サ行(アクぺディア用語集)


最終給与比例制
退職金を算定する方法の一つで、退職時の給与に一定率を乗じて退職金を算定する方法。従来は退職一時金制度において主流であったが、給与のベアアップ等の影響受けたり、途中経過での貢献が十分反映しないことから、他の算定方法へと移行が進んでいる。

最低責任準備金【年金】
厚生年金基金制度においては厚生年金の報酬比例部分を代行運営しているが、その代行部分の責準準備金を指す。厚生年金基金を解散もしくは代行部分を返上する場合には、この最低責任準備金を国に返還しなければならない。積立資産が、最低責任準備金を下回る状態のことを代行割れといい、平成26年4月以降、代行割れしている厚生年金基金は安定的な水準まで資産を早期に積み増しするか、解散を検討することが求められている。

最低積立基準額
基準日時点で制度が終了した場合において、加入者や受給者の受給権が確保できているかを図るために指標であり、最低保全給付の現価相当額の合計額で算定される。厚生年金基金の場合は、さらに、代行部分の最低責任準備金を加えたものを最低積立基準額としている。この場合市場価格による給付現価を算定する趣旨から、予定利率や死亡率については基金ごとではなくすべて共通の値を用いて通常の数理債務の計算と別に計算する必要がある。

最低保全給付
受給権保護の観点から、基準日までの加入者期間に応じて生じているとみなされる給付を指すものであり、制度の解散時等においても最低限保全すべき給付水準である。受給者や待機者について給付は確定しているものの、加入者については例えば、将来の退職時点での予想給付額から、現時点までの加入期間にかかる分として案分率を乗じるなどして算定をする。

再評価積立金(相互会社)
昭和25年の資産再評価法により、動産・不動産・株式・その他の資産の再評価額と簿価との差額を積み立てたものです。株式会社については、同法の規定で昭和48年に資本準備金に組み入れられ消滅しましたが、相互会社については同法の適用がなくそのまま残されているものです。

再評価に係る繰延税金資産
「土地の再評価に関する法律」に基づき、土地再評価を実施した事業用土地の再評価額が直前の帳簿価額を下回る場合の、税効果相当額を計上します。

再評価に係る繰延税金負債
「土地の再評価に関する法律」に基づき、土地再評価を実施した事業用土地の再評価額が直前の帳簿価額を上回る場合の、税効果相当額を計上します。

再保険
生命保険会社が、自己の引き受けた保険のうち、主として高額契約などについて、保険契約のリスクを分散するために国内・国外の再保険引受会社と結ぶ保険契約のことです。

再保険貸
再保険契約にもとづいて授受される再保険料・保険金などに関する再保険会社に対する債権(未収金額)の総額です。

再保険借
再保険貸の逆で、生命保険会社と再保険会社との間の再保険契約にもとづいて授受される再保険料・保険金などに関する債務の総額です。

債券貸借取引支払保証金
現金担保付債券貸借取引(レポ取引)により担保として差し入れた額を計上します。

三利源
「三利源」とは、予定事業費率に基づく事業費支出予定額と実際の事業費支出との差額である「費差」、予定死亡率に基づく保険金・給付金等支払予定額と実際の保険金・給付金等支払額との差額である「危険差(死差)」、予定利率に基づく予定運用収益と実際の運用収益の差額である「利差」の三つを指します。
「三利源」については、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を示す指標である「基礎利益」の内訳として開示している会社があります。

時価会計
企業会計・法人税額の計算などにおいて、所有する金融資産を決算時の市場価格(時価)で評価する会計のこと。

事業費
新契約の募集及び保有契約の維持保全や保険金などの支払いに必要な経費を計上します。
一般事業会社の販売費及び一般管理費に類似します。

自己株式(株式会社)
株式会社で使用される科目で、保険会社が所有する自社の株式が計上されます。なお、連結貸借対照表では、親会社及び連結子会社が所有する親会社株式が計上されます。

自己株式申込証拠金(株式会社)
自己株式の処分のために払込んだ額を、自己株式の処分を認識するまでの期間計上します。

自己都合退職要支給額(自己都合要支給額)
期末現在において全従業員が自己都合退職すると仮定した場合に、会社の退職金規程等に基づいて計算した退職金の総額をさす。期末要支給額といった表現をする場合もある。

