6月に引き続き7月に気になったニュースを幾つかピックアップいたします。
内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
スケジュールの関係で、6月下旬のニュースが含まれている場合がありますことを何卒ご容赦ください。
1.リスク・マネジャー
勤務先の計らいで、損保総研(=公益財団法人損害保険事業総合研究所)主催の「特別講座」である「保険会社経営の今後を探る ~新たな健全性規制の導入を見据えて~」に社費で参加させていただけました。
当該講座の最後のQ&Aで、講師の植村先生(福岡大)から、“最近の(損保)協会長会見で、リスクマネージャーの養成を損保協会で行うという話が出た。リスクマネージャーを自前で抱える進んだ会社にとっては余計なお世話かもしれないが、実際、リスクマネージャーを置かなければならないと言われても、具体的にどうすればよいのかという話になろう。もっとも、その選択肢を提供すること自体は良い動きだ。”とのコメントがありました。
さらに、新聞報道でも、企業の保険人材を育成する目的から、“損保協会、リスク管理の資格制度導入”との記事もあり、今後の成り行きが大いに注目されます。
なお、損害保険協会主導で導入とのことのようですので、損害保険会社独自の制度というよりは、損保業界全体に共通する制度に近いのかもしれません。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB17C5A0X10C25A6000000/
なお、本記事の詳細はコチラをご覧ください。
『植村先生ご講義』
2.法律事務所による違和感コメント
いわゆる“過払い金請求訴訟”で一躍有名になった法律事務所の1つである「アディーレ法律事務所」で起きた殺人事件です。
7月1日付で最初のニュースリリースが公開されましたが、筆者は一読した際、強烈な違和感を覚えました。
というのも、加害者が従業員(である可能性が高く)、かつ、被害者である従業員の命を守れなかったことに対する事務所としての謝罪が一切ないことです。
https://www.bengo4.com/c_1009/n_19035/
なお、週刊東洋経済記事にも、筆者と同じように違和感(含む、不可解)を抱かれた企業人事担当者もいらっしゃるようですので、併せてお読みいただけますと幸いです。
https://toyokeizai.net/articles/-/888541?display=b
3.筆者と同級生
市長が筆者と同級生という点でも興味を持って拝見しているニュースですが、百条委員会という単語をみると、昨年の兵庫県知事の再選挙が記憶に新しいところですね。
学歴詐称問題に揺れる伊東市長ですが、百条委員会の設立に先駆けて辞意を表明されたようですので、ますます注目度アップの様相を呈して来た感があります。
ただし、再度、市長選挙を行う場合には10億円以上かかるとの報道もあるため、一部市民などからは反対の声も聴かれているところです。(といっても、現職の市長が辞意をすでに表明済みなので、選挙は不可避ですが)
SNSによれば、ホリエモン曰く、“Fランの卒業情報はどうでもいい”、は、如何にも堀江氏らしいはっきりとした物言いなのが、個人的な爽快感があります。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250708/k10014856601000.html
4.アクチュアリーの年収は第何位
職業別・性別の年収ランキングが週刊東洋経済から公開されましたが、男女とも、「金融・保険専門職業従事者」が上位(女性5位、男性6位)という結果です。
特に、男性では、「保険営業職業従事者」が第12位ですので、いわゆる外資系保険会社を中心とする“○○プランナー”のような職種を指すものと思われます。
なお、ランキングもさることながら、肝心の平均年収もそれなりの数値になっているように思いますが、米プリンストン大学の心理学者であるダニエル・カーネマン教授曰く、
“感情的幸福は年収7万5000ドル(約1,100万円、注:記事では800万円)までは収入に比例するが、それを超えると比例しなくなる”
https://news.line.me/detail/oa-zuuonline/f57d80362688
という、中間管理職の経験がある方は、なるほどと感じる絶妙な水準かもしれませんね。
もっとも、お金よりも“やりがい”を重視したり、出世せずともワークライフバランスを重視するなど、多様な価値観を“会社/社会”全体で共有できるような世の中になることを心から願っております。
https://toyokeizai.net/articles/-/890907?display=b
5.偽造されるのは口座それとも運転免許証?
