12の法則、72の法則


6月が近づいてきました。毎年6月になると2つの法則を思い出します。
特に、今年は筆者が7月に55歳を迎えるため、公的年金制度に関して社会保険事務所へ出向いた際、“70歳開始にすれば年金が42%増えます!”を窓口で囁かれた場合、どのような対抗話法で“60歳開始にするのか”とも深く関係するため、最近の個人的な思い入れが強い法則でもあります。
前置きはこれくらいにして、早速、これらの法則をご紹介いたしましょう。

1.12の法則

(1)人生100年時代に相応しい年金制度とは?
少子高齢化は、わが国最大の課題といっても過言ではありませんが、実際、あと5年で還暦を迎える身になってみると、これまで以上に年金制度改革に関するニュースに、ついつい目がいってしまいます。
以前、老後2000万円問題で物議を醸したレポートが話題になりましたが、少なくとも、公的年金だけで悠々自適な老後生活がおくれるほど、我が国の年金財政は潤ってはいないことを改めて痛感させられます。
月単位でみれば、“繰下げ:+0.7%”、“繰上げ:▲0.4%”という状況下ではありますが、当然に、この水準は何ら確約されたものではなく、国民年金の保険料納付期間を65歳まで5年間延長する動きもあり、衆議院選挙後には、果たしてどのような制度改革となるのか、当面、年金制度から目が離せない状況が続きそうですね。

(2)12の法則とは?
さて、この公的年金制度における“12の法則”とは、年金開始年齢を65歳よりも繰り下げた場合、いつまで長生きすれば、“Σ繰下年金>Σ65歳開始年金”となるかを簡単に計算する法則になります。
例えば、年金開始年齢を70歳に繰り下げた場合、5年(=60か月)の繰下げで、年金額は42%(=0.7%/月×60か月)増加しますが、65歳開始の方が先に5年分の年金を既に受け取っているため、それなりに長生きしなければ、繰り下げた意味がなくなります。
そこで、登場するのが“12の法則”であり、この場合、82歳(=70歳+12歳)まで生存できれば、65歳よりも受取年金額が上回ります。
なお、この「12年」は、「1÷0.007」≒142.86か月≒11.9年から導かれます。

2.72の法則

(1)金利の不思議
「72÷金利≒お金が2倍になる期間」という美しい関係式のことで、例えば、金利12%という今では考えられない夢のような世界では、「72÷12=6≒お金が2倍になる期間」となるため、僅か「6年間」の運用期間で元本が2倍になります。
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yogo/n/72_no_hosoku.html

(2)国債利回りのピーク
若い方々からみれば、“金利12%は、流石にこれまでの日本にないのでは?”と感じるかもしれませんが、昭和55年4月4日の『1年国債』で12.145%という驚異的な金利を経験しています。当時は、いわゆる“逆イールド”が生じており、『9年国債』の9.946%よりも『1年国債』の方が利回りが高いという、なんとも不思議な相場であった点も特徴的です。
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/data/jgbcm_all.csv

3.その他の法則

(1)「7.5.6」の法則?
“人の第一印象は、たった7秒で!5割の方が!相手の情報を頭に刷り込まれたら・・・6か月は(その情報が)頭から離れない!”だそうです!
就活・婚活等で第一印象を向上させることも大切ですが、それ以上に、たった7秒以内で好感度を上げることも重要な処世術といえるかもしれませんね。
https://meister-tochigi.jp/archives/blog/2029

(2)「262」の法則?
組織内の人材の比率が「成果を出す上位2割」「中位の6割」「意欲の低い下位2割」に分かれるという理論・現象があるようです。
似たような法則に、パレートの法則があり、例えば、アクチュアリー試験の80点は教科書の20%から出題されるとか、売り上げの8割は2割の営業社員(=働き蟻、働き蜂)から生み出されるという感じです。
なお、アリやハチの集団にも「働き者の2割」「怠け者の2割」が存在するため、働きアリの法則とか働きバチの法則とも呼ばれているようですが、人間社会と妙な共通点があるのも大変興味深いところですね。
https://www.e-sales.jp/eigyo-labo/the-2-6-2-rule-353

いかがでしたか。「6」は完全数と呼ばれる整数であり、6より小さな正の約数の合計(=1+2+3)が「6」に等しくなる性質を持っています。幼少の頃、この「完全数」にハマってしまい、夏休みの自由研究で「完全数」について調べたとき、担任からのお褒めの言葉以上に嬉しかった独特の爽快感に包まれた記憶があります。なお、デデキントのη関数等では、“重さ12の保形形式”が登場し、いわゆる“非可換類体論”という現代数学の最先端かつ最重要テーマにも結び付くのですが、やはり、ここでも「12」という個性的な整数が大活躍します。機会があれば、是非、コラムに仕上げて“正七角形の作図法”に負けないくらいの上位コラムに出来る日が来る日を楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

(ペンネーム:活用算方)

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