2022年に起こること、起こりそうなこと


2022年がスタートしました。新型コロナウイルス感染症は依然として猛威を振るうものの、最新のオミクロン株は重症化リスクが低いことが、初期研究として報告されています。

もちろん、油断は禁物ですが、コロナ禍前の生活に早く戻りたいですね。
そこで、今回のコラムでは、アクチュアリー以外の領域も含めて、今年起こることや起こりそうなことを独断と偏見を交えながらご紹介いたします。

1.富士山噴火

以前、再保険会社のセミナーに参加させていただきましたが、非常に不気味なスライドを拝見した記憶があります。具体的には、世界中の大地震について、殆どのケースで10年以内に大規模な噴火が発生しているというものでした。

東日本大震災から11年目を迎える日本では、奄美諸島での地震や南海トラフ地震など、様々な地域で大地震が懸念されるところです。
地震が来ないことを祈るしかないかもしれませんが、今のうちから防災用品の充実や避難経路の確認、家族と集合する場所の特定など、できることから少しずつでも準備を始めておきたいところです。

2.新型コロナウイルス感染症の終息

先日、テレビでコメンテーターのデーブ・スペクター氏が、“米国ではまだ4割程度の人々がワクチン未接種”とのコメントをされていました。
一方、欧米では、すでに新型コロナウイルス感染症を撲滅したと楽観的な見方もあるため、かえって、終息時期が遠のく可能性も否定できません。
東京五輪に続いて、北京五輪も開催される予定ですので、これ以上、コロナ禍が拡大せず、一日も早く同ウイルスが終息することを切に願うばかりです。

3.CBT試験

生命保険協会主催の業界共通試験で既に導入済の“CBT(=Computer Based Testing)”が、2022年度よりアクチュアリー試験でも導入されます。なお、海外ではSOA(Society of Actuaries)の試験などでも導入済の模様ですhttp://www.actuaries.jp/info/Z20210701.html
CBTへの移行で東京・大阪以外でも受験可能となる見通しですので、受験機会の拡大がとても歓迎されますね。

また、第2次試験(専門科目)では、引き続き論述問題が出題される予定とのことですので、少なくとも、鉛筆と消しゴムに頼っていた答案作成負荷は、かなり軽減されるようにも思えます。ただし、隣席のキーボード入力音が気になる場合には、耳栓を常備することも有効かもしれませんね。

4.マイルストーン(経済価値ベースのソルベンシー規制)

2020年6月26日に金融庁から公表された「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議」報告書(https://www.fsa.go.jp/policy/economic_value-based_solvency/20210630/01.pdf)では、
1)新ソルベンシー規制について、2024年春頃の基準最終化、2025年4月施行というタイムライン
2)2022年頃を一つのマイルストーンにし、フィールドテストを活用した分析や国際的動向も踏まえ、制度の基本的内容の暫定的決定(特に標準モデルの考え方)を目指すべき
と記されています。

また、生命保険協会および日本アクチュアリー会などにおいても、専門PTを立ち上げて、日々鋭意検討がなされているところです。
早ければ、今年中に何らかのレポートなどが公開されるかもしれませんが、アクチュアリー試験対策を含めて、今のうちから早めに復習に励むのもよいでしょう。

5.外貨建保険に対する標準責任準備金

2021年のアクチュアリー試験予想問題(第2次試験)で話題になりました、外貨建保険について、標準責任準備金の対象とすることが2022年4月1日以降に導入されます。

一方、保険計理人の実務基準など、関係するルール改正については、まだ正式に公表されていません。1号収支分析のあり方など、今後、業界ルールが整備されていくものと思料されます。

6.変額(年金)保険の再来

ソルベンシーⅡが先行実施されている欧州では、ソルベンシー・マージン基準を満たすために販売商品を大きく見直す動きが出ている模様です。
端的に言えば、“保険期間の短期化”や“資産運用リスク(の一部)の契約者転嫁”などの方策で、ソルベンシー・マージンを確保”という流れのようですが、単に、保険会社の“責任逃れ”を助長するだけでは、真の顧客サービス向上に結び付かないでしょうから、今後の保険業界の動きが大いに注目されますね。

7.民法改正

公職選挙法等の改正で平成28年6月19日以降の国政選挙から、選挙権年齢が「満18歳以上」に引き下げられましたが、民法上の「成年年齢」は「満20歳以上」のままです。
しかし、2022年4月1日時点で,18歳以上20歳未満の人(2002年4月2日生まれから2004年4月1日生まれまで)は,その日に「成年」に達することになります。

これにより、様々な「法律行為(契約締結)」も18歳で可能となり、携帯電話の購入、一人暮らしのためのアパートを借りる、クレジットカード作成、ローンを組んだ自動車購入など、可能な行為の範囲が大幅に拡大されます。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00238.html

なお、学校での保険教育も盛んになることが予想され、具体的には、社会科、家庭科、公民などの授業で生命保険が登場する模様です。これを機に、多くの方々(特に、学生の皆さん)に保険に興味をもっていただき、国民全体の「金融リテラシー向上」につながることを大いに期待したいところです。
https://www.jili.or.jp/school/yokoku/index.html

8.アクチュアリー行動規範の改正

2021年9月15日付で「アクチュアリー行動規範の改正およびアクチュアリー行動基準の制定について」と題する情報が日本アクチュアリー会ホームページで公開されています。(http://www.actuaries.jp/info/Z20210915.html

「アクチュアリー行動規範(以下「行動規範」という。)」は、会員が専門職能者として行動する際の指針ですが、アクチュアリーの業務・役割が複雑化・多様化する中、専門職能者として社会の負託に応えるため、行動規範について今日的見直しを行うこととされた模様です。(本行動規範などは、2022年4月1日から施行)

なお、具体的な改正箇所(いわゆる新旧対比表など)は、
http://www.actuaries.jp/info/Z20210915-3.pdf
で公開されていますが、プロフェッショナリズム研修以降、行動規範などを熟読してこなかったアクチュアリー(当方もその一人です)は、この機会に新旧対比表を含めて熟読されるとよいでしょう。
また、筆者の知識および経験を交えながら、当規範改正について深堀りした別のコラムを考えておりますので、ご期待ください。

9.ICAシドニー大会(ただし、2023年)

ICAとは、国際アクチュアリー会議(International Congress of Actuaries)のことで、ほぼ4年に一度、世界各国で開催されています。
当初は今年、オーストラリアのシドニーで開催される予定でしたが、コロナ等の影響で、来年5月28日から6月1日の開催となる見込みです。

なお、専用ホームページも用意されているようですので、興味のある方は(https://www.actuaries.asn.au/microsites/ica2023/)をご覧ください。
筆者は幸い、勤務先の配慮で2018年のICAベルリン大会に参加させていただけましたが、大会部会事務局の仕事を含めて様々な舞台裏を眺めることができました。2026年のICA東京大会に向けた準備という観点からも、とても有難く感じております。

10.大物ミュージシャン50周年

日本を代表する歌手が続々と節目を迎えるようです。特に、松任谷由実さん(7月)、キャロル(矢沢永吉さん)(12月)は50周年を迎えられるようですので、コロナ禍ではありますが、楽しいイベントが開催されることを期待したいですね。
https://mirai.uriba.me/2022year/

いかがでしたか。昨年は2回目の東京五輪が開催されましたが、2026年には2回目となるICA東京大会が開催予定です。大阪万博(2025年)、リニアモーターカー開通(2028年?)、IRカジノ(2030年?)など、様々なイベントが目白押しですが、みんなで協力しながら明るい未来の礎となる1年にしたいですね。

(ペンネーム:活用算方)

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