運転免許証といえば、マイナンバーカードやパスポートなどと並んで「本人確認書類」として存在感があるはずですが、金融庁から銀行界に意外な要請があった模様です。
具体的には、運転免許証で口座開設時の本人確認を早期に廃止して欲しいというものでして、当初スケジュールである2027年4月よりも更に前倒しするご意向(御威光?)のようです。
見方を変えれば、あたかも“運転免許証が容易に偽造される”ことを意味しているのかもしれません。
考えすぎかもしれませんが、偽造運転免許証を悪用した“アクチュアリー試験の替え玉受験”は絶対に起きないようにして欲しいですね。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/business/kyodo_nor-2025071601002098?redirect=1
6.政治と金、選挙とカネ
いわゆる“裏金問題”がくすぶり続けたまま参議院選挙に突入した感がありますが、未だに「政治と金」の問題は解決策が見いだせていないように思います。
また、国政選挙だけでなく、地方議会選挙においても、それなりの選挙費用をかけなければ、知名度向上等が上手く図れないのという事情はあるかもしれません。
しかし、今回の東京都議会議員選挙で初当選された方が、実際にかかった選挙費用は、な、なんと僅か「8458円」であったことが公開されました。
もちろん、選挙管理委員会への供託金やポスター代等もかかりますが、一定の得票数が獲得されれば全額返還される模様です。
今後の選挙戦は“実弾(=現金)”が飛び交うのではなく、“動画や書き込み”を、如何にして上手く飛び交わせるのかが、当落選の分かれ目になるかもしれませんね。
https://www.sankei.com/article/20250717-U76YQB46DJHGVMAMYT4LY24FWU/
7.777の恩恵!?
7つめのニュースに相応しく、令和7年7月7日は文字通り『777(ラッキーセブン)』の日でしたので、慶事(例.結婚式、入籍など)が多かったようですね。
実は、この“和暦年月日で同じ数字が並ぶ日”は、保険(子)会社に所縁のある日ですが、平成8年度(1996年度)の保険業法改正で、“子会社方式による生損保相互参入”が導入されたことがきっかけになった出来事です。
具体的には、平成8年8月8日を(当時の)損保系生保の設立認可取得日とすることが多かったのですが、筆者は当時、まだ入社3年目のペーペーでして、商品開発の仕事に“研究会員として”従事していたため、このような“数字合わせ”に全く興味はなく、ひたすら、数か月後に導入される“5年ごと利差配当付保険”の販売準備等に日々追われていた苦い(笑)思い出があります。
令和8年8月8日(まで)には、孫が誕生しているかもしれません。(私事恐縮!)
8.平均寿命は“八(すゑひろがり)”
8つめのニュースに相応しく、日本は40年連続で平均寿命が世界一の国です!
しかし、残念ながら、何故、30年以上(注:バブル崩壊は1991年3月頃)も、経済低迷し続けるのかが本当に不思議でなりません。
いずれにせよ、そう遠くない未来に「高齢者」の仲間入りをする身としては、とにかく、「健康寿命」はもちろんのこと、「資産寿命」や「感動寿命(例.鈴鴨かつ子氏と出逢えた島耕作氏など)」を伸ばすことに、これから大いに注力しようと考えている今日この頃です!!
https://www.fnn.jp/articles/-/907093
9.「生保レディー」はもう古い!?
生命保険の販売チャネルとして、最近では、通販やインターネット、乗り合い代理店など、多種多様な形態が登場していますが、依然として、営業職員チャネルも未だに相当のウエイトを占めています。
生命保険協会の協会長が交代されるにあたり、新聞社の取材で、
“「生保レディー」として定着している生命保険の販売を担う職員について、
新たな呼称を公募”
されるご意向のようです。
そもそも「生保」という呼称自体が、いわゆる業界関係者以外の方々にとっては、「生命保険」以外、例えば、「生活保護」などと混同されやすい面も、公募される背景にあるかもしれません。
“ネットとリアルの共存”が、21世紀における“あらゆるビジネスの共通点”かもしれませんが、多種多様な販売チャネルの共存も、21世紀における保険業界の1つの重要なテーマと言えるかもしれませんね。
https://www.sankei.com/article/20250718-DQFAH2I5MNNMTFZ6BQJTTPJQ5M/
10.熊との共生
古い記憶を辿れば、「西鉄バスジャック事件(2000年5月3日12時56分頃発生)」の発生から数週間で、某損害保険会社から「バスジャック保険」が各バス会社に販売されたように思います。
今回の「熊による死傷事件」でも、それに呼応する形で、損害保険会社から「クマ保険」が各自治体に販売される模様です。
具体的には、“猟銃の流れ弾被害など補償”とのことですが、生保アクチュアリーとして常々不思議なのは、損保アクチュアリーの方々はどうやってこういう損害確率を計算するのだろう?という点です。
もっとも、歴史的には生命保険よりも損害保険の方が長いという説もありますので、まだまだ、生保アクチュアリーが知らない世界が、損保に広がっているように思います。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250717-OYT1T50231/
いかがでしたか。それにしても、2025年7月20日に投開票された第27回参議院議員選挙は歴史的な結果となりました。上述の通り、昨年の兵庫県知事選挙でも“SNSの力”を痛感させられましたが、特に、今回の選挙では、“新興政党vs地上波”という構図がより鮮明になってきたように思います。不偏不党・中立公平を掲げてきた地上波の役割も、大きな変革期がすでに到来しているのかもしれません。
(ペンネーム:活用算方)