転職の心得


毎年2月はアクチュアリー試験の合格発表の月です。受験生にとっては合否結果にハラハラドキドキする時期ですね。

また、2月は会社で新年度(4月~)の人事異動が決まる時期でもあります。アクチュアリーに限らず、社内の人事情報に敏感になる時期かもしれません。

一方、昨年12月のアクチュアリー試験に手応えを感じている受験生(特に、準会員、正会員になる自信がある人)の場合、この時期に転職活動の準備や検討を開始する人もいらっしゃるかもしれません。

そこで、転職経験者としての反省を踏まえて、転職活動における注意点などを思いつくまま列挙してみます。転職を考えている方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

1.経歴の棚卸し

アクチュアリーに限らず、転職市場が昔に比べてかなり活性化しています。特に、インターネットの普及で、情報伝達が極めて容易になった点も活性化の要因と考えられます。
また、転職を考えていなくても、ある日突然、ヘッドハンターから電話がかかってくることも珍しくありませんし、実際に話を聞いてみると、自分のキャリアなどに相応しい好条件ということもあり得ます。
“好機を逃すな”という“ことわざ(=事技)”があるように、履歴書などの書類を常に最新化しておいて、いつでも転職活動ができる態勢を整えておくことは、まさに、好機を逃さない秘訣であると考えられます。
仮に、転職する気がなくても、勤務先でのキャリアアップを考えるために、これまでのキャリアを定期的に振り返ることは非常に有益でしょうし、何より、いつでも転職できる状態を保つことは、精神的にかなり楽になるでしょう。
ちなみに、履歴書、職務経歴書、英文レジュメの3点セットは転職に欠かせません。特に外資系への転職を考えている場合、英文レジュメは必須アイテムです。英語の勉強も兼ねて英文レジュメも準備しておけば、いざというときに思わぬ力を発揮するでしょう。
なお、あくまでも一般論ですが、40歳以上で転職する場合には、管理職経験を問われることが多いので、これまでの管理職経験(例.部下育成、組織運営など)も併せて整理しておくと良いでしょう。

2.良きヘッドハンターを探す

個人的なつながりや、転職先からの“一本釣り”で転職する例もゼロではありませんが、やはり、ヘッドハンターを通じた転職が多いものと思われます。
弁護士や医者を探す場合と同様に、“周囲の評判(口コミなど)”は、かなり頼りになりますので、転職経験者にヘッドハンターや転職サイトなどを紹介してもらうのも1つの方法です。
筆者も転職の際、VRPパートナーズの大谷さんに大変お世話になりましたが、その御縁で、転職後も幅広い人脈が構築できていることを大変感謝しております。
転職後に真摯につきあえるヘッドハンターが、本当に信頼できるヘッドハンターと言っても過言ではありません。

3.将来のキャリアビジョンの明確化

ただ漠然と転職したいというだけでは上手く行きません。自分が将来どのようなキャリアを形成したいのか、そのためには、どのようなポジションを目指すべきなのか、さらに、そのためには現時点でどのような資格取得や経験をしておくべきかを明確にしておく必要があります。
逆に、キャリアビジョンが明確になってくれば、応募書類にも深みが増してくるでしょうし、書類選考をパスする可能性も高くなるでしょう。

4.希望条件の明確化

転職の条件には、給料、職種、業種、会社規模、上司の属性(例.年下上司はOKか)、勤務地など、様々な要素があります。
例えば、給料については、ただ単に高いことが良いとは限らず、その分、責任も強くなってくるでしょう。希望金額と最低金額を明確に設定しておけば、もし、複数の案件が登場したときに優先順位を付けやすくなるでしょう。
大事なことは、特定の条件だけに拘りすぎず、全体のバランスを考慮するという点です。
実際、目先の給料にだけ注目して転職したものの、想像していた仕事や組織運営でなかったため、仕事がやりにくかったという話も珍しくありません。

5.自己分析

特定のスキルを持っていることはもちろん、それ以上に人間性そのものを選考基準としているケースもあります。どんなに仕事のスキルや専門性が高くても、コミュニケーション能力が低い場合、組織に向いていないと考えられ、敬遠される可能性もあります。職種に限らず、職場での円滑な人間関係は、何よりも替えがたい要素でしょう。

日ごろから自分自身の強みと弱みをしっかりと分析しておいて、強みはアピールポイントとして、また、弱みについても、その弱みをいかに克服しようとしているかという前向きなスタンスを示すことも重要と考えられます。

6.ジョブホッパーではなく、キャリアビルダーを目指せ

以前、NHKのラジオ英語講座で講師の新将命(あたらし まさみ)氏が次のようなコメントをされていました。

“転職するときは、job hopperではなくcarrier builderを目指せ。”

似たような職種を転々としている場合、採用側からみれば、仕事が長続きしない(=ストレス耐性が弱い)、といったネガティブな印象を与えかねません。
一方、自分自身のキャリア構築のためには転職する必要があったことをアピールできれば、面接時にも好印象を与えられるかもしれません。

7.転職する理由

転職時の面接で必ず聞かれる、『なぜ、転職しようと思ったのですか?』は定番中の定番の質問です。
一般論として、転職に限らず、物事を決定する際、3つの理由が列挙できることが1つの目安と言われています。
転職を検討する際、納得感のある転職理由を3つ列挙できれば問題ないでしょう。

近年、日本では、いわゆる終身雇用が崩壊しつつありますが、一方で、そのような環境だからこそ、1つの会社で地道にキャリアを積み重ねて、定年まで勤めあげることも、社会人として非常に立派なことだと思います。

いずれにせよ、悔いのないように1日1日を大切に過ごすことが、結果的に充実した幸せな人生を歩む秘訣であることは間違いでしょう。

(ペンネーム:活用算方)

あわせて読みたい ―関連記事―