気になるニュース(2022年12月)


11月に引き続き12月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。

1.死亡者数の増加

厚生労働省から公表された『人口動態統計速報(令和4年10月分)』によれば、昨年に比べて死亡者数が増加しています。
生命保険会社からみれば、今後、死亡保険金の請求金額が増加する可能性もあるため、新型コロナによる入院給付金とともに注視する必要がありそうですね。
くれぐれも、新型コロナワクチンの影響でなければよいのですが。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2022/10.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2022/dl/202210.pdf

2.登録の取り消し

少額短期保険業者の登録が取り消されました。
取り消しに至る事実としては、“事業計画を策定し必要な資金調達を行うことを求めているが、事業計画の算出根拠が不明確であるほか、同計画について保険計理人の意見を得られていない。また、資金調達方法は、実現性に欠けるものとなっている。”とあります。

資料によれば、保険計理人(業務)を外注していた模様ですので、会社内部の保険計理人に比べると、ある意味で意見が言いやすい環境下であったのかもしれません。
あるいは、外部の保険計理人からは、同計画が妥当ではない旨を意見が示されたにもかかわらず、当該意見を無視して同計画を主務官庁に提出したのかもしれません。
もちろん、いずれも単なる“推測”に過ぎませんが。
https://lfb.mof.go.jp/chugoku/syoutori/torikesi20221208.pdf

3.標準生命表の水準の妥当性

日本アクチュアリー会から、「標準生命表」の水準の妥当性について、引き続き適用することが適当である旨が公表されました。
なお、「生保標準生命表2018(死亡保険用):経験死亡率の水準」、「第三分野標準生命表2018:国民生存率の水準」、「生保標準生命表2007(年金開始後用):国民生命表の平均余命」が、それぞれ判定基準対象となっている模様です。

また、各生命表の西暦は「大文字」であるのに対して、日付を表す西暦(例.2023年度など)は「小文字」となっている点も特徴です。
アクチュアリー試験はCBT方式による試験となりましたので、同じ西暦であっても、生命表に付随する場合と日付を表す場合とでは、文字の大きさが異なる点に注意されるとよいでしょう。
https://www.actuaries.jp/info/20221208.html

4.入院給付金日額の上限変更

新型コロナによる入院給付金の支払金額が昨年に比べて大幅に上昇しておりましたが、2022年9月下旬の“対応”で、今後は徐々に同金額が落ち着くことが期待されます。
このような背景を踏まえて、医療保険の(新契約の)入院給付金日額の上限を引き上げる動きがありましたので、消費者にとっては喜ばしいことですね。

なお、保険料率を改定することは触れられておりませんので、恐らく、同料率はそのままであると思われます。
くれぐれも、“上限を引き上げる”見返りとして、“保険料率を引き上げる”という動きがないことを期待したいところですね。
https://www.axa-direct-life.co.jp/info/2022/info_221222.html

5.業界初の保険金請求促進策

政府が普及拡大を目指している「マイナンバーカード」ですが、同カードの情報を使って死亡保険金請求を勧めるサービスが始まるようです。
具体的には、保険契約者死亡で同カード情報が失効したことを把握した段階で、受取人に知らせるという仕組みだそうです。
新型コロナの持続化給付金などの請求のため、同カードの普及が進んだようですが、本件により同カードの普及が進むことで、保険契約者などの利便性が、ますます向上することを是非、期待したいですね。

なお、記事元の原稿では、“保険契約者死亡”とありますが、契約者と被保険者が必ずしも同一でない可能性もありますので、できれば、“被保険者死亡”とお書きいただいた方がより正確に思えます。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15495392.html

6.インフルより新型コロナの方が軽い?

静岡県の記者会見で、「ある意味、インフルエンザより新型コロナの方が軽い」とのコメントがなされました。
具体的には、60歳以上の致死率を比較した場合、インフルエンザ0.55%、新型コロナ(主因)0.28%となり、確かに、新型コロナの方が軽いと言えます。
特に、“データをきちんと出して「静岡県ではこうです」という数字を示す。それを国の検討のためのデータとして活用してほしい”という、同県健康福祉部参事のお言葉は強く賛同されるべきでしょう。

7.「市の把握」≠「市長への報告」?

保育園での痛ましい事故が相次いで発覚した月になりましたが、どうやら、地方公共団体では、「市が把握する」ことと「市長が把握する」こととは、必ずしも一致しないようですね。
“問題を把握しながら市長への報告を怠った”とのことですが、“悪い情報ほど迅速かつ(できるだけ)正確に報告する”という、官民関係なく組織としての基本が出来ていません。

いわゆる“360度評価”の導入で、上司が部下に気を使い、厳しく指導することが薄れる可能性が懸念されていますが、本件も、いわゆる、“ぬるま湯体質”を生み出し、結果的に、部下から上司への適正な報告を妨げるという本末転倒な事態を招いている可能性が否定できません。最適な組織づくりや人事評価、本当に難しいものですね。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/360-degree-evaluation/

8.会社の上司は人事部の意向を尊重しない?

記事を鵜吞みにすることは、あまり良くない(=一方の意見のみを聞く)かもしれませんが、仮に、この記事が真実であれば、人事部の意向を尊重しない上司の存在で、この会社は組織としての体をなしていないようです。
国を挙げて少子化対策に注力しているのであれば、このような企業は自然淘汰されていくのでしょうか。
あくまでも個人的意見ではありますが、この上司が「女性」である点も悲しいです。
https://www.asahi.com/articles/ASQD95JH4QCZOXIE02F.html

9.ネット銀行のシェア拡大

インターネットチャネルは保険会社にとっても重要なチャネルの1つであり、特に、損害保険においては、自動車保険を中心に、通販チャネルとともに、テレビCMなどでよく見かけるチャネルのように思われます。
一方、銀行や証券業界においても、“ネット”のシェア拡大が続いているようでして、特に、ネット銀行のシェアが、10年前から6倍に達した模様です。

2000年頃、筆者がシンクタンクに勤務していた際、松井証券がネット証券として安い手数料を武器に参入し、大きく業績を伸ばしたことが印象的でした。
銀行・証券に次いで、保険でも“ネット保険”のシェアが拡大する可能性は高いかもしれませんね。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2212/20/news137.html

ちなみに、生命保険加入におけるネット活用状況については、世界の保険主要国のうち、日本が最下位になっているようです。ITリテラシー向上が我が国の課題の1つといえるかもしれませんね。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=73359?site=nli

10.全社員に副業を許可

全社員に副業を認める動きが生命保険会社で出てきました。
一部の銀行などでは、既に当該取り組みが始まっているようですが、生命保険会社が参画することで、金融業界全般での導入が加速するかもしれませんね。
なお、副業については、改めてその意義や課題などについて、別途コラムに仕上げる予定ですのでご期待ください。
https://www.aflac.co.jp/news_pdf/20221223.pdf

いかがでしたか。2022年を振り返ると、コロナで始まりコロナで終わる1年かと思いきや、ロシアとウクライナとの戦争など、これまでの常識では想像もつかなかった年となりました。2023年は是非、平和で穏やかな社会が訪れることを切に願います。

(ペンネーム:活用算方)

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