2022年度アクチュアリー試験の公式解答&合格率


例年通り、2022年度のアクチュアリー試験に対する公式解答および合格率が、2023年3月31日に日本アクチュアリー会ホームページで公開されました。

https://www.actuaries.jp/info/pdf/20230511.pdf

https://www.actuaries.jp/lib/collection/
そこで、今回のコラムでは、2023年2月24日 (金) の当コラム「アクチュアリー試験の推計合格率(2022年度)」における推計値との差異を含めて、気になった点をご紹介いたしましょう。

1.合格率

上記コラムでご紹介しました「推計合格率」と公式の合格率を比較した結果、下表のようになりました。
《2022年度公式合格率》

 

《2023年2月24日 (金) アクチュアリー試験の推計合格率(2022年度)》

推計値に比べて合格率が概ね低くなっていますが、これは、受験者数が推計値よりも多いことが要因と思われます。
なお、2022年度の推計受験者数は、「受験者数(2021年度)×合格者受験番号最大値(2022年度)÷合格者受験番号最大値(2021年度)」で計算しているため、「受験者数」と「合格者受験番号最大値」との関係に大きな乖離が出た場合、このような差異が生じる原因となります。

2.数学問題4(3)

別のコラム「3つのバーゼル問題!?」でご紹介しました通り、「モデリング」執筆者でもある中央大学の藤田先生曰く、“本問の問題文は数学的に不正確”のようです。
実際、任意の自然数(のペア)を選ぶ場合の数は無限通りあるため、1つのペアを選ぶ確率がゼロになるためです。
したがって、厳密には、最初にある有限確定な自然数Nを1つ固定しておいて、“N以下の自然数の範囲内で任意の自然数(のペア)を選ぶ”という前提で計算をして、最終的にはNを無限大にすることで求める確率(=ζ(2)の逆数)が算出されます。
ここで、関数ζ(s) はリーマンのゼータ関数です。

なお、ζ(2) = (π^2)/6 となることについて、本問のような確率論を用いた証明は初めて見ましたが、初等的な証明法も知られているようですので、併せて以下のサイトもご覧いただければ幸いです。
https://manabitimes.jp/math/878
ちなみに、筆者は大学時代に数学科のゼミで代数的整数論を学習した際、以下の書籍に当該証明が紹介されていました。

【図3】

3.生保二次(生保1、2)

CBTによるテスト初年度であり、かつ、文字数制限など新たな条件が導入された試験でしたので、せめて、生保1と生保2とで、文字数の制約に差異を設けた理由などについても、何らかのコメントを出して欲しかったように思えます。
なお、生保1では、文字数制限を超えた公式解答が出されましたが、今後の受験生にとって大いに学習教材となるでしょう。
https://www.actuaries.jp/lib/collection/books/2022/2022G.pdf
https://www.actuaries.jp/lib/collection/books/2022/2022H.pdf

いかがでしたか。新年度がスタートしましたが、新社会人の方々におかれましては、新型コロナによる影響が徐々に薄れていく中、新たな業務スタイルに早く慣れる必要がありますね。今回のコラムがアクチュアリー試験の受験生の方々の一助となれば幸いです。

 

(ペンネーム:活用算方)

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