資産
(未収金・未収収益・預託金・金融派生商品など)他のいずれの科目にも属さない資産です。主なものは、債権金額が確定しているにもかかわらずその代金の回収が行われていないものを計上する未収金、貸付金に係る未収利息や不動産の未収賃貸料などを計上する未収収益、供託金や土地・建物を賃借する場合の保証金などを計上する預託金や次の金融派生商品などです。
* 金融派生商品(資産の部)
金融派生商品(デリバティブ)取引に係る期末の評価額を計上します。原則として、資産・負債にそれぞれ表示します。

資産運用収益
(利息及び配当金等収入、商品有価証券運用益、金銭の信託運用益など)
資産運用による収益で、利息や配当金のほかに有価証券売却益なども含まれます。
* 利息及び配当金等収入
資産運用収益の中心となる収益で、主なものは預貯金利息、有価証券利息・配当金、貸付金利息、不動産賃貸料です。
* 商品有価証券運用益
商品有価証券に係る売却損益、評価損益などを計上します。これらの損益を合計して、益が出た場合には「商品有価証券運用益」、損が出た場合には「商品有価証券運用損」を計上します。
* 金銭の信託運用益
信託銀行へ信託した金銭を有価証券などで運用した結果として得られた収益を計上します。逆に運用結果が損失となった場合には「金銭の信託運用損」に計上します。
* 売買目的有価証券運用益
商品有価証券、金銭の信託、特別勘定以外の売買目的有価証券から生ずる全ての損益(売却損益・償還損益・利息配当金等収入・評価損益等)を一括して計上します。これらの損益を合計して、益が出た場合は「売買目的有価証券運用益」に、損が出た場合は「売買目的有価証券運用損」に計上します。
* 有価証券売却益
有価証券を売却した場合、売却価額が帳簿価額を上回った場合に、その差額を計上します。
なお、有価証券売却益は、あわせて有価証券の種類別に次のように分類して表示します。
・ 国債等債券売却益:新株予約権付社債を除く公社債及び公社債投信から発生する売却益を計上。
・ 株式等売却益:株式、新株予約権付社債及び株式投信から発生する売却益を計上。
・ 外国証券売却益:外国証券から発生する売却益を計上。
* 有価証券償還益
公社債の償還金のうち、その帳簿価額を超える金額(金利調整差額を除く)を計上します。
* 金融派生商品収益
みなし決済により時価評価したデリバティブ取引の評価損益及び期中の実現損益を計上します。これらの損益を合計して、益が出た場合は「金融派生商品収益」に、損が出た場合は「金融派生商品費用」に計上します。
* 為替差益
外貨建の取引では、取引時と決済時、あるいは外貨建債権等を決算時のレートで換算した時に円と外国通貨の為替レートが異なることにより益や損が発生します。為替差益は、この為替レートによる損益を計上します。期中の収益合計と損失合計を相殺して、益がでた場合は「為替差益」に、損がでた場合は「為替差損」に計上します。なお、外国証券の売買及び期末評価に係る為替差損益は、それぞれの科目(「外国証券売却益」「外国証券売却損」「外国証券評価損」)に含まれています。
* 貸倒引当金戻入額
* その他運用収益
上記の収益に含まれない資産運用収益を計上します。具体的には公社債の引き受けに係る手数料などがあります。
* 特別勘定資産運用益
特別勘定から生ずる全ての資産運用収益、資産運用費用を計上します。これらを合計して、益が出た場合は「特別勘定資産運用益」に、損が出た場合は「特別勘定資産運用損」に計上します。

