アクチュアリー試験で独学に限界を感じたら


アクチュアリー試験は、どうしても独学になりがちです。

市販の参考書が豊富にある試験でもありませんし、周りに同じ科目を受けている人が多いとも限りません。平日は仕事、休日は勉強という生活の中で、黙々と一人で机に向かっている方も多いと思います。

もちろん、独学そのものが悪いわけではありません。実際、アクチュアリー試験は、一人で腰を据えて考え抜く時間がなければ太刀打ちできない試験です。

ただ、私自身の経験からはっきり言えることがあります。

それは、独学だけで押し切ろうとすると、かなり非効率になりやすいということです。

以前、環境によって合格ラインの見え方が変わるという話を書きました。今回はその延長として、自分にとってプラスになる環境は待つものではなく、自分で作りにいくものだという話をしたいと思います。

一人で悩む時間は、必ずしも美徳ではない

独学をしていると、たった一行の式変形や、ある前提の意味が腑に落ちず、何時間も止まることがあります。

しかも厄介なのは、その場では自分なりに考えているつもりでも、実は同じところをぐるぐる回っているだけ、ということが珍しくない点です。

自力で考えることは大事です。しかし、何時間も悩んだ末に得られるものがほとんどなく、ただ時間だけが過ぎるのであれば、それは良い苦労とは言えません。

アクチュアリー試験は、出題範囲が広く、しかも何年もかけて突破していく長期戦です。限られた時間をどこに投下するかは、合否に直結します。だから私は、分からないことをずっと一人で抱え込むやり方に、途中からかなり強い危機感を持つようになりました。

そんな時に何度も助けられたのが、勉強会でした。

自分では一時間考えても動かなかった論点が、他の人の数分の説明で整理できる。この経験は一度や二度ではありませんでした。

ここで大事なのは、相手が圧倒的に優秀だから解決したとは限らないことです。単に、自分とは違う角度から見ていた。それだけで詰まりが解消することは本当によくあります。

参加するだけでは足りないと思うようになった

私は、外部の勉強会に参加するだけでなく、自分でも勉強会を企画していました。

なぜそこまでするのかと聞かれたこともありますが、理由は単純です。自分に必要な環境がそこにないなら、自分で作った方が早いと思っていたからです。

自分が今苦手にしている分野をテーマにする。自分が今まさに理解を深めたい論点を扱う。そうすると、勉強会を開く前の準備段階から学習の質が変わります。

ただ参加する立場であれば、分からなければ聞けばよいで終わることもあります。しかし、企画する側になるとそうはいきません。ある程度は自分で整理しておかないと場が成立しないからです。

結果として、予習の密度が上がります。人に説明する前提で勉強すると、分かったつもりでは済まなくなります。

教えることは二度学ぶことだと言われますが、これは本当にその通りです。

特に、自分では理解しているつもりだったところほど、いざ言葉にしようとすると曖昧さが露呈します。さらに、参加者から質問を受けると、自分が見落としていた理解の穴がはっきり見えます。

一人で勉強しているだけでは、自分の理解が浅いことにすら気づけないことがあります。その意味でも、勉強会を企画することには、参加する以上の価値がありました。

勉強会は、やり方を間違えるとただの雑談になる

一方で、勉強会なら何でも良いわけではありません。

何となく集まって、何となく問題を解いて、最後は雑談して終わる。その場では勉強した気分になりますが、実力にどれだけ結びついているかは怪しいです。

勉強会を本当に武器にしたいなら、少なくとも二つ意識した方がよいと思っています。

一つ目は、自分なりに考え抜いた疑問を持っていくことです。

ここが分かりません、では弱いです。どこまでは分かっていて、どこで止まっていて、何が違和感なのか。そこまで整理して初めて、他人の助言が効きます。

逆に言えば、その準備がないまま参加すると、教えてもらった瞬間に分かった気になるだけで、結局は自分の力になりにくいです。

二つ目は、自分の考え方を言語化することです。

正解した問題でも、なぜそのアプローチを選んだのか、なぜ別の解き方ではなくその解法だったのかを説明できるようにする。この作業は地味ですが、かなり重要です。

本番で使える知識は、見たことがある知識ではありません。自分の言葉で再現できる知識です。勉強会は、その確認をするには非常に良い場です。

独学に向いている人ほど、外に出た方がいい

勉強ができる人ほど、一人で完結しようとしがちです。

自分で調べる力がある。考えるのも苦ではない。だから、人に聞く前にまず自分で解こうとする。これは基本的には良い姿勢です。

ただ、その強みが行き過ぎると、他人を使うことが下手になります

自分でやった方が早いと思ってしまう。分からないと言うのが少し嫌だ。人に頼るより、自分で抱えた方が気楽。こういう感覚は、真面目な受験生ほど持ちやすい気がします。

でも、合格を最優先するなら、その考えは捨てた方がいいです。

アクチュアリー試験は、自分の美学を貫く場ではありません。受かるために、使えるものは使うべきです。勉強会もその一つです。

一人で戦い続けることに妙な誇りを持つ必要はありません。むしろ、必要なときに周りを巻き込める人の方が、長期戦では強いと思います。

まずは小さく始めればいい

勉強会というと、少しハードルが高く感じる方もいるかもしれません。

ですが、最初から大げさに考える必要はありません。同じ科目を受ける同期に声をかけて、週に一回だけ集まるでも十分です。オンラインで一時間だけ論点確認をするだけでも意味があります。

大事なのは、完璧な場を作ることではありません。一人で詰まり続ける状態から抜け出すことです。

もし今、独学で伸び悩んでいるなら、努力量だけの問題ではないかもしれません。やり方の問題である可能性を、もっと真剣に疑うべきです。

勉強時間を増やす前に、学び方を変える。その選択肢として、勉強会はかなり有効です。

少し勇気を出して外に出るだけで、学習効率は想像以上に変わります。自分に必要な環境は、待っていても出てこないことが多いです。だからこそ、自分で作る。この発想は、試験勉強でもその先の仕事でも、きっと役に立つと思います。

ペンネーム:mizuki

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