年金数理人会試験改正がアクチュアリー試験に与えた影響(続き)


2022年5月11日(水)のコラム「年金数理人会試験改正がアクチュアリー試験に与えた影響」で、日本年金数理人会能力判定試験(以下、「能力判定試験」という。)のうち、基礎数理Ⅰ(数学)、基礎数理Ⅱ(生保数理)および会計・経済・投資理論が廃止され、今後は、日本アクチュアリー会資格試験の結果を活用する旨を紹介いたしました。

当時のコラムでは、上記科目の廃止が、2021年度の日本アクチュアリー会資格試験にどのような影響を与えたのかについて、受験者数や合格率などのデータを用いて分析いたしましたが、同コラムの執筆時点では、肝心の『2021年度の申込者数』がまだ開示されておりませんでしたので、欠席率等の分析が行えませんでしたが、幸い、『アクチュアリージャーナル第119号(JUN.2022.VOL.33)』74ページの“2021年度資格試験合格者発表”にて、同申込者数が公開されました。

そこで今回のコラムでは、当該データを反映しながら、当時のコラムをアップデートいたします。
なお、当時のコラム中、「受験者数」および「合格率」については、既に最新のデータが反映済ですので、当コラムでは割愛させていただきます。

1.申込者数の推移

第1次試験(基礎科目)について、2021年度のデータまで反映した最新の申込者数をグラフで表すと以下のようになります。(現時点で、平成12年度のデータは依然として不明です)
第1次試験では、年金数理以外の申込者数が依然として減少傾向にありますので、能力判定試験科目の廃止に伴う申込者数の増加とはなりませんでした。


また、念のため、第2次試験(専門科目)の申込者数もグラフで表すと以下のようになります。(現時点で、平成12年度のデータは依然として不明です)
第1次試験と同様に、全科目で申込者数が減少傾向にあります。

2.欠席率の推移

第1次試験について、2021年度のデータまで反映した最新の欠席率(=1-受験者数/申込者数)をグラフで表すと以下のようになります。
特に、2020年度に引き続き、2021年度も欠席率が減少傾向にあることは、大変喜ばしいことのように思います。

一方、第2次試験の欠席率は、第1次試験に比べると母数が少ないこともあり、ブレが大きいように思えますが、第1次試験と同様、2021年度は欠席率が減少傾向にあります。

それにしても、欠席率が高いですね。受験料を会社が負担するからといって、やむを得ない事情がない限りは受験すべきであると思います。なぜならば、会社が負担する受験料の源泉は、契約者からいただいた営業保険料が原資になっていますので。

いかがでしたか。前回に続いて今回のコラムも、アクチュアリーおよび年金数理人を目指す方々の一助となれば幸いです。それにしても、平成22年度の欠席率が気になりますね。。。

 

(ペンネーム:活用算方)

あわせて読みたい ―関連記事―