2025年アクチュアリー試験の直前対策(生保2編)


2025年のアクチュアリー試験まであと数か月となり、受験生におかれましては、そろそろラストスパートに突入される時期かと存じます。
また、CBTによる試験がスタートしていますので、特に第2次試験(専門科目)が初受験の方は是非、体験版(https://www.prometric-jp.com/trial/tutorial/actuaries/second_stage_exam/index.html)で、操作方法などを事前にチェックしておきたいですね。

そこで、今回のコラムでは、アクチュアリー試験のうち「第2次試験(生保2)」について、重要性が高いと考えられる論点を幾つかご紹介いたしましょう。
なお、当コラムに関連する過去のコラム(https://www.vrp-p.jp/acpedia/4723/https://www.vrp-p.jp/acpedia/4302/https://www.vrp-p.jp/acpedia/3675/https://www.vrp-p.jp/acpedia/3262/https://www.vrp-p.jp/acpedia/2371/)も併せてご覧いただけますと幸いです。

1.時事問題候補

以下の項目が第2次試験(専門科目)のうち、生保1および生保2における時事問題候補と考えられますので、未対応の場合は、優先的に取り組んでいただけますと幸いです。
1)経済価値ベースのソルベンシー規制
2)金利(株価)上昇
3)アフターコロナ
4)支払備金(例.IBNR備金の算定における新型コロナの影響除外など)
5)自然災害(例.地震・噴火・津波など)

2.保険商品審査事例集

金融庁『保険商品審査事例集
も、時事問題の宝庫ですので、是非、チェックしましょう。
ただし、筆者が見る限り、直近の同事例集(令和6年12月および令和7年5月)では、生保2に直接関連するものは見当たりませんでした。
このため、冒頭ご紹介しました過去のコラムで、同事例集において生保2に直接関連するものをご覧ください。

3.監督指針

金融庁『保険会社向けの総合的な監督指針』については、第Ⅰ部(知識問題)で穴埋め問題を中心に出題可能性が高いようです。
特に、過去の改定内容が金融庁『監督指針等の一部改正に関する報道発表』(https://www.fsa.go.jp/common/law/index.htmlおよびhttps://www.fsa.go.jp/common/law/public.xlsx)で閲覧可能ですので、併せて確認されるとよいでしょう。

なお、経済価値ベースのソルベンシー規制に関しては、最終確定の告示および監督指針などが発出されていますので、専用サイト『https://www.fsa.go.jp/news/r7/hoken/20250723/20250723.html』を必ずチェックしてください。

4.インシュアランス保険統計号(保険研究所)


昨年の当コラムでも紹介した貴重な資料ですが、残念ながら新規刊行が停止されている模様です。
ただし、保険会社などにお勤めの場合、勤務先で過年度冊子が閲覧できるかもしれませんので、「主要概況」を中心に過去数年分をご覧いただければ、時事問題のネタ探しに役立つかもしれません。
業界人の一人として、是非とも復刊を期待したいところです。

5.生保・損保特集号(週刊東洋経済)

これも昨年の当コラムでも紹介した貴重な資料ですが、無事に刊行され続けている模様です。
特に、生保2については、ESR(経済価値ベースのソルベンシー規制等)に対する各社の動向(含む、内部管理指標の創設・改定)など、第Ⅱ部(論述問題)の解答にも応用できる内容が含まれる可能性が十分にありますので、試験勉強中の休憩を兼ねて、熟読されると良いでしょう。

なお、12月の試験本番に最新号の内容は反映されないものと思われますので、昨年以前のものを閲覧されることをおススメします。(昨年以前のもののリンクは、以下の通りです。)
https://str.toyokeizai.net/search/?topics_keyword=%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%9D%B1%E6%B4%8B%E7%B5%8C%E6%B8%88+%E8%87%A8%E5%A2%97%28%E7%94%9F%E4%BF%9D%E3%83%BB%E6%90%8D%E4%BF%9D%E7%89%B9%E9%9B%86%29

6.文字数制限

昨年度の第2次試験では、論述問題における「文字数」について、生保1および生保2でルールが引き続き異なりました。具体的には、生保1では「●●文字程度」で、生保2では「●●文字以内(←目安ではない!)」となっていました。
なお、当コラムの出だしで紹介しました「CBT体験版」では「●●文字程度」とありますので、ご注意ください。

7.実質資産負債差額の廃止

最後に、経済価値ベースのソルベンシー規制に関連して一言申し上げます。
今年度の資格試験要領「別紙(1) 試験科目・内容および教科書・参考書」では、

“金融庁より2025年7月23日に公布され2026年3月31日から適用される、
経済価値ベースのソルベンシー規制(新規制)の法令等(監督指針含む)の
内容や具体的な計算方法が問われることはありません。”

とありますので、受験生としては一安心という感じかもしれません。

しかし、以前から金融庁公開資料において、実質資産負債差額の廃止がアナウンスされてきましたので、「何故廃止なのか?」、「そもそも実質資産負債差額とは何か?」、「実質資産負債差額のメリデメは?」といった、経済価値ベースのソルベンシー規制にかかる法令案と直接連動しない内容としての出題は大いに考えられます。
余力があれば、是非チェックされることをお勧めいたします。

いかがでしたか。昨年のコラムでも触れましたが、アクチュアリー試験は直前になればなるほど、緊張感からか、なかなか集中できない日々が続く可能性もあります。今回ご紹介した内容をしっかりと押さえ、良い結果につながることを祈念しております。


(ペンネーム:活用算方)

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