英語の勉強(単語編)


新年明けましておめでとうございます。

『一年の計は元旦にあり』という諺がありますが、お正月からこのコラムをご覧になっている皆さんは、アクチュアリー試験合格を含めて、何か新しいことを始めようと考えていらっしゃるかもしれません。

筆者もアクチュアリー正会員になってから、これといって新しい資格に挑戦して来なかったので、今年から英検やTOEICなどの資格試験を中心に、英語を本格的に勉強し直そうと計画しています。

そこで、今回のコラムでは、英語を勉強する際に基本となる単語を増やす方法について、勤務先の勉強会で大変お世話になっている英語教師(もちろんネイティブです)に教えていただいた内容を中心に幾つかご紹介しましょう。

1.専門用語
 昨年のコラム『2018年05月23日 (水) 専門用語の英単語(アクチュアリー編)(https://www.vrp-p.jp/acpedia/892/)』で、アクチュアリーの専門用語に関する英単語の検索方法を幾つかご紹介しましたが、アクチュアリー試験の教科書である『生命保険数学(二見隆著)』も貴重な情報源です。
具体的には、同書の下巻303ページから始まる『用語 索引』で、五十音順に並べられた専門用語に英語表現が付されています。
 なお、実務上、比較的頻繁に利用すると考えられる『経過年数(policy year)』、『普通保険約款(terms and conditions)』、『保険料及び責任準備金の算出方法書(actuarial notes)』、『告示(regulator’s notice)』などは掲載されておりませんので、上述のコラムに登場する情報源と併せて専門用語を習得されれば、実務にも役立つ単語力が増強されるでしょう。

2.語源
 英単語は、『接頭語』+『語根』+『接尾語』という3つの部分から構成されています。
このうち、真ん中にある『語根』は単語の主たる意味を表す部分で、文字通り、単語の『根っこ』に当たります。
例えば、acquire(獲得する)、inquire (尋ねる)、require(要求する)という単語は大学入試やTOEIC等で頻出単語ですが、いずれも「quire(=quest等)」を語根として、何かを求める・手に入れる(『尋ねる』結果、答えを手に入れる等)イメージがあります。ロールプレイングゲームが好きな人は、『ドラゴンクエスト』というゲームをご存じだと思いますが、ドラゴンを『クエスト(quest)=求める・手に入れる』するイメージです。
一方、接頭語・接尾語には、語根を補う意味があり、例えば、接頭語の『ac-』は『ad-』等と同様に、『(何かの方向に)向かって』という意味がありますので、『acquire』=『(何かの方向に)向かって』+『求める』=『獲得する』とイメージできれば忘れにくいでしょう。
このように、語源をフル活用すれば、例えば、『語源100個』×『接頭語・接尾語100個』=『単語10,000個』となりますので、“足し算から掛け算”のように飛躍的に語彙力が高まります。是非、語源力の強化を実践したいところです。

3.基本単語
 4.の英英辞典にも関連しますが、OxfordやCambridgeといった有名な辞書では、『基本単語(例.Oxford 3000TMなど)』と呼ばれる、最低限押さえるべき基本的な英単語を用いて、すべての英単語を説明しています。
 したがって、専門用語以外の一般的な英単語をどこから覚えれば良いのか迷っている場合には、まず、これらの基本単語を暗記するところから始めれば良いでしょう。
 なお、『基本単語』も英単語である以上、別の『基本単語』を用いて説明されなければなりません。例えば、『Oxford Learner’s Pocket Dictionay (Forth edition)』では、『convince』という基本単語は、やはり基本単語である『persuade』を用いて説明されます。しかし、『persuade』の説明では『convince』は用いられていません。
 数学を含めた論理学の好きな人からみれば、『convinceは基本単語ではない?』と思わずツッコミたくなるかもしれませんね(笑)。
 ちなみに、TOEIC公式問題集に掲載されているリスニング問題で、他部署の部長を『説得しよう』と同僚に呼びかけるシーンがあり、そこで『convince her』という表現が登場します。(リスニング問題としては、リエゾン、つまり、コンビンスの『ス』と、ハ―の『ハ』の音声がくっついて、『コンビンサー』と聞こえる点が重要です。)
早速、勤務先のネイティブに、『convince her』という表現を『”persuade her”と言い換えができるか?』と尋ねたところ、少し困ったような表情を浮かべながら、別の日に『徹底例解 ロイヤル英文法(改訂新版)旺文社』の604ページを指さしながら、『convince 確信させる』・『persuade 納得させる』という違いを見せて、『目上の人に対して、その人自身を確信した状態にさせなければならず、逆に、説き伏せるようになっては失礼にあたるのでpersuadeは相応しくないかも。』という丁寧な解説をいただきました。
流石、プロの仕事ですね!

