試験改訂で合格率はどう変わる?


2026年4月1日、日本アクチュアリー会から試験・研修制度の見直しが発表されました。2027年度以降、「生保数理」と「年金数理」が「専門数理1」に統合され、「会計・経済・投資理論」が「会計・経済・金融システム」と「リスクマネジメント・投資理論」の2科目に分離されるなど、大きな変更が入ります。

制度変更の概要については、こちらの記事で既に解説されています。今回の記事では、少し違う角度から切り込んでみたいと思います。テーマは「難易度はどうなるのか」です。試験委員でも何でもない、一個人の私見・予想に過ぎませんが、受験戦略を考えるうえで参考になれば幸いです。

そもそも、なぜ難易度は上がり続けてきたのか

近年、「アクチュアリー試験はどんどん難しくなっている」という声をよく耳にします。これは肌感覚だけの話ではなく、構造的な理由があると思っています。

過去問が解答も含めて無料公開され、「合格へのストラテジー」などの書籍も充実し、受験生の勉強環境は年々整備されています。受験生全体の「地力」が上がってくる中で合格率を一定水準に保とうとすれば、試験委員としては問題を難しくするしかありません。これは個々の試験委員の意図というよりも、仕組み上、自然と起きてしまうことです。

では、この難易度インフレはどこかで是正されないのでしょうか。私は、今回の制度改訂がそのタイミングになりうると考えています。

制度改訂は「難易度リセット」の絶好の機会

急に問題を簡単にすると、前年度との比較で不公平感が生まれます。「昨年は難しかったのに今年は簡単だった」という話になると、合格者の間でも後ろめたさが出たり、外部からの公平性への疑問が生じたりします。

しかし、制度改訂を挟めばどうでしょうか。科目名も変わり、出題範囲の構成も変わるため、改訂前後の難易度比較には本質的にあまり意味がなくなります。つまり、制度改訂は試験の難易度を大幅に下げる絶好の機会なのです。

私は、2027年度以降の新科目の合格率は、40〜50%程度に落ち着くのではないかと予想しています。現在の合格率水準から考えると、かなり大きな変化になるかもしれません。

2026年度:科目ごとの難易度と合格率を予想してみる

制度改訂の前年となる2026年度は、受験戦略上、非常に重要な年です。科目ごとに状況が大きく異なるため、私なりの予想を科目別に整理してみます。

まず、生保数理と年金数理についてです。この2科目は、2026年度中に両方合格できなければ、2027年度以降に「専門数理1」として再受験が必要になります。つまり、片方だけ合格している受験生にとっては「今年が最後のチャンス」です。

過去の制度改訂時を振り返ると、改訂前最終年度には合格率が高くなる傾向がありました。今回も同様に、「これで落ちたら仕方ない」と思えるくらい基本に忠実な問題構成になり、合格率は高めに推移するのではないかと考えています。

さらに、受験生の構成も変わります。「両方合格できる見込みがない」と判断した受験生は、そもそも受験を回避するでしょう。残った受験生は、背水の陣で挑んでくる層が中心になります。難易度が下がり、受験層が絞り込まれ、気合いも十分となれば、合格率が大きく跳ね上がる可能性があります。私は、下手をすると80%前後になるのではないかと予想しています。これは過去のアクチュアリー試験では見たことのない水準です。

次に、KKT(会計・経済・投資理論)です。こちらは逆の動きになると予想しています。2026年度にKKTに合格し、さらに「特定分野2研修」を2027年9月までに修了すれば、新制度では2科目分として扱われます。このお得な経過措置を狙い、例年より受験生が増えることが見込まれます。受験生が増えれば、合格率は下がります。難易度も多少引き上げられる可能性があり、合格率は10%台になるのではないかと予想しています。

数学や損保数理のその他の科目については、過去の制度改訂時と同様に改訂前最終年度は合格率がやや高めになりやすく、30%前後で落ち着くのではないかと思います。

まとめ

  • アクチュアリー試験の難易度上昇には構造的な背景があり、制度改訂はその是正の好機になりうる
  • 2027年度以降、合格率は40〜50%程度に上昇する可能性がある
  • 2026年度の生保数理・年金数理は、合格率が大幅に上昇する可能性がある(80%前後も十分ありうる)
  • 2026年度のKKTは、受験生増加と経過措置をめぐる競争激化により、合格率が10%台に落ち込む可能性がある
  • 2026年度その他の科目は、過去の改訂時の傾向からやや高め(30%前後)で落ち着く可能性がある

これらはあくまで一個人の妄想であり、実際の試験難易度は試験委員会の判断によります。ただ、受験戦略を考えるうえで「どの年度にどの科目を優先するか」を意識することは非常に重要です。今回の制度改訂を受けて、ぜひ自分の受験計画を見直してみてください。

※上述の通り、あくまで私見であり、受験生の皆様はご自身のお考えのもと、受験ください。今回の制度改訂は急なお話で驚かれた方も多いかと思いますが、陰ながら心より応援しております!

ペンネーム:mizuki

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