措置など、同ウイルス感染者数の下げ止まりも懸念されます。いずれにせよ、多種多様なニュースが引き続き注目されますね。

(ペンネーム:活用算方)

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