プロフィール
立本 貴大さん
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
日本アクチュアリー会正会員、年金数理人。東京大学理学部物理学科を卒業後、大阪大学大学院基礎工学研究科を修了。2011年に国内生命保険会社に入社し年金数理関連の業務に携わる。その後、大手監査法人に転職。25年7月よりEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社に入社。新たに立ち上がった年金チームに所属。
―これまでのご経歴を教えてください。
新卒で国内生命保険会社に入社して以来、一貫して年金数理関連の業務に携わってきました。PBO(退職給付債務:企業が将来支払うと見込まれる退職金や企業年金の現在価値を会計用に評価した額)の計算や確定給付企業年金制度(DB)の財政決算・財政再計算、制度変更への対応、資産運用コンサルティングなど、信託銀行や生命保険会社で若手の年金アクチュアリーが共通して学ぶ業務を一通り経験したと思います。
そこで6年5ヶ月勤めた後、前職である大手監査法人に移りました。監査法人でのアクチュアリー業務はあまりイメージできない方もいるかもしれないので少し説明すると、監査法人では年金数理人が会計士からの依頼を受けて、「法人内の専門家」として各クライアントのPBO評価の妥当性を切り出して検証する「監査支援業務」を行っています。年間何十件もの監査支援に携わったため、会計基準ごとの過去勤務費用の償却方法、会社再編時の未認識数理計算上の差異の取扱い、制度終了会計など様々なバリエーションの案件を経験できる恵まれた環境でした。さらに、監査以外のアドバイザリー業務を担当することも多く、M&Aにおける年金・退職金制度に関するデューデリジェンスも経験。負債評価の妥当性や制度の引き継ぎに必要な条項の規定化、統合後新会社の制度設計などを支援していました。
―そこから2025年7月にEYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)にジョインされました。ご入社を決めた理由は何でしたか。
決め手になったのは、アドバイザリー業務で培ったスキルセットを、新たな環境で発揮できることでした。前職のチームは10人程度の年金アクチュアリー専門人材部隊で、業務フローが既に体系化されており、過去事例のある案件であればどのメンバーだけでも回せる状況でした。チームの安定感は申し分なかったのですが、「自分がいなくても仕事が回るだろうな」と思ってしまって…。だんだんと、自分ならではの介在価値を発揮できる、新しい環境でチャレンジしたいという気持ちが芽生えていきました。
一方で、EYSCで私が所属する人事コンサルティングのチームには2024年までは年金アクチュアリーがおらず、人事制度の一部である退職金・年金に関して、財務面や年金数理面での専門的なアドバイザリーニーズに十分に応えられずにいました。そんな中で2025年1月に、現在の私の上司にあたる北野 信太郎アソシエートパートナーが入社して、さらなる人材を募集していたところ、VRPパートナーズの大谷様経由で私にお声掛けいただいたという経緯です。年金の専門性に関しては一通り身につけたという自負があったため、次のステップとしてその知見を「ゼロからチームを立ち上げる」という、これまでやってこなかった領域で活かしたいと考えました。
―EYSCでの現在の仕事内容とその面白さについて教えてください。
年金アクチュアリーの知識を活かした業務が中心ですが、これまでと大きく違うのは、その進め方です。例えば「この計算をしたい」と思ったとき、前職なら「過去のこの案件を参考にする」「このツールに数字を入れる」というように、ひな形が既に用意されていました。一方で、ゼロから立ち上がったEYSCの年金チームには、それがありません。計算ツールを自分で一から作るところから始めるので、それだけ年金アクチュアリーとしての細かい知識が求められます。理解が少しでも足りないと正しい答えにたどり着けないので、細部までしっかり押さえていることが前提になる。その役割と責任の大きさにやりがいを感じています。
また、面白さとしては、クライアントに寄り添った提案ができるという点です。監査法人の本分はあくまで監査ですので、前職の制度設計フェーズではクライアントの属性によっては監査上の独立性も意識しつつ二項業務の範囲内で中立的な情報提供に徹さざるを得ない場面もありました。翻って現在の環境では、人事コンサルタントと密に連携しながらEYとしての推奨案を積極的に打ち出していくことが、クライアントからも期待されています。
―EYSCで働く魅力について教えてください。
人事コンサルタントのメンバーと一緒に仕事ができるのは、EYSCで働く面白さだと感じています。私は生命保険会社でも監査法人でも、アクチュアリーのチームで仕事していました。一方で、EYSCで資料作成や分析をしてもらう若手のスタッフは、必ずしもアクチュアリー志望ではなく、人事制度全般を扱う人たちです。資料作成力やプレゼン能力には目を見張るものがあるので日々学びを得ているものの、財務や年金数理・年金法令の前提知識が必ずしも十分ではないスタッフに対してどのような指示出しが最も効果的に進められるか、日々試行錯誤しています。
例えばアクチュアリー同士なら言わなくても伝わるような前提であっても、最初の指示出しを間違えてしまうと、作業の手戻りを生じさせてしまうようなロスを招きかねません。「ここで勘違いが起こるかもしれない」と想像しながら方向性を示すことや、出てきたアウトプットの丁寧な確認は欠かせません。シニアマネジャーとして、アクチュアリーとして、より深い知見が問われる環境は、私にとってはとても刺激的です。