4.英英辞典
 上述の英英辞典を用いて、知っている単語を敢えて調べることで新しい単語を習得するという使い方もあります。
例えば、『bird(鳥)』という単語を英英辞典で調べると、『1 a creature with wings and feathers that can usually fly. Many birds sing and build nests, and female birds lay eggs』(https://www.ldoceonline.com/jp/Birds-topic/)とあります。特に、最後の部分『female birds lay eggs(=メス鳥は卵を産む)』という意味ですが、逆に、『卵を産む』という英語は『lay eggs』と表現するのだな、といった具合です。
なお、上述の講師曰く、非ネイティブの英語学習においては、”Learner’s Dictionary” のように書籍名に ”Learner’s” が含まれるものが良いそうです。

5.英字新聞
 最近はコンビニエンスストアでも手軽に英字新聞が入手できる時代になりましたが、インターネット上のニュースサイト等を利用して単語力を増やすのも効果的です。
 芸能人のスキャンダルやスポーツ選手の活躍など、日本語の意味をイメージしやすい記事を英語でどう表現するのかを意識して読むようにすれば頭に残りやすいでしょう。
 ちなみに、前置詞のamid という単語を、キャッシュレスの普及に関する英文記事“when Japan desperately needs to improve productivity amid a labor shortage and declining population.
https://www.japantimes.co.jp/news/2018/12/03/reference/japan-grudgingly-heads-toward-cashless-society/#.XCl3wMkUnuh)”で覚えました。単に意味を知っているだけではなく、記事の中でどのように使われているか(例.単語の位置など)も併せてチェックする習慣を身に着けたいですね。

6.品詞形
 先ほど、接頭語の話をしましたが、逆に、接尾語で多いのは、品詞の変化を表すことです。例えば、systemという単語の形容詞はsystematicとなりますで、automatic と同様に、『語根』+『matic』=『語根の形容詞形』という具合です。
語源と同様、接尾語を活用しても単語数は飛躍的に増大しますね。

7.グルーピング
日本語での会話を想像すれば、ある単語に必ずといっていいほど一緒に登場する単語があることに気付くでしょう。例えば、『うなぎ』という単語からは、『蒲焼き』、『土用の丑の日』、『山椒』、『中国産』、『天然・養殖』、『ぬめり』といった具合です。
単語同士の関係性は日本語でも英語でも変わりませんので、ある単語を覚えたければ、まず日本語で会話を想定し、その会話に含まれる単語を翻訳すれば、付随する英単語も一緒に暗記できるという仕掛けです。

8.100円ショップ
100円ショップにおいてある品物を片っ端から英語に訳してみるという方法です。(もちろん、普通のスーパーマーケットやデパートなどでも構いません。)
ドラゴンイングリッシュで有名な竹岡広信先生とカリスマ英語講師の安河内哲也先生の対談を収録した『この英語本がすごい!(中経出版)』では、『「進化」や「宗教」という単語が言えるやつが「シャーペンの芯」も言えないという英語教育は、明らかにおかしいですよね。』というやりとりがあります。
実際、Lead(鉛)というのが「シャーペンの芯」を表しますが、100円ショップで販売されている「シャーペンの芯」をよく見ると、包装紙にその単語が載っています。また、ルーズリーフ(Loose Leaf)も100円ショップで販売されていますが、loseとlooseの違いを調べてみても面白いでしょう。

いかがでしたか。アクチュアリーの活躍の場は、年々拡大の一歩を辿っていますが、交渉力や英語力などのグローバルに対応できるスキルを身に着けることは、今後ますます重要になってくるでしょう。
英語力を身につけて、世界各国のアクチュアリーたちと交流しながら、新しい課題の発見や解決方法などについて大いに議論できる環境を構築することが、正会員の役割の一つといっても過言ではないと思います。

ペンネーム:活用算方

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