年金数理人会試験改正がアクチュアリー試験に与えた影響


2021年4月30日に、日本年金数理人会能力判定試験の改正(一部科目の廃止)が、日同会ホームページでアナウンスされました。
http://www.jscpa.or.jp/cms/index.php/download/files/735/2022jouhou.pdf
特に、基礎数理Ⅰ(数学)、基礎数理Ⅱ(生保数理)および会計・経済・投資理論については、2021年度をもって廃止され、今後は(引き続き)日本アクチュアリー会資格試験の結果を活用することとなりました。
そこで、今回のコラムは、上記科目の廃止が、2021年度の日本アクチュアリー会資格試験にどのような影響を与えたのかについて、受験者数や合格率などのデータを用いて分析してみましょう。

1.受験者数の推移
最近の受験者数をグラフで表すと以下のようになります。
特に、数学、生保数理および会計・経済・投資理論については、数年前から、受験者数が減少傾向にありますので、上記科目の廃止ではなく、別の要因(例.最近の合格率が高い、アクチュアリー人気の低下など)が考えられます。

2.申込者数の推移
最近の申込者数をグラフで表すと以下のようになります。
平成12年度および2021年度のデータが(現時点では)不明であるため、受験者数のグラフと表示範囲が異なる点はご容赦ください。
特に、数学、生保数理および会計・経済・投資理論については、受験者数と同様に、数年前から減少傾向にありますので、やはり、上記科目の廃止ではない別の要因が考えられます。
        

3.合格率の推移
最近の合格率をグラフで表すと以下のようになります。
特に、生保数理および会計・経済・投資理論については、ここ数年の合格率は高い傾向にありますので、合格者数の増加のため、申込者数(受験者数)の減少要因となっていることが考えられます。
それにしても、年金数理の“乱高下”が目立ちますね。

4.第2次試験(専門科目)の動き
最近の合格率および受験者数をグラフで表すと以下のようになります。
特に、生保と損保・年金で、明らかに受験数が二極化していることがお分かりいただけることと思います。
平成24年度付近で受験者数が急上昇している点は、ひょっとすると、合格率の高さ(=ビッグウェーブ)以外の要因があるかもしれません。

5.欠席率の推移
第1次試験(基礎科目)の欠席率(=1-受験者数/申込者数)は概ね、30%前後で安定的に推移しています。
一方、第2次試験(専門科目)の欠席率は、第1次試験に比べると母数が少ないこともあり、ブレが大きいように思えます。
それにしても、欠席率が高いですね。受験料を会社が負担するからといって、やむを得ない事情がない限りは受験すべきであると思います。なぜならば、会社が負担する受験料の源泉は、契約者からいただいた営業保険料が原資になっていますので。

いかがでしたか。今回のコラムが、アクチュアリーおよび年金数理人を目指す方々の一助となれば幸いです。平成22年度の欠席率が気になりますが。。。

(ペンネーム:活用算方)

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