気になるニュース(2024年1月)


12月に引き続き1月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。

1.元旦の地震

残念ながらYouTube動画は(著作権の関係で)削除されてしまいましたが、フジテレビ系列のテレビ番組「さんタク」の放送中に、地震速報が流れました。
記憶が正しければ、第1報は“マグニチュード5代で津波の心配なし”だったのですが、わずか数分後に北陸から関東まで真っ赤に染まった映像が流れて、緊急地震速報が関東エリアでも、けたたましく鳴り響きました。
元旦のバラエティー放送を続けるしかないテレビ局の姿勢も、その時点ではやむを得ないと思いますが、地震速報の直前のCMが「ライフネット生命」であったのも印象的でした。

なお、1981年の「新耐震基準」導入後に建てられたとみられる家屋が倒壊していたことも判明し、“震度6強以上でも倒壊しない”ことを目指す同基準も、群発地震で建物の強度が下がり基準が達成できなかったのでは?という専門家のご指摘で、同基準を見直す動きが出てくるかもしれませんね。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20240106-OYT1T50160/

保険業界でも、健全とされる200%を「ソルベンシー・マージン比率」が上回っても経営破綻した保険会社も存在しますので、新基準(=経済価値ベースのソルベンシー規制)の導入で、“保険会社の倒壊”を是非、回避したいところです。
https://www.fsa.go.jp/singi/solvency/siryou/20070129/05-01.pdf(←修正後の基準が200%を上回っていても経営破綻した保険会社が存在。)

2.統計データの連続性が途絶える!?

“インシュアランス生命保険統計号”といえば12月頃に刊行される“保険業界紙”であり、ディスクロージャー資料等ではあまり開示されない「都道府県別データ」も搭載される等、データの正確性はもちろん、その開示範囲も広いことで有名ですね。
発行元は、保険研究所という会社ですが、昨年末の同紙が発売されず、どうしたの?とモヤモヤしておりました。

幸い、当時のホームページ画面がXで閲覧できますので、詳細は以下のリンクからご覧いただければと思います。
https://images.app.goo.gl/uw4W83NrqeE627Mk7
震災同様、一日も早い“復興”をお祈りしております。

3.景気上昇の機運!?

昨年来“7%の賃上げ”傾向が見受けられますが、国内大手金融機関では最高水準となる“初任給を32万円に引上げ”の会社も登場しました!
なんとも羨ましい限りですが、“専門性高める配属領域(資産運用、海外、会計・税務、ITデジタル)の選択制度”や“転勤時の一時金支給も大幅引上げ”等も導入し、優秀人材の確保を目指す模様です。

ちなみに、厚生労働省によれば、2022年の一般労働者月額給与平均が31万1800円(年齢43.7歳、勤続年数12.3年)とのことですので、平均を上回る初任給を得ることで“給与偏差値50超え”が達成できる環境が整備されたとも言えるでしょう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-18/S7ECYFT0AFB400?srnd=cojp-v2

4.“アンバサダー”も揺れる!?

月面着陸に日本の探査機SLIMが成功しました!
旧ソ連、米国、中国、インドに続く世界5カ国目の快挙ですが、太陽電池の不具合等に負けず数々の困難を克服したお姿は、まさに我が国の象徴ともいえますね。原発と同様に、宇宙開発の研究成果も、是非、平和利用に資することを切に願います。
https://mainichi.jp/articles/20240118/k00/00m/040/149000c

ところで、「月の石」は1970年の大阪万博で大ブレイクし、当時の万博では、漫画「サザエさん」のタラちゃんが迷子となり、サブローシローの漫才ネタで“タラちゃんいつになったら幼稚園いけるねん!”も漫才ブームで一世風靡されました。

いよいよ、開催まで1年数か月となった大阪万博ですが、パピリオン建設遅延、膨大しつづける建設費用等の諸事情に加えて、いわゆる“文春砲”により、アンバサダーも大揺れしている感があります。
揺れるのは、“人類の夢とロマンと月面探査機だけ”にして欲しいですね。

5.ニューヨーク・タイムズによる提訴

大統領選で盛り上げりを見せる米国ですが、「チャットGPT」を手掛けるオープンAIと出資社(マイクロソフト)が同国を代表する有力紙“ニューヨーク・タイムズ”から提訴された模様です。具体的な損害賠償額は、現時点では不明ですが、「数十億ドル」の損害が生じたとのコメントもあるようです。
なお、公正利用(=無許可で著作権のある著作物を使用しても公正であれば著作権侵害とならない)との法理論もあるため、その辺りの“線引き”が非常に難しいように思います。
https://jp.reuters.com/business/OT6ZDMDA5ZOADN77DQ5GNJNDAI-2023-12-27/

ちなみに、“真実相当性を踏まえ公共性があれば名誉棄損に当たらない”との司法判断も我が国では盛り上がっていますが、5億5千万という巨額の賠償金請求に加えて、弁護士費用がその1割(=5千万円)という事情も、「チャットGPT」がどのように解決するのか、個人的に興味のあるところです。