人事コンサルタントの皆さんは年金関連の仕事で高いパフォーマンスを発揮してくれますし、オンボーディングの際にも「年金関連の経験を通じて、他の人事コンサルタントと差別化する強みを身につけられる!」ととても意欲的です。年金の知識を前提としないような分析やExcel作業は人事制度の領域とも共通する部分が多く、本当に頼りになります。コンサルならではのスライドの作り方など、メンバーから学ぶ機会が多いのも嬉しいですね。
英語力を活かせる環境も、個人的には魅力に感じています。今稼働中の案件は約3割が海外案件。ミーティングの会話や作成資料はすべて英語です。そのような海外案件に限らず、クライアントが日本企業であっても、例えば企業買収の対象企業が海外法人を含む場合には英文の資料を読む必要があります。年金には独自の専門用語が多く、これまでは自分で英作文するときに適切な表現を考えるのに苦労する場面も多かったのですが、今のチームでは上司がバイリンガルなので、打ち合わせに同席して上司が話しているのを聞くたびに「この概念にはこういう表現を使えばいいのか!」と常に学びがあります。英語をビジネスで使えるレベルに上達させたいと思っている人には最適な学習環境と言えますし、既に英語が得意であれば英語案件を任せてもらえるので、その強みを最大限活かせる環境だと思います。
もう一つ、個人的な経験ではありますが、英語に限らず日本語の会議であっても、クライアントへの説明の仕方、伝え方という点でたくさんの気づきを上司から得ています。「この順序でこう説明していくと、こんな質問が出てくるだろうから、それに対してどう回答していくか」と、クライアントの疑問をあらかじめ想定してコミュニケーションを設計していくんです。上司は、年金に関する豊富な専門知識を有していながらも、説明がうまく、部下である私やメンバーに対しての人あたりも良く、「こんなにバランスの取れた人がいるのか」といつも感動しています。
―学び合える環境が素敵ですね。EYSCで実現できている働き方については、どんな良さを感じていますか。
柔軟な働き方ができるのは大きいですね。生命保険会社や信託銀行ではコロナ後に出社回帰した会社も多いと思いますが、弊社では、一人一人の裁量に応じて、高いパフォーマンスを維持するためにリモートワークを活用している人も多いです。また、東京ミッドタウン日比谷のオフィスに出社する場合には、通常の執務デスクだけでなく、電話会議や会話が禁止されている「集中エリア」や、ソファ、ラウンドテーブルなど、様々なタイプの席が用意されています。フリーアドレスなので、その日の気分に応じて自由に座席を選ぶことができます。私の場合は、オンライン会議とオンライン会議の空き時間が長くなるときだけ、一時的に集中エリアに移動して作業しています。
―生成AIの利用に関しては、昨今目覚ましい進化を遂げています。貴社でも生成AIは活用されているのですか?
はい、Copilotが標準利用ツールとしてインストールされていますので、毎日なにかしらの目的で使っています。2026年7月からはCopilot有料版も利用できるようになりました。(今後、他の生成AIも活用できる予定) 「非定型案件の進め方に関する壁打ち」のようなクリエイティブな使い方もありますが、多くの場合は時間を節約するためのツールとして有効活用しています。開示された大量のファイルから目当ての条項を探してもらう、画像として開示された規程類から自身が探している記述を見つけてもらう、根拠法令を忘れてしまった場合にその漠然とした概念だけを伝えて根拠法令を教えてもらう、PowerPointファイルやExcel算式を整形する、など枚挙に暇がありません。ただ、あくまで生成AIというのは、時間をかければ自力でもこなせるような作業、自力でもたどり着けるような結論に関して、その時間を大幅に短縮するツールだと思っています。自分の実力の及ばない領域を生成AIに任せてしまうと、出力結果が正しいかどうかを見極められず鵜呑みにしてしまったり、成果物の正確性を十分にレビューすることができないためです。アクチュアリーとしての専門性は、生成AIが広く使われるようになっても失われないどころか、むしろその重要性が増していくと思います。
―これから一緒に働く仲間に求めることは何ですか。メッセージと合わせてお聞かせください。
一番は、「新しいことを学びたい」と思える方です。
年金アクチュアリーの中には、「年金のことはわかるけれど、人事制度はよくわからない」という方も多いと思います。ただ、クライアントから見れば、退職金制度は人事制度の一要素にすぎません。月例給も、退職金も、福利厚生も、すべてをひっくるめて人事制度です。人事制度の全体像を理解しないままに年金アドバイザリーに携わっていると、ともすればクライアントの期待から乖離した提案をしてしまうこともあるでしょう。一方で、弊社では人事制度全般を学べるという点が、人事チームに属している最大のメリットだと思います。人事アドバイザリーを未経験の方でも、入社してから学ぶ機会は十分にあります。
もう一つは、新しいチームの体制づくりに携わってみたい、という方。前年と同じことを繰り返すのではなく、既存の枠に収まらない仕事に挑戦してみたい、という方に向いています。伝統的にアクチュアリーが担ってきた仕事に留まらず、付加価値を出していきたい、通常のアクチュアリー業務もこなせるスキルを持ちつつそれ以外にも挑戦したい、という方とご一緒できれば嬉しいです。
最後に一つ。入社前は、いわゆる“コンサルティングファーム”に対して、勝手ながら「全員が売上目標を追いかけている、ギスギスした雰囲気」を想像していたんです。ところが入ってみると、人あたりの良いたちばかりで、良い意味で予想が外れました。また、若いメンバーは上昇志向が強く、何でも吸収していこうという姿勢があります。「専門分野の異なる仲間と一緒に成果を出していく」―――それが、私にとっては前職までとはまったく違う、新しい仕事スタイルです。この感覚を一緒に楽しめる方に、ぜひ来ていただきたいなと思っています。