気になるニュース(2026年3月)


2月に引き続き3月に気になったニュースを幾つかピックアップいたします。
内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
なお、スケジュールの関係で、2月下旬のニュースが含まれている場合がありますことを何卒ご容赦ください。

1.おいしい市場

参政党の議員が「生命保険の死差益に関する問題」を、衆議院の財務金融委員会でとりあげられた模様です。
具体的には、『生命保険業界で生じた国富流出』に関するもので、同業界の利益4兆円弱のうち3兆円弱を占める「死差益(2024年)」を含めた(その一部が)株主配当などで海外流出しているというご指摘です。
なお、独・英では死差益の9割、その他の国でも死差益の半分以上を(保険契約者へ)返還するルール/慣習があるとのことですが、日本では、保険相互会社に対するいわゆる『20%ルール』のみが存在します。

大昔、(当時の民主党の)原口一博先生も同様のご指摘をTV討論会(例.朝まで生テレビなど)でされていた記憶もあります。
いずれにせよ、P社問題と併せて、日本の保険市場における外資系会社(含む、外国株主)の収益構造などにも焦点が当たるかもしれませんね。
https://abema.go.link/cOLzb

2.資格なき法律顧問

日本の大手生保の米国法人がイリノイ州の連邦地裁に提訴した模様です。
具体的には、必要資格を有さない状態でチャットGPTを通じた法的助言をして同生保の元受取人に与えたという訴えのようです。
なお、同生命と原告(同生命の保険加入者)との間で和解に至ったにもかかわらず、原告が和解破棄に向けた助言をチャットGPTに求めたというものです。

和解破棄に至った経緯などは不明ですが、和解破棄の正当性に加えて、人工知能が弁護士などの専門資格を有することをどのように立証すべきか、大きな課題を炙り出すきっかけになるかもしれませんね。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026030600630&g=soc

3.AI活用(その1):数字より大切なこと

生命保険会社にとって収益性の追求は、たとえ公共性の高い業種であっても、一企業体として重要な要素の一つであることに異論はないように思います。
このため、例えば、【危険差益●●億円達成!】という業績目標を掲げたとしても、その目標に合理性があり、かつ、善意のお客様(例.保険契約者など)にとって、公正かつ衡平の観点から疑義がなければ全く問題ないものとも考えられます。

一連の不払い問題で業務停止命令を頂戴した歴史を有する会社だからこそ、今一度、“数字より大切なこと”について、全社員が一丸となって業務推進を図る時期が到来しているのかもしれませんね。
それにしても、“安心はAI”というキャッチフレーズが、上述の「チャットGPT」記事との対比で、なかなか興味深いところです。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2519163

4.AI活用(その2):社員の早期退社

AIを活用して労働時間1割削減する取り組みがなされる模様です。
筆者が入社した30年以上前には想像できなかった働き方改革が進行している模様ですが、21世紀の働き方に一石を投じる大変有意義な取り組みであるように思います。
賃上げも進む中で、くれぐれも、AI普及で『手取り額が減った!』とならないことを祈ります。
https://www.asahi.com/articles/ASV3L12BVV3LULFA002M.html

5.AI活用(その3):消える/残る仕事

既に、銀行のカウンター業務などがAIに置き換わっている雰囲気ですが、ここまで細かく分類されると該当する仕事に従事されている方々は冷や冷やしながら記事を閲覧されているかもしれません。
幸い、アクチュアリーという文字は見当たりませんでしたが、リスク管理などのアナリストが消える仕事に掲載されている模様です。

なお、“職能生存 Tier 表”がPDFファイルでダウンロードできますので、興味のある方は是非ダウンロードされるとよいでしょう。(←最近、“Tier”という単語をみるたびに、経済価値ベースのソルベンシー規制(特に、マージン部分)を思い出すことが多いです。アクチュアリー職業病でしょうか)
https://note.com/happy_home_saori/n/na1dc881eb7bc?external_type=smart_news&external_position=original_link&rt=external&sub_rt=smart_news

6.大手4社グループ合計値を上回る持出し?

