データサイエンティスト検定 合格へのストラテジー


アクチュアリー試験を終え、今後の目標に迷っている人は多いかもしれません。そんな試験癖がついている人にオススメなのが、データサイエンティスト検定リテラシーレベル(以下、DS検定)です。

 

1.なぜデータサイエンティスト?

 

保険や年金、金融に限らず、現在のビジネス世界では、大量のデータが生成されています。このデータを適切に収集、分析、活用することができれば、ビジネスの成功に重要な役割を果たすことができます。

 

データサイエンティストは、ビジネス上の問題を特定し、データを分析して解決策を提供する必要があります。アクチュアリーは、リスクを特定し、データを分析して解決策を提供するの比べると、データサイエンティストが対処するビジネス上の課題は多様です。

 

データサイエンスは、現在の市場において非常に需要が高い分野の1つです。多くの企業がデータサイエンティストを雇用し、その需要は今後も高まることが予想されています。データサイエンスは、クリエイティブな仕事でもあります。データを分析し、問題を解決するために、新しいアイデアやアプローチを考え出す必要があります。データサイエンスは、ビジネス、医療、政治、教育など、様々な分野で応用が可能です。自分の興味のある分野において、データサイエンスを活用することができるかもしれません。

 

アクチュアリーがDS検定を受けるメリットは、以下のような点が挙げられます。

 

  • スキルアップ:DS検定は、データサイエンティストとしての基礎的な知識と実務能力を証明する試験であり、受験することでデータサイエンスのスキルを向上させることができます。
  • 転職・キャリアアップの可能性:DS検定は、データサイエンティストとしての基礎的な知識と実務能力を証明する試験であり、転職やキャリアアップに役立つことがあります。
  • 信頼性の向上:アクチュアリーとしての業務において、データ解析や統計解析のスキルが必要になる場合があります。DS検定を取得することで、そのスキルを証明することができ、信頼性の向上につながるかもしれません。
  • 知識の幅・深さの拡大:DS検定は、データサイエンスの幅広い知識を網羅しており、アクチュアリーとしての業務にも役立つ知識を取得することができます。また、データサイエンティストとしての視点を身につけることで、アクチュアリーの業務に新たな視点を加えることもできます。

 

2.DS検定はどんな試験?

 

DS検定は、データサイエンティストとして必要な基礎的な知識や実務能力を証明する試験です。その出題範囲は、データサイエンティスト協会が公開するスキルチェックリストと、数理・データサイエンス・AIのモデルカリキュラムから総合的に決定されています。DS検定は、見習いレベルを対象としています。この試験に合格すると、データサイエンスの分野で働くために必要な基礎的なスキルを持っていることを証明することができます。

 

スキルチェックリストはデータサイエンス力、データエンジニア力、ビジネス力から構成されます。

 

2.1 データサイエンス力

データサイエンス力とは、数学や統計学などの基礎知識から、データ処理や分析手法、機械学習や自然言語処理などの応用技術まで、幅広い知識を有し、データに対する正しい理解や洞察力を持ち、問題解決のための適切な手法を選択できる能力を指します。また、データのクレンジングや加工、特徴量エンジニアリングやモデルの評価など、データ分析のプロセス全体を俯瞰するメタ思考も必要となります。

 

アクチュアリー受験生であれば、数学や統計学について苦戦することは少ないと思います。データ分析のプロセス全体を俯瞰するスキルは、アクチュアリーの実務でも重要な役割を果たします。また、自然言語処理や画像認識、音声認識などの分野に関する知識は、直接的には必要ないかもしれませんが、技術の進歩は非常に速く、俯瞰することで、何ができるようになっているのかを理解することができます。これらのスキルは、アクチュアリー以外の分野でも役立つ内容です。

 

2.2 データエンジニア力

「データエンジニア力」とは、システムやアーキテクチャの設計からデータの抽出・収集・加工、プログラミング、セキュリティ、自動化技術(AutoML、MLOps、AIOps)まで、データ処理に必要な幅広い知識やスキルのことです。クラウドや分散技術、SQL、アルゴリズム、攻撃と防御手法、暗号化技術、認証、ソース管理など、多岐にわたります。

 

アクチュアリーもデータを扱う仕事であり、データエンジニア力はアクチュアリーにとっても必要なスキルになるかもしれません。アクチュアリーは、膨大なデータを扱います。データエンジニア力があると、アクチュアリーはより効率的にデータを収集・解析し、意思決定に活かすことができます。また、保険商品の設計や財務プランニングにおいて、データエンジニアの考え方を取り入れることで、より効果的な保険商品を開発することができるかもしれません。

 

2.3 ビジネス力

「ビジネス力」とは、ビジネスマインドやコンプライアンス、契約などのスキルに加え、構造化能力や言語化能力、ストーリーライン構成能力、ドキュメンテーション能力、説明能力、AI活用検討、KPIやスコーピングなどのデータ入手から分析アプローチ設計、データ理解、意味の抽出や洞察、評価・改善の仕組み構築、プロジェクト発足、リソースマネジメント、リスクマネジメントなどのスキルを含めた能力のことを指します。

