アクチュアリー試験に役立つ情報(金融庁編)


アクチュアリー試験の資格試験要領によれば、第1次試験(基礎科目)はアクチュアリー実務に必要な専門的知識を有することを判定するため、出題範囲は教科書に限定されます。

一方、第2次試験(専門科目)は専門的知識に加えて問題解決能力を有することも判定するため、アクチュアリーの役割および時事問題についても出題範囲となります。

つまり、第2次試験の出題範囲には、教科書以外(例.保険業法(施行規則)、告示、監督指針、実務基準など)も含まれます。

このため、試験対策として、アクチュアリー実務に対する専門的知識を習得することはもちろん、時事問題などの業界全体の課題などにも注意しておく必要があります。

このような課題などを見つけるために有用な、試験に役立つホームページ紹介の第一弾として、金融庁ホームページの中からチェックしておきたいコンテンツを幾つかご紹介いたしましょう。

1.新着情報配信サービス

筆者の若い頃は、メールによる配信サービスがあり、平日の20時頃に事前登録したメールアドレス宛に、金融庁ホームページに関する新着情報が送られてくる仕掛けがありました。今では、Twitterなどが活用されているようですので時代の進化を感じます。
IT技術の進歩のおかげで、使い方次第で、本当に便利な世の中になりましたね。
https://www.fsa.go.jp/haishin/service_top.htm

2.法令・指針等(その1)

『保険会社向けの総合的な監督指針』は、アクチュアリー第2次試験(専門科目)の出題範囲にも指定されていますが、特に、設立間もない保険会社や新入職員にとって、実務を遂行する上で常に指標となる貴重な資料ですね。

最近は、比較的頻繁に同指針が改定(年数回程度)がなされ、古い資料が上書きされますので、変更点をチェックする観点からも、改定の都度、最新版をご自身のローカルフォルダ等へダウンロードされて、時系列で格納していくのが良いでしょう。
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins.pdf

3.法令・指針等(その2)

『法令データ提供システム』は、数年くらい前まで稼働していた、最も信頼性の高い法令検索ツールでしたが、現在では、『e-Gov法令検索』に移行されています。

なお、『e-Gov法令検索』保険業法、同施行令、同施行規則までの検索に限定されていて、告示は対象外である点に注意が必要です。

また、以前は、決算状況表の様式など、電子申請に対応するために様々な情報も、e-Govで公表されていましたが、残念ながら、現在は様式などの公表が停止されています。
https://elaws.e-gov.go.jp/

4.法令・指針等(その3)

金融庁の検査局廃止に伴い、『保険会社に係る検査マニュアル』は、令和元年12月18日に廃止されましたが、当該マニュアルに記載されている「チェックリスト」が非常に秀逸であるため、リスク管理部門などでは現在も有効活用されている模様です。

なお、監督指針と当該マニュアルでは、レイアウトなども類似している点が多いため、両者の記載内容を比較して、検査と監督の目線の違いや共通点を探ってみるのも面白いかもしれません。
https://www.fsa.go.jp/manual/manualj/hoken_h290530.pdf

5.報道発表資料

新聞やニュース報道の際、原典にあたりたい場合などはこのコンテンツが有効です。

特に、画面右側で「保険関係」をクリックすれば、保険関係の情報を抽出できますので、用途に合わせた効率的な検索ができる点も非常に便利ですね。
https://www.fsa.go.jp/news/index.html

なお、最近では、監督指針の英訳も報道発表資料で紹介されていますので、英語の学習も兼ねて日英両方の資料を比較しながら読み進めるのもよいでしょう。
https://www.fsa.go.jp/news/r3/hoken/20210707.html

6.パブリックコメント

法令等の改正時に業界関係者を含めて、広く意見を募る制度ですが、コメントに対する金融庁の考え方を伺い知ることができる貴重な資料です。
特に、コメントの内容によっては、金融庁の考え方自体がアクチュアリー試験の解答作成に準用できる場合もありますし、もちろん、アクチュアリー実務を遂行する上でも、金融庁のお考えを把握しておくことは重要な要素といえます。

なお、パブリックコメントの趣旨から、コメント内容は、たとえ誤字・脱字の類があっても、そのまま掲載する(例.https://www.fsa.go.jp/news/r2/hoken/20210630/01.pdfの3ページ下から6行目など)ようですが、主務官庁に対するご作法(言葉使い)には、くれぐれも配慮して欲しいです。(例.
https://www.fsa.go.jp/news/29/hoken/20170817/01.pdfの1ページ下から1行目など)

このようなコメントが、アクチュアリーという専門職からなされたものではないことを祈るばかりです。専門職以前に、一人の良識ある社会人としての振る舞いに期待したいところですね。
https://www.fsa.go.jp/public/index.html

7.政策・審議会等

2025年には大阪万博が開催予定ですが、保険業界では、経済価値ベースのソルベンシー規制が正式導入され、保険業史に残る記念すべき年となりそうです。

金融庁ホームページでは、トップ画面の「政策・審議会等」から入って下のほうにある「保険会社関係」のコンテンツ(保険代理店の皆さまへ、経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する検討)を、試験対策および実務面の観点から必ずおさえておきたいところです。
https://www.fsa.go.jp/policy/index.html

8.国際関係情報

グローバルの進展により、ソルベンシー・マージン基準を含む資本規制については、日本国内だけの議論では済まされない状況がますます拡大していますね。

特に、保険監督者国際機構(IAIS)の動きは、金融庁はもちろんのこと、日本国内で営業する保険会社においても、常に注視の的となっています。

なお、コンテンツの性質上、英語による情報がメインとはなりますが、DeepL(https://www.deepl.com/ja/translator)などの自動翻訳ツールを活用すれば、英語が不得手でも、かなりの情報をカバーできるように思われます。
https://www.fsa.go.jp/inter/iai/index.html

いかがでしたか。金融庁ホームページは、試験対策だけでなく、アクチュアリー実務にも役立つ情報の宝庫です。是非、1日1回は金融庁ホームページを定期的にチェックする習慣を身につけるとよいでしょう。

(ペンネーム:活用算方)

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