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大谷幸宏
相続税業務 「調査立会」の需要が伸びる理由

2014.01.22

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基礎控除引き下げによる納税義務者増大で注目されている相続税。この相続税には納税者にとって、また税理士にとって気になる特徴があります。それは「相続税申告を行うと高い確率で税務調査が来る」ということです。
 
国税庁発表の平成24年度の相続税調査事績によると、同年度の相続税実地調査の件数は13787件。そして、相続税申告が行われた被相続人(亡くなった方)の数は51409人となっています。単純に計算して4人に1人は調査を受けていることになります。
 
これだけでもかなりの確率ですが、相続財産が多い人であれば、この割合がもっと高まるでしょう。「実感として、全体で大体5割くらいは調査がある。相続財産が4、5億円を超える場合はほぼ100%」(都内税理士)という声もあります。
 
しかも、当局の調査は厳しいもの。上記の13787件の調査のうち、申告漏れ等の「非違件数」は11159件。実に80.9%が何らかの指摘を受けることになります。
 
相続税の課税ベースの拡大により、新たに納税者になると思われる人は、今までの納税者と比べて相続財産が少ない人です。全体の申告者に比べて税務調査が行われる割合は下がるとも予想されます。しかし、調査件数自体が大きく伸びることはほぼ間違いないといえるでしょう。
 
税理士業務で、申告業務のほかに大切なものの一つとして、税務調査の立会いがあります。百戦錬磨の税務職員に、税の知識がない一般の方々が対峙しなければならない調査において、税理士の存在の心強さは計り知れません。しかし、立会いに苦手意識を持つ税理士が非常に多いのもまた事実です。
 
相続税の納税者が増えることで、申告業務の市場が大きくなること、またそれに伴った税務調査の立会いが多くなることは確実です。不安を持つ納税者に、調査立会いの経験をアピールできることは、さらなる強みになるでしょう。
 
そして、今後注目しておきたいことがもう一つあります。それは、申告業務と税務調査は、必ずしもセットになっているわけではないということです。
 
相続税の納税者の特徴として、税理士を通さずに申告を行う人が少ないことがあります。資産家が多いことから、当然といえば当然です。しかし、今後の納税義務者は保有資産の額が以前より低い層に及びます。相続税申告を自分で行うという行動が、広範に定着することも予想されます。そして当局は税理士の関与のない申告について、集中して調査をかけるものと思われます。
 
相続税業務に注目し、ホームページ等で顧客へアピールする税理士が増えてきましたが、申告業務だけではなく、調査立会を切り分けたスポット業務への対応を強調することも必要となりそうです。税制改正により出現する新たな層のニーズをキャッチするアピール力が求められるでしょう。
(文:VRPスタッフ)

大谷幸宏 プロフィール

大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。

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