受験情報が少ない!勉強仲間を増やしたい!そんな思いから、「アクチュアリー受験研究会」を立ち上げた


アクチュアリーを知ったきっかけは何でしたか。

損害保険会社に入社したのは営業がやりたかったからで、入るまでアクチュアリーという職種があるとは知りませんでした。大学ではシステム開発やプログラミングを勉強しており、数学はほとんどやっていませんでした。「理系出身なら、アクチュアリー試験を受けてみたら?」と会社側から言われたのですが、受かる気がしなかったので最初は断りました。

そこからアクチュアリーを目指した理由とは?

営業を5年間やっている間に、商品開発に興味を持ち始めました。保険料を算出するプロがアクチュアリーですから、「アクチュアリー試験に合格することが、商品開発部門に配属になるひとつの道」と思い「会計経済」を受験し、その時はたまたま短期間で合格できました。
その後、商品部門で積立商品の決算や予定利率を計算する仕事を担当した後、確定拠出年金の立ち上げに携わることに。2001年の10月に「確定拠出年金法」が施行され、それまで生命保険会社や信託銀行しか扱えなかった企業年金制度を、銀行や証券会社、損害保険会社などが一気に扱えるようになりました。損害保険会社において企業年金を扱うのは、ベンチャービジネスのようなもので、数人の立ち上げチームで、仲間と一緒に事業計画の立案から、専用のウェブサイトや投資教育ツールの作成などを行ってきました。

確定拠出年金の立ち上げに携わり、仕事のおもしろさはどこに感じましたか。

年金アクチュアリーになろうと思ったのは、この仕事がきっかけでした。企業のお客さまを訪問しては、退職金制度や年金制度に関する規定の書類や就業規則などをお預かりし、制度の分析や改定の方向性についてコンサルティングを実施していました。適格退職年金制度の廃止が決まり、退職金制度の見直しも非常にニーズが高まったこともあり、私自身200社ほどのお客様の確定拠出年金の導入に携わることができました。アクチュアリーには、生保、損保、年金と大きく3種類ありますが、年金アクチュアリーはお客さまに直接アドバイスするのが特徴です。コンサルティングをしてお客様に喜ばれ、大変感謝される経験を何度もしたので、より一層深いレベルでの知見を持つ年金制度のスペシャリストになりたいと考えました。
アクチュアリーの試験勉強は、商品部門に異動してから長らく中断していましたが、2008年に再開しました。しかし、損保会社の企業年金部門なので、その当時周りにはアクチュアリー試験を受験する仲間は一人しかおらず、受験科目も異なっていたため、中々気軽に教えてもらうこともできません。ネット上にもいくつかサイトはありましたが、数学のみサイトだったり、一過性のブログだったりと、アクチュアリー受験に関する情報量が少なかったことを記憶しています。そこで、アクチュアリー受験に関する情報、ノウハウ、テクニックなどを、蓄積すれば皆の役に立つであろうと考え、2009年1月にオンライン上のサークル「アクチュアリー受験研究会」を立ち上げました。

アクチュアリー受験研究会とは?

アクチュアリーの受験生同士が情報交換できる会員制のウェブサイトです。私は数学があまり得意ではないので、最初の内は大変苦労しました。ネット上にも試験情報はいくつかありましたが、長続きしたものはありませんでした。一人で運営するのではなく、色々な情報を皆で持ち寄れるサイトであれば、持続性があるサイトになるのではないか、と考えました。また、どれだけ教科書や参考書を読んでもわからなかったことも、わかっている人に聞くと、一瞬で理解できたりすることが多く、一緒に勉強する仲間がいると良いだろうな、とも強く思いました。
簡単に合格しない試験なので、長期間サークルとして楽しみながら勉強して、後輩のための受験情報も蓄積されていく、というのをコンセプトとして会をスタートさせた次第です。
最初の数カ月で100名ほど登録していただきましたが、翌年度から勉強会を月1回行うようになりました。継続して続けていくうちに、今では会員数1100人にもなりました。毎月の勉強会も毎回のべ60人くらい来ていただいて、大変楽しく勉強しています。

アクチュアリー受験研究会ではどのように勉強を進めているのですか。

オンライン上のサークルということで、オンライン上での情報交換がベースですが、オフラインでも勉強会を開催しています。
月1回の勉強会は中央大学に集まり、あらかじめサイトにアップされていた課題範囲の解き方を発表し合います。自分の解き方の幅を広げるなどコミュニケーションの場になっています。関西でも同様に月に1回集まって勉強会を開催しています。
12月の試験に向けて3月から勉強会が始まるのですが、進捗に関していいペースメーカーになっていると思っています。9月までに科目ごとに課題範囲が終わり、10,11月は演習問題に取り組めるように年間スケジュールを考えます。勉強会に行けば、「今の時期はここまで進んでいないとまずいな」「あの多忙な方もあんなに頑張っているのだから、僕も頑張ろう」などとモチベーション維持につながるという効果もあります。
サイトでは、会員のメンバーが、問題の解き方やアドバイス、解説などをどんどんアップしており、現在では700以上のコンテンツが掲載されています。解法はいろいろあるため、他の会員さんの解法などは大変参考になります。合格に非常に役に立ったという感謝の声をいただくと当会を立ち上げて本当に良かったなと思います。

アクチュアリーを目指す人へメッセージをお願いします。

数学が苦手な私でもアクチュアリー準会員までなれたのですから、やる気と根性さえあれば(笑)大丈夫です!専門技能として手に職を持っていれば、会社からも重宝されますし、マーケットバリューが高まるのは必至だと思います。先日塾の講師をされていた会員さんが準会員になり、アクチュアリー職へ転職されたのを聞き、転職にも有利なのだと改めて認識しました。
アクチュアリーは、社内外さまざまな人と一緒に仕事を進めることが多く、コミュニケーション力も求められます。様々な分野の方がアクチュアリーになることですそ野が広がり、アクチュアリー自体の認知度やステータスも上がっていくと思います。保険や年金、会計分野などにご興味がある方は、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

アクチュアリー受験研究会のサイトはこちら
http://pre-actuaries.com/

■プロフィール

Mahさん

大学卒業後、1990年より損害保険会社勤務。現在は確定拠出年金を扱う部署に所属。日本アクチュアリー会準会員。日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)。

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