最近は、フジテレビなど様々な企業による記者会見が注目される時代ですが、先日、某生命保険会社の記者会見を拝見する機会に恵まれました。
そこで、今回のコラムでは、一般的な会見ルールを含めて、記者会見の在り方などについて筆者なりに思うところを述べてみます。
なお、定番コラムの「気になるニュース」と同様、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
また、事実に関する部分で筆者の記憶違いがございましたら、何卒ご容赦ください。
1.日程
金曜日の15時からスタートした会見でしたが、株式市場が開いていない時間帯や週末をはさんだ日程は、これまで多くの会見でみられた配慮でした。
欲を言えば、土日などでの開催をお願いしたいところでしたが、現実的には無理かもしれません。
古い記憶で恐縮ですが、以前、逆ざやなどの不安材料に苦しむ保険会社で、決算発表日がワールドカップサッカーの開催と同日(6月上旬)に行われ、一部記者から、“翌日の新聞記事を考慮したのか?”と問われ、“昨年と同じ日程に過ぎない”と丁寧に回答されたお姿が印象的でした。
2.開催時間
15時から16時30分までの開催を予定していたようですが、実際には、17時頃まで続き、相当の長時間であったように感じました。
一方、後述の通り、本件はYouTubeで公開されていたこともあり、いわゆる視聴者からのコメントが同時に書き込まれる状態でして、“そもそも重大案件で僅か90分しか会計しないのはどうか”といった書き込みが散見されました。
筆者の記憶では、例えば、保険相互会社の社員総会(総代会)も、10時30分から12時までという印象でしたので、決して短時間という風には思いませんが。
3.会場
残念ながら、会場名は不明でしたが、恐らく都内のホテルであったように見えました。
特に、座席数は十分にあり、時々、カメラが全体像を映した際、かなりの空席が目立つようにも感じました。
後述の通り、司会者からは、日銀記者クラブ向けにまずは会見したがったということでしたので、同クラブメンバーはそれほど多くないのかもしれません。
4.参加者
上述の通り、今回の会見では、同保険グループとして日頃からお世話になっている『日銀記者クラブメンバー』に対する会見のようでして、さらに、質問権も同メンバーに限定されたもののようでした。
特に、フジテレビ会見でも議論になった、「フリー・ジャーナリスト」が質問できないという事態に怒号が飛び交うシーンもあったように記憶していますが、後述の通り、会見後に広報担当および一部の役員が残ってすべての質問に答えるというスタンスをとられていたのが大変すばらしい対応だと思いました。
5.調査方法
あくまでも社内調査ですので、対応に限界があるのかもしれませんが、どうやら、社内での聞き取りが中心であり、一部の参加者からは調査が不十分では?という声もあがっていたように思います。
とはいえ、一日も早い解決が望まれる案件でしょうし、時間が経過するほど、既に退職された元職員などへの聞き取りも困難になるでしょうから、ある程度の“割り切り”は、やむを得ないようにも思います。
もちろん、身内の調査だからこそ、決して甘い対応となってはいけないのですが。
6.第三者委員会設置
フジテレビの会見でも散々指摘されていた点ですが、今回の会見でも、身内だけでなく、日弁連のガイドラインに基づく『第三者委員会設置』を尋ねる質問もありました。
公正かつ公平な調査を遂行するために、弁護士などの外部人材を活用することは有意義だと考えられますが、一方で膨大な調査を短期間で効率的に遂行するためには、同委員会の設置は、まだまだハードルが高いのかもしれません。
7.フルコミッション
会見で、“保険募集人の給与体系、固定給の占率など”に関する質問もありました。
恐らく、“フルコミッション(完全歩合制)”の報酬体系が不祥事の原因では?との考え方に基づく質問だと思われます。
同社からは、“フルコミッションといっても、各都道府県別の最低賃金は保証している”、“米国では「リレーションシップを重視」した報酬体系に進化中”といった回答がありましたので、いわゆる、継続給(=契約の継続率が好調なほど高い手数料が得られる)の考え方が、これを機に広がることが期待されるかもしれませんね。
8.1991年から発生
本件事案は、1991年から始まっていた模様でして、当然、聞き取り調査の対象も退職者を含めた広範囲に及ぶため、現場のご担当者の方々のご苦労が偲ばれます。
なお、参加者からは、“1991年から始まった事案が、なぜ、2023~2024年に集中的に発覚したか、社内で分析したのか?”という趣旨の質問が出ましたが、明確な回答は得られなかったように思われます。
また、100人を超える大量の関与者が出たが、犯行手口が共有されたのでは?という鋭い質問も出たものの、そのような事実は発見されなかったという回答でした。
9.YouTubeでの公開
今回の会見模様はLIVE配信で、日テレNEWSで閲覧できた点がとても有難かったです。おそらく、地上波のニュース時間帯で全体像を伝えることは難しいため、今後も報道機関の使命である“知る権利を守る”姿勢を大いに貫いて欲しいところです。
10.会見終了のさせ方
カメラに映らない大勢の参加者がいらしたようで、予定終了時刻の16時30分を過ぎても、まだまだ質問者から挙手がありました。
なお、16:52分頃に司会者から、現時点での挙手者のみからの質問で締めくくり、後ほど広報担当者が居残りで残りの質問に対応する旨の発言がありましたが、後方にいた参加者からは苦情めいた声が響いていました。
いかがでしたか。会見には新社長も同席されていましたが、経歴をみると筆者と社会人デビューが同じでした。会見の最後の方で、『再発防止策の実行が「目的化」してはいけない。同防止策自体も適時適切に見直すことも重要。』との力強いコメントも印象的でした。
(ペンネーム:活用算方)
2026年01月24日 (土)
記者会見の流儀