有給消化の仕方-その2-効果的に交渉しよう


この記事では、その1に続き、転職にまつわるtipsをご紹介いたします。

転職は内定をとるまでも大変ですが、この記事では「内定取った後」にフォーカスして、有給取得に関する苦労について書こうと思います。
特に、最終出社日については上司達とモメにモメました。

以下、私の経験とともに
「転職の際に有給休暇をいかにとるか」
「いかに有利に転職するか」
について紹介いたします。

転職にまつわる苦労話、全2回の第2弾をご覧ください。

目次

1.有給を最大限活用するために
2.コンプライアンス部署を有効活用しよう
3.有給休暇のマネタイズ手法
4.泣き寝入りしないために
5.おまけ(ボーナスを巡る攻防)

1.有給を最大限活用するために

だいたいのケースでは、退職日のいっぱいいっぱいまで業務にあたるよう指示があると思います。
それでは貯まりに貯まった有給が使い切れませんよね?そこで、外部の力を活用してみましょう。
退職を巡る上司からの命令や打ち合わせの場などで、口頭で言われたことは逐一メモを取るようにしてください。
あとあとのエビデンスにもなりますし、録音アプリをつかってスマホ録音するのが最善です。

あなたの会社にはコンプライアンスに関する部署はありませんか?
なかったとしても、外部の相談窓口はありませんか?
一度、こういった相談機関に一報してみることをお勧めします。

自分の会社にもコンプラ部はあったのですが、正直使い物にならないとあきらめていました。

ところが退職に関する相談の時は効果てきめんでした。
人事部が強い権限を持っている会社は多いと思いますが、コンプラ経由で人事を動かせば、上司の上司にすぐ号令が飛ぶはずです。

ただし、普通に相談しただけではなかなかコンプラは動いてくれません。
動くだけの「理由」が必要になります。

2.コンプライアンス部署を有効活用しよう

さて、どの程度のネタであれば、コンプラや人事は動くのでしょうか??
私の経験からは「(業務付与が)労働基準法違反でないか」がポイントと思います。

私の事例を以下、紹介します。

私「上司が退職に際して有給をとらせてくれないのだが、なんとかなりませんか?」

コンプラ「何か、違反行為はありませんか?こちらとしても、何か明確な違反行為や妨害行為がないと、動くのは難しいです。」

私「んー、違反とまでは言えないかもしれませんが、こなしきれないような大量の業務付与を受けています。通常半年くらいかかる業務量を、のこり2ヵ月でやり切れ、といった内容ですが、これは違反行為に当たりませんか??」

コンプラ「それは問題ですね、そのほかに何かやり取りはありませんか?」

私「やり切ることを前提で押し付けられた印象です。とにかくこなしてくれと。」

コンプラ「わかりました、人事を通して、部長に確認します」

翌日、上司と面談。

面談を経て、退職日前の2週間は有給とすることが確定しました。

通常であれば、これでめでたしめでたし、のように思いますが、私の場合、有給がまだまだ大量に余ってまして、どうやっても(カミングアウト翌日から消化にしても)使い切れないことが明白でした。

いかに取得するか?という側面のほか、最後の方ではもう一段深めて「金銭による清算」を提案しました。
それは、「有給の買い取り」です。

3.有給休暇のマネタイズ手法

「有給の買い取り」は会社によっては就業規則に明記されるようですが、まだまだマイナーですし、ほとんどの企業には浸透していません。

特に自分のいる保険業界は昔からの文化で、身を粉にして働くのが美徳となってしまっています。
そこで自分は視点をかえて「退職金」からアプローチしました。

たいていの会社には「退職金規程」があると思います。
勤続年数に応じて、給料の◯◯を支給する、といった内容が多いです(年金数理を思い出しましょう)。

そこにこんな一文がありませんか??


