アクチュアリー試験講評(2018年度 生保数理 編)


 2018年度のアクチュアリー試験問題が日本アクチュアリー会ホームページで公開されています。受験された方々は、本当にお疲れさまでした。

 合格発表まであと2ヶ月程度ありますので、受験された方も、これから受験される方も気を緩めず、今のうちから試験準備を始めたいところですね。

 早速、生保数理について講評いたしますので、受験生の一助となれば幸いです。

1.問題数
 平成29年度と同じ問題数であったものの、配点が少し異なりました。特に、問題1の6問は1問当たりの配点が4点とやや少なめでしたが、その分、解きやすい問題でしたので、受験生にとって、特段大きな混乱はなかったと思われます。
昨年同様、2時間で8問、つまり15分1問のペースで解ければ、2時間で40点近く獲得できますので、残り1時間で20点弱という理想的な時間配分になるでしょう。

2.各問題のポイント
問題1(1)
解法:解答の選択肢にすべて\(n\)が乗じられていますので、\(n=1\)として解答すれば早いかもしれません。

問題1(2)
解法:死力を2次の多項式で近似する問題ですが、死力の定義に当てはめてみれば、
× \(l_{x-1}\) + × \(l_{x+1}=-\frac{d}{dx}l_x\)
という関係が導けますので、あとは、左辺の二次式が右辺の一次式に(恒等的に)等しいという関係から、二次の係数がゼロなどの条件が得られます。

問題1(3)
解法:終身保険について、保険料払込期間が有期払込の場合と終身払込の関係を導き、かつ、問題文の指示により、逆ステップ払、つまり、保険料払込期間の後半の保険料が前半部分よりも小さい場合について、収支相等の原則から式を立てれば良い流れになります。

問題1(4)
解法:養老保険の責任準備金に関する重要公式 \(_tV_{x:\overline{\ n\ |}}=1-\frac{\ddot{a}_{x+t:\overline{\ n-t\ |}}}{\ddot{a}_x:\overline{\ n\ |}}(0 \leq t \leq n)\) を用いれば良い問題です。

問題1(5)
解法:常に正しい等式を選ぶ問題ですが、過不足なく選ばなければならないため、受験生が嫌がる問題、つまり、受験生の間で最も差が付きやすい問題と言えるでしょう。なお、連生保険の問題では、いわゆる『ベン図』が便利ですが、本問の場合でもベン図が威力を発揮します。

問題1(6)
解法:『生存者総数に占める就業不能者数の割合』という表現が問題文に登場すれば、教科書(下巻)160ページ(13.1.27)の公式を用いるという頻出論点が抑えられている受験生にとっては格好の問題です。
類題:平成25年度問題1(12)

問題2(1)
解法:多重脱退表において、中央脱退率を与えられているので、絶対脱退率が与えられていることと同じである点に気付けば早く解答できるでしょう。

問題2(2)
解法:いわゆる『確率論的表示』に関する問題で、教科書(上巻)140ページ付近の議論を覚えていた受験生にとっては易しい問題です。
類題:平成25年度問題1(6)

問題2(3)
解法:常に正しい不等式を選ぶ問題ですが、同一年度で、常に正しいものを選ぶ問題過が複数出題されるのは珍しいです。特に、選択肢(G)の分数の大小関係は、教科書(上巻)225ページ練習問題(2)の問題(1)と同じ問題です。

問題2(4)
解法:営業保険料に保険料割引効果を入れた場合の問題です。あまり見かけない問題ですが、オーソドックスに収支相等の原則を用いれば良いでしょう。なお、問題文に与えられた表の年払純保険料が、割引前か割引後かが不明確なように見えましたので、混乱した受講生がいらっしゃったかもしれません。

問題2(5)
解法:死亡給付がチルメル式責任準備金で、かつ、付加保険料が予定新契約費のみという条件から、チルメル式責任準備金の第2保険年度以降の純保険料P_2が営業保険料になるという点に気付けば、早く解答できるでしょう。

問題2(6)
解法:延長保険の保険期間を求める問題なので、収支相等の原則を用いて、教科書(下巻)第9章の公式を用いれば良いでしょう。なお、延長保険に変更する場合の、変更後の保険期間を求める場合、根気よく、延長保険期間を1年刻みに計算する力が問われます。

問題2(7)
解法:メーカムの法則に従う場合の条件付連生保険の問題です。定番の積分変形テクニックを熟知した受験生であれば容易な問題でしょう。
類題:教科書(下巻)148ページ問題(20)

問題2(8)
解法:死亡保険金額が災害死亡かどうかで変わる問題。収支相等の原則を用いて、予定災害死亡率を求めれば良い。
類題:平成24年度問題1(14)

問題3(1)
解法:多重脱退表において、複数の脱退率が存在する場合の、絶対ではない脱退者数を求める問題です。教科書では、あまり触れられていない問題ですが、過去問では出題されています。
類題:平成12年度問題2(1)

問題3(2)
解法:昨年の保証期間付収入保障保険に続き、累減(逓減)定期保険における負値責任準備金という論点にスポットを当てた、まさに、実務上、密接な関わりの強い問題です。教科書の練習問題の類題ですので、是非、得点したい問題です。
類題:教科書(上巻)201ページ問題(7)

3.次回以降に向けて
 いかがでしたか。今回の生保数理は、比較的オーソドックスな問題が多かったように思いますので、昨年よりも合格率は高いと予想されます。また、教科書の練習問題からも出題される傾向にありますので、過去問はもちろんのこと、教科書の問題も一通りチェックしておくことが早期合格の秘訣の1つと言えるでしょう。

(ペンネーム:活用算方)

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