合格率の推移から見えてくるもの


平成28年度のアクチュアリー試験の合格発表が行われました。

科目別の合格率の発表には、まだ時間がかかるようですが、合否結果の確定を踏まえ、次回の試験に向けて、受験科目の選定やスケジュールを立てる人も少なくないと思います。

そこで、これまでの合格率の推移をグラフで表した上で、そこから見えてくるものを探してみましょう。

なお、ご案内のとおり、平成12年度からアクチュアリー第1次試験の科目体系が大きく変わりましたので、平成12年度以降の合格率推移に着目してみます。

【グラフ1:科目別の合格率】

合格率(第1次試験)合格率(第2次試験)

【グラフ2:合格率の平均と分散】

合格率の平均(H12〜H27)合格率の分散(H12〜H27)

これらのグラフから、少なくとも、2つのポイントが挙げられます。

《ポイント1》第1次試験の方が第2次試験よりも合格率が高い。
《ポイント2》第1次試験の方が第2次試験よりも合格率のバラツキが高い。

 上記のポイントを踏まえた上で、試験対策について考えてみましょう。

《ポイント1》第1次試験の方が第2次試験よりも合格率が高い。
  第2次試験の合格率が第1次試験に比べて低い原因としては、実務的な課題解決力が第2次試験で問われていることが考えられます。つまり、第2次試験では、教科書に書かれていない論点についての実務経験を踏まえた解答力が必要となります。
  逆に、第1次試験は、教科書の内容を正しく理解していれば早期合格が十分可能であるとも言えます。実際、資格試験要領では、第1次試験の出題範囲は指定教科書に限定する旨が明記されています。
  したがって、試験対策としては、若いうちに第1次試験に果敢にチャレンジした上で、1つでも多くの科目を早めに取得することがポイントとなるでしょう。

《ポイント2》第1次試験の方が第2次試験よりも合格率のバラツキが高い。
  合格率のバラツキが高いということは、多少、勉強が十分でなくても、合格率の高い年に遭遇できれば、一気に合格科目数を増やせるチャンスがあることを意味しています。
  受験生の間では、この“合格率の高い年”を、ビッグウェーブと呼んだりもします。
  したがって、試験対策としては、たとえ勉強量が不十分であったとしても、第1次試験にはできるだけ多く受験することがポイントとなるでしょう。
  特に、受験料を勤務先で負担していただけるような非常に恵まれた環境にいる方々は、第1次試験を受験される際は、残りの第1次試験科目すべてを毎回受験する意気込みで臨まれると良いでしょう。

いかがでしたか?

実践されていらっしゃる方もいらっしゃり、表現が極端かもしれませんが、“数撃ちゃ当たる”のお気持ちを持ちながら、気楽にかつ真摯に臨むことが早期合格の秘訣と言えるでしょう。

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