「会社が特に認めた場合、退職金を別途加算することがある」

これは俗にいう「功労加算」と呼ばれるもので、会社にとって都合のいい解釈が可能です。
まあ、ほとんどの場合は支給されません。

ここで「功労加算を準用して、退職金の上乗せとしての有給休暇の買い取りが実現できるのではないか?」
と考えました。

以下、再び人事とのやりとりです:

私「会社の規程には功労加算があり、私の有給は絶対に余ることが確定している。月給1か月分とかでもよいので、このルールを適用して、有給の買い取りを実現してほしい」

人事「過去に事例がないので難しいが、部門長と相談する」

私「了解です」

後日、部長と面談。

部長「有給の件は人事から聞いた。どれくらい余っているのかは把握してないが、会社ルールでの退職金の積み増しは難しいと考えている。」

私「ん、そうですか、では有給の消化は難しいですね」

部長「それで提案なんだが、買取はできないが、休暇の前倒しは対応できると思う。業務内容を整理して、最終出社を明日にでもできないか」

私「ちょうど引継もほぼおわりに近いので大丈夫です」

その後、上司とも追加で面談し、この日の翌日が最終出社となりました。

これにて無事に(?)最終出社を早め、有給をもぎ取りましたが、今思い返すと、退職金の積み増しについてはもう少し粘ってもよかったかなと思っています。
それでも未消化の有給は30日ほどありました、、、

当時は弁護士の知り合いもいなかったので半分泣き寝入りになったのですが、2か月近く休みがとれたので、当時の会社の中でもかなり珍しい事例だったと思います。

ちなみに今振り返ると、未消化分の請求に関しては(話をぶり返すことになりますが)、労基(労働基準監督署)に駆け込むのも一つの手だったのかもしれません。
ですが当時は初めての転職活動・退職交渉だったのでそこまで頭も身体も向かず、30日以上の有給は消滅することとなりました。

4.泣き寝入りしないために

お伝えしたいのは、きちんとルールを活用して、交渉すべきところは交渉しましょう、という姿勢です。

これは仕事でも同様ですよね。

時季変更権などはあまり知られていませんが、法的にはかなり強力なので、勤め人の基礎知識として、知っておく必要があると思います。

また、アクチュアリーの大部分は管理職まで出世する方が多いはずです。
こうなると、

「部下が転職するので、引き止めて欲しい」

といった業務が振ってくる可能性が十分にあります。
そのときに、お互いに不幸にならないよう、労働基準法等々の基本的な知識はもっておくべきだと思います。

最後に、おまけをどうぞ。
転職するときに役立つかもしれません。

5.おまけ(ボーナスを巡る攻防)

たいていの企業では夏・冬にボーナスを支給することが多いと思います。
その支給日前に退職する場合、基本的にそのボーナスを受け取ることができません。

実際、私は退職日の翌日がボーナス支給日で、受け取ることができませんでした。
退職して自営業になるとかですと、もはや打つ手はないのかもしれませんが、転職の場合、もらい損ねたボーナスをうまく回収できる可能性があります。

以下では、私自身の経験に基づく事例を紹介いたします。

それは、


「転職先の企業からボーナス相当額を一時金として支給してもらう」

ということです。
これは、オファーレターサインの時にエージェントを通じて交渉するのがよいと思います。

私の場合、実はこの「現職から支給される予定だったボーナス」を巡って強力な「嫁ブロック」が入りました。

かいつまむと、

・転職するのはわかった
・ボーナスは受け取ってこい
・いざとなったら会社なんていつでも辞められる
とにかく、ボーナス受け取ったうえで転職しろと。。。

なかなか厄介でしたが、まあ、一理あるかな、と思い、相手先企業の面談の際に聞いてみました。
当時、どうしてもヘッドカウントをそろえたいという転職先人事担当の思いがあったようです。
事情を話してみると、こちらから提案した入社日の変更(2ヶ月先延ばし)を受け入れず、

「入社後に一時金としてボーナス相当額を支給するので、入社タイミングを遅らせないでほしい」

ということで決着しました。

この内容は口頭で聞いたのですが、念のためオファーレターにも追記してもらい、やっと嫁ブロックが解除されました。
その後、入社後の初給料に、ボーナス相当額をプラスオンしてもらい、事なきを得ました。

ボーナスに限らず、会社費用で取得したMBA費用の精算など、退職に際しての金銭的な精算事項などがある場合には、転職先にこういった負担を相談してみるのはありだと思います。

また、「想定年収よりも低い」という理由で移ることを渋ってしまうこともあるでしょう、そんなときにもこういったやり取りで、一時金を受け取れる可能性はあります。
金融関係だと引き抜きに近いような転職は珍しくないはずですので、交渉のテーブルに乗りやすいと思います。

ダメもとでよいので、トライしてみましょう!

それでは、このへんで。

(ペンネーム:はんたー)

あわせて読みたい ―関連記事―