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大谷幸宏
鉄板ネタ「失敗談」を語れない会計人たち

2014.03.05

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よく士業の集客方法を紹介する本で、セミナー開催の有用性について解説されています。士業は知識を商品とする職業ですので、セミナーとの親和性が極めて強い職業。特に、税制改正などがあった時に、実務に関するセミナーをすると直接的な顧客獲得効果が見込めます。
 
しかし、人前で話すことには得手不得手があります。最近お会いした会計士の先生は「初めてセミナーの講師をすることになり、今から憂鬱だ」とぼやいていました。生来のあがり症のため固辞したものの、成り行き上引き受けざるを得ない状況になってしまったとのことで、今はテレビを見ていても夜寝るときもセミナーのことが頭から離れない状態になっているそうです。
実は、現在講師として活躍されている人も、「最初は無理矢理やらされたのがきっかけ」という人は意外と多いようです。あがり症だと自覚する人も多く、回数を重ねても本番前の緊張にはなかなか慣れないと言います。
 
セミナー講師をする際の不安としては「お客さんが退屈してしまうのではないか」「私の話は面白くないのでは」といったものがあります。専門知識には自信があっても、それが一般の方々にとって興味深いものであるのかどうかは自分ではわかりにくいものです。
お笑いのネタではありませんので、聴衆を爆笑の渦に巻き込む必要はありませんが、理論に傾きすぎ、一般の方がついていけなくなったり、内容が単調で聞き手の集中力が続かなくなったりしてしまう例はよく見られます。
セミナーの面白さに定評のある、ある会計士の先生に、聴衆を引きつけるコツを聞いてみると、「失敗談を話すこと」と教えてくれました。身も蓋もない言い方ですが、人は他人の失敗が好きです。また、失敗例によりすべきこと、してはならないことが浮き彫りになり、理解度が増す効果もあります。
 
経営者の本や講演に「大きな借金を抱えた私がいかに復活したか」といった内容が多いのも、失敗談から得たノウハウが「すべらない話」になる傾向を示しているといえるでしょう。
しかし、そこで注意しなくてはならないこともあります。税理士や会計士は、一回の失敗が信用に大きく傷を付けます。いくら興味を引く話であっても「顧問先に重加算税を支払わせることになってしまいまして……」などと冒頭に切り出せば、それによって得たノウハウが有益なものであっても、見込み顧客である聞き手を不安にさせてしまうでしょう。士業の専門家としての責任を考えると、無制限に失敗談は語れません。
 
そこで前出の先生は、「常套手段として、申し訳ないが他人の失敗談を使わせていただく」とおっしゃっていました。
たとえば会計士のコンプライアンスに関するセミナーであれば、まずは昨今マスコミを騒がせている企業不祥事の例をなるべく生々しくレポートして「つかみ」とするのです。
 
セミナーの内容を考えている会計人の皆さんは、自らを傷つけることないよう防御線を張りつつ「失敗を活かしたノウハウ」という鉄板ネタを語る方法を考えてみると良いのではないでしょうか。
 
(文:VRPスタッフ)

大谷幸宏 プロフィール

大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。

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