一連の出向先代理店からの不正情報持出しについて、大手生保の関与が大変残念ですが、いわゆる“協会長会社”として大手4社グループの持出し合計は3,500件を上回る可能性が高いようです。
一方、外資系生保単体で、当該件数が数千件に上る疑いがあった模様です。

もちろん、単純な持出し件数“だけ”で評価することは議論の余地があるかもしれませんが、テレビ・新聞などで派手な広告をうちつつ、大手生保に追いつけ・追い越せという営業スタイルを貫いてきた立場として、口が裂けても、“当社の新契約獲得は不正行為によって成立しています!”とは決して言えないようにも思います。
“テレビ・新聞広告だけで、いったい何件の新契約費が獲得できるのか?”という、某大手生保の役員インタビューが懐かしく響きます。
https://news.jp/i/1406545218956444393

7.一社専属性と個人事業主

P社問題で、不払い問題以上の禍根を残しつつある生命保険業界ですが、元金融庁長官が金融部門トップを務める傘下子会社での不祥事です。
「個人的借入れ」で未返済額が10億円以上という悪質な事案である可能性が高いですが、P社と異なり、会社は弁償責任を負わないという意向について、今後、どのような決着をみるかが非常に注目されます。

キャッシュレス推進が益々叫ばれる業界の一つとして、(初回)保険料の費消事故回避に躍起になっている業界という認識ですが、保険外務員が単独で(?)起こす詐欺事件について、委託元の法人がどこまで責任を負うべきなのかという点については、法学的見地からも大変興味深いテーマかもしれませんね。
https://mainichi.jp/articles/20260318/k00/00m/020/220000c

8.訃報

故・小平邦彦氏に続く、日本人として2番目の『フィールズ賞』受賞者として有名な、広中平祐氏が逝去されました。
広中氏と言えば、CMご出演や配偶者の国会答弁(vs 田中真紀子氏)、Y大学での顔写真入りのTシャツ販売など、本業の数学以外でも著名であったように記憶しています。
特に、筆者が大学生の頃、数学科図書館で京都大学の考究録を熟読した際、“森重文君による講義ノートを整理したもの”という“はしがき”を拝見し、その後、森氏が日本人として3番目の『フィールズ賞』を受賞されたことを行きつけの『憩食堂』にて夕刊紙で知ったことが強く印象に残っています。合掌。
https://news.jp/i/1406897664605242343

9.ガソリン価格

香港でガソリン価格が1リットル当たり600円を超えた模様です!
「北上給油」現象(=北部の安いガソリンを求めて給油する行動)も起きているようですが、車社会にとって大打撃ということは間違いなさそうですね。
物価上昇に歯止めがきかない一方で、給与などの労働収入がそれに追いつかない現象は、是非、“優秀な”政治家の先生方に期待したいところですね!
https://mainichi.jp/articles/20260320/k00/00m/020/274000c

10.検証責任者の任命

経済価値ベースのソルベンシー規制がスタートしますが、昨年7月23日に金融庁から開示された保険業法施行規則および告示、監督指針などの改正案に対する対応を保険会社およびグループ会社が入念に対応されている時期かと存じます。

親子会社での兼務、保険負債/ESR全体の検証責任者の兼務など、監督指針上でのルールが“緩和”されている様子も覗いしれるところですが、保険計理人がすべてを兼務される会社も登場された模様ですので、果たして、どのようなディスクローズがなされるのか、非常に興味深いところです。
https://www.nissay.co.jp/sites/default/files/assets/news/files/20260306.pdf(15ページ)

いかがでしたか。今月は3年ぶりとなるWBC(NETFLIXの独占放送)、いわき市の赤飯廃棄(2,100食!)などが目立ちました。アクチュアリー界隈に限定すれば、やはり、『経済価値ベースのソルベンシー規制』の開始がホットな話題といえる月でしたね。

(ペンネーム:活用算方)