 

アクチュアリーは保険や金融分野で働く専門家であり、ビジネス力は彼らが持つべき重要なスキルの1つです。アクチュアリーは数学や統計学の専門家として知られていますが、ビジネス力がなければデータ分析の結果をビジネスに活かすことができません。ビジネス力は、アクチュアリーがビジネスの課題を理解し、問題解決のための適切な分析を行うために必要なスキルです。また、ビジネス力があるアクチュアリーは、結果をわかりやすく説明し、ビジネスに適用するためのプロセスを整理することができます。そのため、アクチュアリーはビジネス力を養うことで、自身のキャリアの発展や組織内でのリーダーシップを発揮することができます。

 

モデルカリキュラムは「社会におけるデータ・AI利活用」「データリテラシー」「データ・AI利活用における留意事項」の3つから成ります。

 

2.4 社会におけるデータ・AI利活用

現代社会において、ビッグデータ、IoT、AI、ロボットのようなテクノロジーが急速に普及しており、データ量が増加し、計算機の処理性能が向上することで、第4次産業革命やSociety 5.0といったデータ駆動型社会の実現が期待されています。さまざまな領域でデータ・AIが活用されており、研究開発、製造、物流、販売、マーケティング、サービス、公共などの分野で利用されています。また、予測やグルーピング、言語処理、関係性の可視化などのデータ解析技術や、シェアリングエコノミー、商品のレコメンデーションなどの新しいビジネスモデルの登場など、データ・AI利活用の最新動向が注目されています。

 

2.5 データリテラシー

本セクションでは、データを分析するために必要な基本的な統計概念について説明されています。データの分布や代表値、誤差の扱い、相関と因果、標本抽出方法、正しい統計情報の理解などについて説明されています。また、データの図表表現や比較、不適切なグラフ表現、優れた可視化事例などについても紹介されています。最後に、データの集計方法について説明されています。和や平均を求めることで、データの全体像を把握することができます。これらの基本的な統計概念を理解することは、データを読む、説明する、扱うために欠かせない知識です。

 

データ分析に必要な基本的な統計概念を理解することは、アクチュアリーにとって非常に重要です。データの分布や代表値、誤差の扱い、相関と因果、標本抽出方法、正しい統計情報の理解などについての知識は、保険商品のリスク評価や価格設定において必要不可欠なものとなります。また、データの可視化についても理解が必要であり、優れたグラフ表現の例を学ぶことで、データの見え方を改善することができます。これらの統計概念についての知識は、アクチュアリーがデータ分析において正確な情報を得るために必要なものです。

 

2.6 データ・AI利活用における留意事項

「3-1.データ・AIを扱う上での留意事項」では、個人情報保護やGDPRに関する問題点やオプトアウトの権利について説明しています。GDPRはEUで施行されているデータ保護規則であり、個人データに関する取り扱いに関する規定を定めています。また、オプトアウトは、個人が自分の情報を提供しないことを選択できる権利です。

「3-2.データ・AIを守る上での留意事項」では、情報セキュリティに関する問題点や、匿名加工情報、暗号化、パスワードなどの対策について説明しています。情報セキュリティには、機密性、完全性、可用性があり、これらを確保することが重要です。また、匿名加工情報や暗号化、パスワードを利用することで、悪意ある情報搾取から情報を守ることができます。しかし、情報漏洩等によるセキュリティ事故は実際に起こり得ることであり、それに関する事例も紹介されています。

 

3.DS検定は難しい試験なのか?

DS検定の受験対象者は以下のような方を想定しています。

 

  • データサイエンティスト初学者
  • これからデータサイエンティストを目指すビジネスパーソン
  • データサイエンティストに興味を持つ大学生や専門学生など

 

試験は春と秋の年2回行われます。試験時間は90分で、出題形式はCBTの多肢選択式で、出題数は約90問です。1問を解くのに1分しかないため、問題集で問題のレベルを確認し、1問1分以内に解けるように十分な準備をすることが重要です。試験中に余裕を持って見直すためにも、タイムマネジメントが必要です。

 

第1回(2021年9月実施)の合格率は約66%、正答率約80%が合格ラインの目安、第2回(2022年6月実施)の合格率は約50%、正答率約80%が合格ラインの目安でした。アクチュアリー試験の合格率が10%~30%であることを考えると、2倍程度の合格率ですね。正答率が80%と高いのが特徴的で、幅広い知識を習得し、弱点を作らないことが合格に近づくための秘訣とされています。

 

第3回のDS検定を受けた感触からすると、アクチュアリー正会員であれば、1ヶ月程度の準備期間で合格水準に達することができると思います。前提知識によって学習時間は異なりますが、数十時間といったところでしょうか。

 

DS検定は、次のステップに進むための良い目標となることでしょう。

 

(ペンネーム:ceraverse)

あわせて読みたい ―関連記事―