気になるニュース(2020年12月)


11月に引き続き12月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。

1.新配当
明治安田生命さんが「MYミューチュアル配当」を創設されました。長期間にわたり内部留保の積み立てに貢献いただいた契約者に対して、内部留保への貢献度に応じて還元する仕組みで、生保業界初のようです。
が、素朴に気になる点が2つあります。
1つ目は、契約者配当の算定方法です。「ミューチュアル・ポイント×ポイント単価」という計算式で契約者配当が算定されるようですが、この「ポイント単価」は、「支払時における会社の健全性の状況に応じた単価」となっており、「最低保証」の有無や将来的に「ポイント単価」が下がる可能性など、契約者からみて、不確定要素が多いような気がします。もっとも、契約者配当自体が不確定要素で構成されているのも事実ですが。
2つ目は、対象契約の条件です。「経過20年、以後10年ごとにお支払い」とありますが、例えば、10年更新型の特約を付加した契約の場合、2回目の更新をしなければ配当受給権がなくなるようなことがあってはならないと思えます。というのも、過年度における内部留保への貢献度に応じて配当を行うという観点から、更新後の契約状況は当該貢献度とは関係がなく、逆に、「高額な」保険料払込を「人質」にするような仕組みにはして欲しくありません。実際、ニュースリリースの【モデルケース】では、更新時に保険料が6割超アップしていますので、2回目の更新となるとそのアップ率は相当なものとなることが予見されます。

2.社長交代
住友生命さん、富士生命さんで、社長が交代される模様です。特に、富士生命さんの新社長は保険代理店ご出身者のように見えましたので、営業を強化する狙いがあるかもしれません。また、アフラック生命さんは、専務執行役を新たに採用される模様です。お名前を拝見いたしましたが、以前、マニュライフ生命さんで社長をお勤めされた方と同姓同名でした。なお、時節柄、新型コロナウイルス感染症に罹患された社長もいらっしゃるようですので、謹んでお見舞い申し上げます。

3.商品アイデア
SBI生命さんは、商品アイデアを定期的に募集されておりますが、今回のSBI生命大賞は、「子どもの結婚に伴うリスクに備える保険」が受賞された模様です。できれば、商品アイデアの具体的な内容も開示して欲しいのですが、会社固有の知的財産ということでしょうか?いずれにせよ、お子様からお年寄りまで、幅広いアイデアを用いて、公共性の極めて高い生命保険業を運営されるアイデアも、大変すばらしいものだと感じます。

4.保険ランキング
オリックス生命さんが、『NEW よい保険・悪い保険 2021 年版』(徳間書店)において、ランキング第1位を獲得された模様です。そういえば、週刊誌で一時期、生保ランキングが定期的に行われていた記憶があるのですが、最近あまりみかけないような気がします。順ざやに転じた会社も増える中、生命保険会社に対する信用不安は遠のいたという証跡かもしれませんね。

5.先進医療保険・特約の保険料水準
第一生命さんが「先進医療保険」の保険料率を引き下げる模様です。厚生労働省にて「先進医療」の見直し検討が実施され、2020年4月1日より「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」等が「先進医療」から削除されたことが要因のようです。ただし、2021 年1月2日以降となる新契約が対象のようでして、既契約遡及されない模様です。ただし、契約者配当により差額要請等はあるのかもしれません。「先進医療」の保障範囲自体は常に最新の状態に洗い替えられますので、当該保険料部分だけでも既契約遡及して安くすれば良いのにと、個人的に思います。なお、一部の団体信用生命保険等では、同保険の保険料は個人保険に比べてかなり低水準となっているとも聞いたことがあります。

6.経営統合
ソニー生命さんとソニーライフ・ウィズ生命さんが統合される模様です。共に、ソニーグループですから、むしろ、共通ブランド下で業務効率化を図る目的があるのかもしれませんが、単独で経営すると何か問題が出てくるのか?といった変な勘繰りが出てこないことを祈るばかりです。実際、破綻は免れたものの、2000年前後にコロコロと会社名が変わる会社が登場したため、一部マスコミが騒ぎ立てた記憶があります。その後、財務内容の問題ではなく、単に、親会社のプレゼンスが日本の会社よりも低くなることを懸念した結果であると耳にした記憶もあります。

7.在宅勤務等の推進
チューリッヒ生命さんが、多様な働き方や働く場所の実現に向けて人事制度を改定された模様です。通勤定期代を廃止する代わりに、在宅勤務手当を5,000円支給されるようです。(1か月の)通勤定期代は5,000円よりも高いかもしれませんが、出社時の交通費は実費が支給されるようですので、従業員にとって金銭的な不利益はない模様です。なお、ニュースリリースでは不明でしたが、例えば、ご自宅にインターネット回線がない場合には、wi-fiの貸与等があるのかも気になります。もっとも、最近のスマホでは、テザリング機能も充実しており、私の私用スマホは50GBまで使えますので、在宅勤務にも十分耐えられますが。

8.健康増進
東京海上日動あんしん生命さんが、東京メトロのアプリと提携して、日々の歩数を増加させる効果を狙う模様です。一駅前で降りて歩くのも、毎日続けることが肝要ですので、このような取り組みは本人の健康状態改善はもちろん、長期的には、国家の医療財政負担軽減につながりますので、是非、国家レベルでも推進して欲しいところです。

9.商品別保有契約高
ライフネット生命さんが、定期死亡保険の保有契約件数が20万件を突破されたことを公表されました。これまで、個人保険全体の保有契約件数が●●万件突破という発表はよく見かけたのですが、このように特定の商品群だけで発表されたのは珍しいと思います。定期死亡保険が主力保険のため発表したようですが、「主力保険=稼ぎ頭」ということかもしれませんね。

10.指定感染症の延長
特定の生命保険会社のニュースではありませんが、新型コロナウイルス感染症に深く関係のある、指定感染症が1年延長された模様です。https://medical.jiji.com/news/38041
新型コロナウイルス感染症に伴う営業保険料引上げは、「やりたくてもできない。」状況かもしれませんね。

いかがでしたか。今回、各生命保険会社のホームページを一通り拝見させていただきましたが、引き続き、新型コロナウイルス感染症の罹患者を伝えるニュースリリース/プレスリリースが多かった気がします。やはり、第三波の到来ですね。

(ペンネーム:活用算方)

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