6.バカンスの意味

新型コロナで物流や原油需要の低迷等、経済活動制限が余儀なくされましたが、その一方で、在宅勤務の推進等、“働き方改革”や“ワークライフバランス”が推進された側面もあります。
しかし、在宅勤務であるからこそ、どこまでが労働時間なのかが曖昧になり、いわゆる「見えない残業」や「休み下手」といった我が国特有の課題も浮き彫りになった感もあります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA089G50Y3A101C2000000/?n_cid=NMAIL007_20231228_H

なお、“バカンス”とは、フランス語で“空っぽ”という意味ですが、「安息日」がユダヤ人成功者の秘訣であるという動画もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=8n2qgsK0KrI

7.未だに横行する自爆営業の果て

勤務先での“法務コンプライアンス研修”や“人権研修”等で触れることの多い『公益通報者保護法』ですが、残念ながら、依然として実態が伴わないようです。
特に、極めて公共性が高いテレビ局において、同法の精神が遵守されない事態に対して、総務省はより厳しい監督をすべきであると強く感じられます。
保険会社同様“(電波)免許取消”は最後の手段かもしれませんが、少なくとも「放送倫理違反」を繰り返した場合のペナルティーがあまりにも弱いというのが、視聴者の一人としての率直な感想です。

新聞・雑誌等の常套句である“取材源の秘匿”は、どちらかというと、メディア媒体を保護するための一種の“詭弁”のようにも感じられますが、本来は、『公益通報者を保護するための概念』であることを業界関係者は、とっくの昔に忘却したといわんばかりの“傲慢さ”は、本当に腹立たしいですね。

制度共済に従事する職員が過大なノルマを課されているという内部告発が発端ですが、顔にぼかしを入れて音声変換も施したものの「誰かすぐ特定できた」との声があり、特に、酷いのは、インタビューを受けた職員から「使わないで」と依頼された映像まで放送してしまう点でしょう。視聴率さえ取れれば、何をやってもよいと考えているとしか思えない傍若無人ぶりが垣間見えます。(←テレビ局にしっかりと襟を正してほしいと切に願うからこそ、敢えて強い口調を用いた点をご理解ください)
https://www.bengo4.com/c_18/n_17034/

8.SNSによる銀行業務進出

スマホによる決済機能の拡充では、携帯キャリア会社に加えて、LINEやGoogle等、様々な「pay」手段が多様化していますが、ついに、満を持して、「X(=旧Twitter)」が年内に個人間の送金を開始される模様です。

イーロン・マスク氏は、“通信から決済機能まで備えたスーパーアプリ化”を目指しているようですが、Apple Pay等と並ぶ巨大決済機能の登場で、米国を中心に銀行業界やクレジットカード業界等からの反発も懸念されるところです。
https://nordot.app/1117641683875906129?c=65699763097731077

9.自殺統計

失業率や倒産件数等との相関関係が強いとも言われる“自殺者数”ですが、最新データが厚生労働省から公開されました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000334405.html?display=full

ちなみに、昭和時代を含む長期データをみると、『第1-2図自殺者数の長期的推移』によれば、我が国の自殺者数には、これまで3つのピークがあるようでして、昭和33年、昭和61年、平成15年です。このうち、昭和61年には有名芸能人の痛ましい飛び降り自殺などもあり若者を中心とした“後追い自殺”が社会現象にもなりましたが、自殺未遂者、残された家族、友人等の心のケアも大切ですね。

10.300条との関係は?

“先着1万名限定で保険料1カ月無料キャンペーンを実施”とのキャッチフレーズで話題の医療保険が登場しました。
https://www.nissay-plus.co.jp/assets/240109_release01.pdf
大昔、日経新聞でも“生命保険料のキャンペーン料率解禁”の記事を見た記憶もありますが、証跡が残っているものとしては、例えば、乗合代理店手数料に対するものがあります。https://www.fsa.go.jp/common/paper/28/zentai/11.pdf(←4ページ(資料上は148ページ))

保険業法300条との関係も気になりますが、少額短期保険業者としての限度額(第三分野保険:80万円)との関係も気になります。
https://www.shougakutanki.jp/general/consumer/insurance.html

いかがでしたか。2024年1月は、元旦の能登半島地震、羽田空港事故等、激動の一年が予感される出来事が相次ぎましたが、実は、1982年(昭和57年)も同様の年で、具体的には、ホテルニュージャパン火災および日本航空350便墜落事故が2月8日および9日と立て続けに起こりました。特に、2月9日の六曜は「仏滅」ですが、勤務先で配布された“カレンダー”に六曜記載が廃止されたと聞き、感慨深いものがあります。

一方、アクチュアリーにとっては、日本アクチュアリー会セミナー(1月26日(金)論文執筆支援セミナー、2月3日(土)2023年度冬季・アクチュアリーセミナー)等、明るいイベントに接することができる幸せをしみじみと感じることが出来た1月でした。

 

(ペンネーム:活用算方)

あわせて読みたい ―関連記事―