気になるニュース(2025年6月)


5月に引き続き6月に気になったニュースを幾つかピックアップいたします。
内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
スケジュールの関係で、5月下旬のニュースが含まれている場合がありますことを何卒ご容赦ください。

1.梅雨前線(その1)

 『1%の確率』といえば一見、小さいようにも見えますが、例えば、生命保険会社の経験死亡率(災害+疾病)が0.3%程度であることを考慮すれば、少なくとも生保アクチュアリーとしては決して小さいものではありません。
 しかしながら、日常生活において『1%の確率』と聞くと、やはり小さい、珍しい出来事と報道されても仕方ないかもしれません。
6月中(旬)に梅雨前線が消滅する確率が僅か1%の確率とのことですが、次の2.の報道が出るのも、やはり異常気象ということでしょうか。

 ただし、この1%の算定根拠が、
“6月中旬(11日~20日)における午前9時の実況天気図から、過去10年分、
のべ100日分を調べた結果、天気図上で梅雨前線が消滅したのが1日のみ。”
ということでして、直感的には“たった10年”の統計値に過ぎないと言えるかもしれません。
 21世紀の課題は『環境』と言われますが、保険会社としては『気候変動リスク』にも目が離せないですね。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/af312c4fe39f1ce75d1f2a0aea19deafe02993a2
https://nofia.net/?p=29168

2.梅雨前線(その2)

 上述の「1.」が反映された形かもしれませんが、6月27日に西日本各地で“史上最短”梅雨明けとなりました。もちろん6月の梅雨明けは史上初のようです。
https://www.fnn.jp/articles/-/893358
 一方、関東甲信越でみれば、2018年に6月(29日ころ)に梅雨明けした事例があり、逆に、梅雨明けが8月にずれこんだ年もあります。
農作物への影響が大変心配ですが、海水を真水に変える技術を開発して欲しいですね。
https://tenki.jp/rainy-season/9.html

3.出向者受入れ廃止

 銀行窓販といえば、一時払変額年金保険などを中心に相当の影響力を有する保険代理店の1つですが、その背後にはバックオフィスとしての保険会社が当然不可欠です。
 本来ならば、商品供給側と商品販売側との間で「独立当事者間原則(アームズ・レングス・ルール)」を適切に運用する必要がありますが、実態としては、保険会社から大量の出向者を送り込むことで“腕の長さ”すら存在しなかった可能性大です。

 なお、“転籍に伴う給与水準の低下”について出向元による緩和措置(=補填?)が検討とありますので、やはり、保険会社の給与水準の高さがうかがい知れますね。
https://www.asahi.com/articles/AST5V2RRGT5VULFA01YM.html?iref=comtop_7_02
 また、個人的には、以下の記事「節税の新手法?」も気になるところです。
https://www.asahi.com/articles/AST582SQNT58ULFA01XM.html?iref=pc_extlink

4.携帯とネット金融

 NTTドコモが住信SBIネット銀行を子会社化する模様です。
住信SBIネット銀行といえば、以前、社内広告で『自然災害時債務免除特約住宅ローン』を目にしたことがあり、具体的には、自然災害で自宅が被災した場合に住宅ローンの一部を免除するもので、伝統的な団体信用生命保険の損保版ともいうべきユニークな商品だなあと感心しました。

 一方、(旧)新生銀行が抱える約3,000億円の公的資金完済も目指しているようであり、今後の金利上昇などを勘案すれば、より早期の返済が必要となっているようにも思われます。
 また、KDDIとライフネット生命の提携のように、携帯電話と金融取引を結びつける動きも奏功しているため、NTTドコモとしても膨大な顧客基盤を最大限に活用しながら「ネット金融」の更なる成長を目指しているのでしょう。

 個人的には、是非、同社に保険事業にも参入していただきたく、いつの日にかテレビCMなどで、“イツでモ、ドコでモ、ドコモ保険~♪”のような軽やかなフレーズで、斬新な「ネット生命保険」を開発してくれることを期待しています!
https://jp.reuters.com/markets/global-markets/QEGQMP4V2NO6JEBTUBUYL4RE2U-2025-05-28/

5.含み損の解消?

 今年度の国債発行計画における超長期国債について、新規発行減に加え、過去発行の低利率を買入消却する案が浮上している模様です。
 特に、記事において、“生命保険各社の責任準備金対応が一巡し、急ピッチな利回り上昇がみられる現状に対処”とありますので、逆ざや問題に苦しんできた保険業界からみれば、新たな金利上昇リスクを回避するためにも、是非、消却を実現して欲しいと願うばかりですね。

