ディスクロージャー資料の読み方


いよいよ、今月からは、就職活動としての第一歩である『エントリーシート』の作成・登録が始まる時期ですね。

また、就職活動の面接においても、保険会社等の企業研究を学生の皆さまがどこまで熱心に深く行っているかについて、面接官から質問される可能性が高いかもしれません。

そこで、今回のコラムでは、保険会社等の企業研究にも役立つように、ディスクロージャー資料の読み方(見るべきポイントなど)を幾つかご紹介いたしましょう。

なお、内容をより具体的にするため、日本生命のディスクロージャー資料
【資料1】https://www.nissay.co.jp/kaisha/annai/gyoseki/pdf/2019/disc2019.pdf
【資料2】https://www.nissay.co.jp/kaisha/annai/gyoseki/pdf/2019/disc2019_02.pdf
を参考にさせていただいたことを予めお断りしておきます。

1.社長メッセージ
企業研究を始める際、経営理念をご覧になって頂きたいのですが、それと同時に、『社長メッセージ』にも目を通したいところです。お客様に向けてはもちろん、従業員に向けたメッセージという意味もありますので、自分の理想とする会社のイメージと合っているか等を確認してみる良いでしょう。

2.前半のカラーページ(←【資料1】)
大抵のディスクロージャー資料では、前半部分がカラーページで決算等のハイライトや会社が注力している点など、まさに、会社の『看板』としてアピールしたい事柄が満載です。
例えば、以下のページの内容を十分理解しておけば、会社の全体像はもちろん、一寸した雑談等にも役立つことでしょう。
  (1)4~5ページ:グループ全体の状況(←国内外を問わず、買収等を通じて、どのような成長戦略を描いているのかを見極めたいです)
  (2)6~11ページ:決算の状況(←主要数値はその増減も含めて必ず把握しておきましょう)
  (3)22~25ページ:中期経営計画(←アクチュアリー第2次試験の解答では、中期経営計画に沿った商品開発を行うかが論点の1つです)
  (4)26~53ページ:担当役員の顔写真入りで管掌業務を紹介(←希望する部署の役員氏名は押さえておきたいです)
  (5)54~55ページ:ERM(←アクチュアリー試験にも使えます)
  (6)58~61ページ:人材育成(←新入職員はもちろん、中途採用者に対するメッセージもあると尚良いです)
  (7)62ページ:健康経営(←最近の流行論点です。会社間で比較してみるのも面白いでしょう)
  (8)86~89ページ:リスク管理(←アクチュアリー試験にも使えます)
  (9)90~95ページ:役員一覧(←会長と社長が同じ誕生日です!)
  (10)99~103ページ:総代会Q&A(←採用面接にも使えます)

3.後半の白黒ページ(←【資料2】)
会社の組織や決算情報の詳細が掲載されています。上述のカラーページと同様に、以下の箇所を中心に読まれると良いでしょう。
(1)3ページ:会社の組織図(←アクチュアリーであれば、保険計理人の表示が気になるかもしれません。例.取締役会と線で結ばれているか等)
(2)4ページ:従業員の状況(←平均年齢、男女比はもちろん、平均勤続年数の増減にも注意したいところです)
(3)36ページ:ソルベンシー・マージン比率(←各項目の増減に注意しましょう)
(4)46ページ:基礎書類(←開示当初は内訳が非開示でしたが、最近は内訳を開示する会社が増えているようです)
(5)62ページ:死亡率(←件数率と金額率の大小関係を会社間で比較してみるのも面白いでしょう)
(6)63ページ:第三分野発生率、事業費率(←会社間で比較してみるのも面白いでしょう。ただし、事業費率については、貯蓄性商品、つまり、保険料単価が高い商品占率で値が変わりやすい点にも注意が必要です)
(7)65ページ:責任準備金の積立方式(←平準純保険料式が最も手厚い積立てですが、設立間もない会社等ではチルメル式もあります)

なお、上記では触れませんでしたが、実質資産負債差額、継続率などの指標を開示している会社もありますので、ディスクロージャー資料を通じた『情報開示の在り方』について、会社間で比較してみるのも面白いでしょう。

いかがでしたか。お見合いをする場合、相手のことをできるだけ多く・深く知ろうと『釣書』を熱心に熟読されることと思います。
就職活動も全く同じです。
つまり、就職先のことをできるだけ多く・深く知ろうと『ディスクロージャー資料』を熱心に熟読されることをお勧めいたします。

(ペンネーム:活用算方)