資産運用費用
(支払利息、商品有価証券運用損、有価証券売却損など)
資産運用収益を得るために要した費用で、有価証券売却損、有価証券評価損、貸倒引当金繰入額などを計上します。
* 支払利息
生命保険会社の支払利息に計上されるものには、借入金利息、預り金利息、保険金・給付金等の支払遅延利息などがあります。
* 商品有価証券運用損
* 金銭の信託運用損
信託銀行へ信託した金銭の運用結果が損失となった場合に計上します。
* 売買目的有価証券運用損
* 有価証券売却損
有価証券を売却した場合、売却価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を計上します。なお、有価証券売却益と同様、有価証券の種類別に「国債等債券売却損」「株式等売却損」「外国証券売却損」に分類して表示します。
* 有価証券評価損
減損処理により有価証券を時価評価した際の評価差損を計上します。有価証券評価損は、種類別に次のように分類して表示します。
・ 国債等債券評価損:新株予約権付社債を除く公社債及び公社債投信から発生する評価損を計上。
・ 株式等評価損:株式、新株予約権付社債及び株式投信から発生する評価損を計上。
・ 外国証券評価損:外国証券から発生する評価損を計上。
* 有価証券償還損
公社債の償還金のうち、帳簿価額に達しない場合の差額(金利調整差額を除く)を計上します。
* 金融派生商品費用
* 為替差損
* 貸倒引当金繰入額
資産の自己査定結果を踏まえ、個別貸倒引
当金に繰り入れるもの以外の貸付金については、貸倒実績率等合理的な方法により算出した貸倒見込額を一般貸倒引当金として計上します。貸倒引当金繰入額には、当期の計上金額(繰入金額)から前期に計上した金額(戻入金額)を差し引いた金額を計上します。また、個別貸倒引当金や特定海外債権引当勘定の繰り入れについても同科目で計上しますが、当期に追加で繰り入れる金額から、回収等により引当不要となった金額の戻し入れを差し引いた額としています。逆に、当期の繰入額が戻入額より少ない場合には「貸倒引当金戻入額」として計上します。
* 貸付金償却
貸付先の破産などの理由により、回収不能となった貸付金の償却額です。ただし、前事業年度以前に貸倒引当金にすでに積み立てられている金額(個別貸倒引当金)を相殺した後の金額を計上します。
* 賃貸用不動産等減価償却費
減価償却費(固定資産の取得価額をその耐用期間の各事業年度に配分する手続き)のうち、投資用不動産・動産などに係わるものを計上します。
* その他運用費用
上記のいずれにも属さない資産運用に係る費用を計上します。具体的には、(1)投資に係る税金(消費税、固定資産税など)、(2)投資用不動産に係る費用のうち、a)賃借料等、b)登記手数料、c)維持・管理に係る委託料、光熱費、修理費等、などがあります。
* 特別勘定資産運用損

資産管理機関
確定拠出年金制度において、年金資産の管理や、運営管理機関がとりまとめた運用指示にもとづく運用商品の売買、年金・一時金の支払いなどを行う機関。主に信託銀行がその役割を担っている。

資産の数理的評価
資産の評価は通常時価評価が基本となるが、「基準収益」を設定し、それと時価ベースの収益との差額について、一定の平滑化期間にわたって繰り延べて計上することで、時価の短期的な変動の緩和を図る方式。「時価移動平均方式」、「収益差平滑化方式」、「評価損益平滑化方式」の3つの方式がある。

自主解散型基金
厚生年金基金制度の平成25年改正法によって定められた制度。解散しようとする日において年金資産が最低責任準備金を下回っていると見込まれる厚生年金基金であり、平成25年改正法施行日から5年以内であれば、納付額の特例・分割納付の特例を申請することができる。当該申請を行った場合は、申請月の翌月から代行部分以外の給付を支給停止しなければならない。

自動移換
企業型年金に個人別管理資産があった方が退職した場合は、その資産を個人型または他の企業型の確定拠出年金に移換するか、脱退一時金の請求の手続を6カ月以内に行う必要がある。それらの手続きを行わなかった場合に、その資産が現金化され国民年金基金連合会に自動的に移換されることを自動移換という。

支払承諾
生命保険会社には、保険業法において債務の保証が付随業務として認められています。
保険会社は、顧客からの依頼にもとづき顧客の第三者に対する債務について、その支払いを保証した場合、保険会社が実際に顧客に代わり第三者への債務を弁済することが考えられます。この場合、保険会社は本来の債務者である顧客に対し求償権(代わって弁済したお金を返してもらう権利)を取得します。「支払承諾」とは、保証先に対して保証している債務の総額を偶発的に発生する債務として貸方に計上するものです。この場合、「支払承諾見返」を借方に同額計上しますが、これは保証している債務を債務者に代わって弁済した場合に、顧客に対して生じる求償権を偶発的に発生する債権として計上するものです。

資本剰余金(株式会社)
資本剰余金とは、株主などからの出資額(または負担額)のうち資本金に組み入れられなかった部分等であり、資本金とともに企業内に維持または拘束されるものです。資本準備金及びその他資本剰余金などがあります。

社債
自社の発行した社債の額を計上します。

終身年金
年金の受け取り方法の一つで、生存している限り給付を受けられる年金を指す。死亡時にはそれ以降の給付金は得られない。

商品有価証券
投資目的ではなく、不特定多数の投資家への販売を目的として保有している有価証券です。
生命保険会社は、法令により、いわゆる公共債ディーリング業務が認められています。

