若手アクチュアリーのワールドカップ


若手アクチュアリーのワールドカップとは

4年に一度のアクチュアリーの祭典である国際アクチュアリー会議(International Congress of Actuaries)。コロナの影響で一年遅れて来年5月にシドニーで開催されます。ICAの開催に際し、若手アクチュアリーのワールドカップが開催されていることをご存知でしょうか?

若手アクチュアリーのワールドカップ(Young Actuaries World Cup)は、35歳以下の若手アクチュアリーの間で行われるグローバルな取り組みで、次のような目的をもっています。

  1. ホットな話題について、若手アクチュアリーの関心を高める
  2. 国際アクチュアリー会議において、若手アクチュアリーに自らのスキルを披露する機会を提供する
  3. 国際アクチュアリー会とその加盟団体において、若い世代が自分たちの代表であることを確認する。

このワールドカップのテーマは、ICA2023のテーマと同じ「明日への架け橋」。参加者は、このテーマを自分なりに解釈し、次のような問題を取り上げることとされています。

  • アクチュアリーのスキルが活用される新しい分野
  • アクチュアリーはより良い社会にどのように貢献できるのか
  • 大きな問題に取り組むための革新的な方法
  • データ解析と AI の可能性と限界
  • 数式や数学的方程式:革新的な設計や新しい使用法である可能性がある
  • 商品:新商品を発表する、あるいは既存の商品に新しい使い方や新機能を付与する、など
  • データ分析:データがどのように分析されるか、あるいはそこから導かれる結果についての洞察を提供する
  • 気候問題:アクチュアリーはこの分野の知識にどのように貢献できるのか

 

世界各国のアクチュアリーが参加

若手アクチュアリーのワールドカップの参加者を地域別に見ると、アジアとアフリカからの参加者が多いことがわかります。世界人口の約6割を占めるアジア、そして高度経済成長と先進国の倍の勢いで人口増加を続けるアフリカ。この2つの地域の今後の台頭を示唆するエントリー数となっています。

・アジア:16名
・アフリカ:11名
・ヨーロッパ:9名
・北米:3名
・オセアニア:3名
・南米とカリビアン:2名

日本にいるとアフリカのアクチュアリーと触れる場面は多くないと思います。例えば、ケニア。ケニアは長引く干ばつやイナゴ被害に苦しめられている国です。食料の安全保障が重要であり、農業保険の普及を目指した開発協力が行われています。新型コロナの影響で値段が倍増した肥料も。そんな中で注目を集めているのがバイオ肥料。利用可能なデータが不十分な中で、バイオ肥料を用いた生産者に対する農業保険をどのように開発すべきか。ケニアの若きアクチュアリーが熱く語っています。

 

ダース・ベイダーに死亡保険の告知を求めるユニークなビデオもあります。ダース・ベイダーはストレスに悩んでいるようですね。日本でも人気のダンス系のエクササイズであるZumbaのクラスを勧めるというお茶目な演出も。ルークにはテレマティクス保険を販売。危険運転の片鱗があるルークのパイロットライセンスが没収されそうになっています。ノンネイティブ用に、英語の字幕がついているのもありがたいですね。

 

すべての動画の概要をWordcloudで表示すると…

 

上段には大きく「data」の文字が。左下の「AI」という文字も目立ちます。気候変動関連の用語もいくつかありますね。

 

日本からの参加したアクチュアリーは6名

国際アクチュアリー会はTwitterでこの取組をツイートしています。その第一弾が日本からのエントリーでした。2026年に日本で国際アクチュアリー会議が開催されることへの配慮があったのかも。

 

所属会社別に見ると、住友生命、三井住友海上、日本生命、第一生命、PwC、明治安田生命。詳しくはワールドカップのサイトから。

 

2026年の国際アクチュアリー会議は日本で開催

2026年に開催される第33回国際アクチュアリー会議の開催地は東京です。日本では、1976年に東京で開催してから50年ぶり2度目の開催となります。シニアなアクチュアリーから、1976年の国際アクチュアリー会議の様子を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

1976年(昭和51年)の第20回会議は欧米以外でははじめての開催地として東京が選ばれ、世界44カ国から約2,200名にものぼる参加者を見るなど空前の規模の会議となった。また、皇太子ご夫妻(現在の天皇・皇后両陛下)を迎えてのオープニングセレモニー、大会会場となった帝国ホテルでのレセプションパーティ等、このときの華やかさは今でも語り草となっており、その後のICAの運営に大きな影響を与えたといわれている。
(出典:新版アクチュアリー)

半世紀ぶりに東京で開催される国際アクチュアリー会議。その中心を担うのも、この記事を読んでくれている若手アクチュアリーなのかもしれません。

(ペンネーム:ceraverse)

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