 ただし、新規発行の減額される模様ですので、ALM推進のために超長期国債に大量投資していた金融機関も、ALM体制を見直し、ESRやソルベンシーⅡなどの「経済価値ベース」を踏まえた商品戦略などが必要な時期にきているように思います。
 生命保険の“お家芸”と言われた“一時払養老保険⇒終身(年金)保険”という流れは、“保険期間の有期化、保険金額の変額化”という流れが加速するかもしれませんね。
https://jp.reuters.com/economy/bank-of-japan/JNW67V7RAZLLRIRHBDCP5TIEGI-2025-06-09/?utm_source=newsshowcase&utm_medium=gnews&utm_campaign=CDAqEAgAKgcICjCuhf4KMMLK9gIwy_TEAw&utm_content=rundown&gaa_at=la&gaa_n=ASWzDAg98672nUeoJ29pa6HFEwL1bjewL9JYBT91LMhv9pIQaKzcR7sjQ2EWEOKPFieO_jtmuELSCgF42YgTtjXyRjox5rhnVA%3D%3D&gaa_ts=6846bda3&gaa_sig=1M-nh8WJ6IuQ_6lmMaJxiqfR8aodHAQ9mzDhPVcNj6yyI55ZYUDgqPWSemn_K9-qZYucVsNnA0j6NRWKV6DvXQ%3D%3D

6.日本郵便業務停止、初の処分

 何のために「民営化」したのかを、今一度、新体制で再考いただきたいですね。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250625/k10014844061000.html

7.出生数70万人割れ

 労働力確保のための海外移民に頼らざるを得ない時代が、刻一刻と迫っていますね。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250604/k10014825201000.html

8.推し活キャンセル保険

 古い記憶で恐縮ですが、少額短期保険業者が導入された頃、チケットガードという商品が同業者から発売された記憶があります。
 これは、地方でのコンサートなど、遠隔地でのイベント参加がキャンセルとなった場合に、旅費交通費(の一部)を保険でカバーする商品で、対象となる費用の1割前後の保険料水準であったように思います。

 「推し活キャンセル保険」という素敵なネーミングも魅力的ですが、目に見えない保険商品だからこそ、端的に商品内容を表すネーミングは重要ですね。
 なお、販売元の『Mysurance(マイシュアランス)』という社名についても、2000年代初めの『相互会社同士の合併』で誕生したM社&Y社が、合併後の記念商品として「わたしのほけん(MY生命)」というペットネームを真剣に検討されていた古き良き時代を彷彿とさせました。懐かしい!
https://www.nagoyatv.com/news/?id=030534

9.就業不能給付は第三分野?

 少額短期保険業者(以下「少短」)に勤める知人から、“少短のがん保険は、支払額80万円が上限なので魅力が薄い”と嘆いていたので、“だったら保険業免許を取得すれば?”と安易に返してしまい、少しムッとされた苦い記憶があります(笑)
その「がん保険」で有名な生命保険会社の子会社から新商品が発売される模様ですが、“保険期間(1年)におけるすべての給付金を通算した支払限度額は80万円”というフレーズを見て、ふと、知人の疑問が解消(といっても本質的には不変ですが)した気がします。

 つまり、通常の「がん保険」の場合、特に、診断一時金がある種の“ウリ”ですが、残念ながら、「がん保険」の約款では“初めて条項”と業界内で言われるように“生まれて初めてがんにり患した場合”という条件が、当該一時金を受け取るために必要となります。
 このため、たとえ、保険期間(1年)を更新しても、更新前に「一時金」を受給していれば、二回目以降に「がん」と診断されても「初めて条項」に阻まれて、二回目以降の一時金は受給できないというカラクリになりそうですね。
https://www.aflac.co.jp/news_pdf/2025062302.pdf

10.積立型保険の功罪

 不正行為に18年間も気づかない保険会社もどうかと思いますが、氷山の一角でないことを願うばかりです。
 ちなみに、架空商品として記載の『積立傷害保険』には、個人的に強い思い入れがありまして、筆者が新入職員の頃、毎週月曜日に出社すると日経新聞記事を切り貼りして部内回覧していたのですが、その際、“一時払養老保険、ビッグ、ワイド、年金払積立傷害保険”などの金融商品の“利回り”に一喜一憂していました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000435592.html

11.国民年金保険料納付率≒国営放送受信料支払率

 国政選挙の時期になると必ず話題になる『公的年金』ですが、最近では、「厚生年金の財源で国民年金を助ける!?」という趣旨の一部報道などもあり、参議院議員選挙前にホットな話題になっているように思います。
 ちなみに、国民年金の保険料納付率(令和6年度)は78.6%で13年連続で納付率は増加しているものの、加入者は過去最少となった模様です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250627/k10014846131000.html

 なお、上記ニュースの情報源がNHKでしたので、ふと、最近のNHK受信料の支払率はどうなっているのだろうと疑問に思い、さっそく調べたところ、対前年比で1ポイント低下の77・3%(推計世帯支払率)となった模様です。
年金制度もマスメディアも、「国民からの信頼」が必要不可欠ですね。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20250624-OYT1T50203/

いかがでしたか。いよいよ、梅雨明けで昨年に続き猛暑日が懸念されますが、それ以上に水不足による農作物への悪影響が心配されます。「7月5日」の大災害予知夢が外れることを切に願うばかりの、2025年6月末を迎えています。

(ペンネーム:活用算方)

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