新株式申込証拠金(株式会社)
決算期末時点で資本金に振替えられていない新株式の申込証拠金を、資本金とは別区分で計上します。

新株予約権(株式会社)
株式会社に対して行使することにより、その会社の株式の交付を受けられる権利です。発行価額を記載し、その権利が行使され、対価が払込まれた際に資本金又は資本準備金に振替えます。

新株予約権付社債(株式会社)
株式会社において使用される勘定科目で、自社の発行した新株予約権付社債の額を計上します。

清算型基金
厚生年金基金制度の平成25年改正法によって定められた制度であり、年金資産が最低責任準備金に0.8を乗じて得た額を下回り、事業継続の困難に関する要件と事業運営の努力に関する要件を満たすものとして、平成25年改正法施行日から5年以内に厚生労働大臣から指定を受けた厚生年金金基金を指す。
清算型基金は清算計画を作成し、厚生労働大臣の承認を受けたときに解散することになる。なお、清算計画の提出と併せて、納付額の特例・分割納付の特例を申請することができる。

成熟度
確定給付制度の状態を表す指標の一つで、受給者数÷加入者数で表される「人数ベース成熟度」や、給付費÷掛金収入で表される「金額ベース成熟度」がある。制度開始時には、加入者と受給者の割合で加入者の割合が高く、積立が進んでいくが、成熟度が上がれば、掛金の積み上げよりも受給者に対する支払いの方が多くなり、資産は減少傾向に向かい、財政運営が厳しくなっていくことが予想される。

税引前当期純剰余(純利益)又は純損失
経常損益に特別利益を加え、特別損失を控除したものです。株式会社の場合は、さらに「契約者配当準備金繰入額」を控除した金額となります(株式会社は、契約者配当準備金の繰り入れが株主総会の付議事項ではないため、決算時点で「契約者配当準備金繰入額」の控除を行っています)。

責任準備金
保険会社が保険契約上の支払いの責任を履行するために必要な資金として準備する積立金のこと。

責任準備金対応債券
金利変動に対する債券と責任準備金の時価変動を概ね一致させることにより、責任準備金の金利変動リスクを回避することを目的として保有する債券のこと責任準備金対応債券は、保険契約という長期の負債を抱える保険会社だけに認められた債券の会計区分になる。

責任準備金等繰入額
(支払備金繰入額、責任準備金繰入額、社員(契約者)配当金積立利息繰入額)
生命保険会社特有の決算手続きとして、責任準備金及び支払備金については、毎期年度末(3月末)に、前年度計上額を一旦全額戻入し、当年度の必要額を新たに全額繰り入れる方法(洗い替え方式)により積み立てられます。損益計算書の表示は、(繰入額-戻入額)の差額で表示されますので、繰入額が戻入額を上回る場合には、責任準備金繰入額・支払備金繰入額として表示され、戻入額が繰入額を上回る場合には、責任準備金戻入額・支払備金戻入額として表示されます。
* 社員(契約者)配当金積立利息繰入額
社員(契約者)配当金の支払方法のうち、契約応当日から利息をつけて保険会社に積み立てておく方法による社員(契約者)配当金は、契約の消滅または契約者の支払請求などにより実際の支払いが行われるまで社員(契約者)配当準備金の中に利息をつけて留保されます。社員(契約者)配当金積立利息繰入額は、社員(契約者)配当準備金に繰り入れる当年度の利息による増加額を計上します。

責任準備金の積立率
ディスクロージャー誌で開示されている「責任準備金の積立率」とは、標準責任準備金対象契約に関しては監督当局が定める方式(「標準責任準備金」の解説を参照してください)、また、標準責任準備金対象外契約に関しては平準純保険料式により計算した保険料積立金及び未経過保険料に対して、実際に積み立てている金額の割合を表しています。

総合保険料方式(閉鎖型)
確定給付型の制度において、制度変更により新規の加入者を見込まず既存の加入者受給者のみで運営する制度変更を行う場合がある。こういった制度を閉鎖型と呼ぶがその場合に用いられる財政方式である。

相互会社の評議員会
相互会社では、経営の適正を期するために、評議員会を設置しています。評議員は総代会において、学識経験者やサラリ-マン、主婦など幅広い層の社員の中から選任され、会社が諮問する経営上の重要な事項について意見を述べるほか、契約者から寄せられた会社経営に関する意見・要望などについて審議します。なお、評議員会の名称は会社によって異なる場合があります。

ソルベンシー・マージン
保険業法で定められた保険会社の健全性を示す指標のこと。また予測を超えるリスクに対する各社の支払い能力を示すもの。