気になるニュース(2023年10月)


9月に引き続き10月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
また、スケジュールの関係で、9月下旬のニュースが含まれている場合がありますことを何卒ご容赦ください。

1.好景気の到来!?

金融機関ではアクチュアリーなどの専門人材の争奪戦が見られますが、中途採用に高額の報酬を提示する企業が登場された模様です。
具体的には、三菱UFJ信託銀行が専門人材に年収2000万円のジョブ型活用を検討され、また、日本生命が中途採用で最大5000万円の年収を提示される模様です。

特に、日本生命では、大手生保ということもあり、これまであまり“中途採用”を活用してこなかった印象がありますが、資産運用や営業部門、ITデジタルなど幅広い分野で30人ほど中途採用されるそうです。
何とも景気がよい話ですが、この動きが1つでも多くの企業に浸透することを期待したいところですね。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000318635.html
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75386000Y3A011C2EE9000/

2.利上げの効果

日銀による政策変更で10年国債利回りは1%まで容認されているようですが、金利上昇を踏まえた予定利率引上げの動きもみられます。
例えば、住友生命では、一時払終身保険の保険料率が改定され、これまでの予定利率0.75%が0.90%に引き上げられました。
また、明治安田生命では、学資保険の保険料率が改定され、これまでの予定利率0.75%が一気に1.30%に引き上げられましたが、この結果、(生存給付金などの)受け取り率は業界最高水準になった模様です。是非、他の生命保険会社などにも広がって欲しいですね。
https://www.sumitomolife.co.jp/about/newsrelease/pdf/2023/230928.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB11CL70R11C23A0000000/#:~:text=%E6%98%8E%E6%B2%BB%E5%AE%89%E7%94%B0%E7%94%9F%E5%91%BD%E4%BF%9D%E9%99%BA%E3%81%AF,%25%E3%81%8B%E3%82%891.3%25%E3%81%AB%E5%BC%95%E3%81%8D%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E3%80%82
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2023/pdf/20231013_01.pdf

3.AIの利活用

ジャニーズ問題で揺れ動く芸能界ですが、CMに起用しているタレント契約など、企業側の動きもますます加速模様であり、地上波では、TBSおよびフジテレビに続いてテレビ東京も“検証番組”を放送するなど、検証の動きが進んでいます。
一方で、同問題を含めたスキャンダルなどの影響を受けない方策とも考えられる、AIタレントのCM起用を伊藤園が日本で初めて行った模様です。

ただし、同社によれば、AIでCMタレントを作りたかったわけではなく、現在と30年後の自分を表現する手法としてAIが最適と考えられたそうですが、同問題を意識したメディア広報戦略という見方もできそうですね。
なお、AI活用により短期間で通常より約3倍のデザイン案が検討できたとのことですので、業務効率化の観点からもAI活用の動きが、より一層高まりそうです。
個人的には、アクチュアリーの仕事がAIに奪われる日が来ないことを祈るばかりではありますが。。。
https://mainichi.jp/articles/20231016/k00/00m/040/334000c

4.早期発見・治療

アフラック生命などの地道な営業活動により、生前給付型保険の「がん保険」が世界的にも巨大マーケットに成長した日本市場では、悪性新生物の早期発見・治療は、国民衛生向上の観点からも極めて重要な案件です。
このうち「早期発見」については、線虫を使ったがん検査が有名で、年内にも精度を検証するため、日本核医学会のワーキンググループなどのチームが実態調査を開始した模様です。

ただし、ベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」によれば、PET検査に線虫検査の精度を検証する能力はなく「信頼のおける検証にはなり得ない」との指摘もあります。
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1206569
なお、日本人医師が偶然発見した「奇跡の治療法」で、楽天の三木谷氏曰く「おもしろくねえほど簡単だな」と唸った光免疫療法もあるようですので、「早期治療」についても大きく前進している模様ですね。
https://president.jp/articles/-/74483?page=1

5.必要性が不明確な個人情報!?

“借金、食費、小遣い額”といった機微情報に近い個人情報提出を半ば強制的に提出させられる組織が存在する模様です。弁護士によれば、「不祥事の再発防止は親会社が主体的に検証し進めるべき取り組みであり、任意団体がここまで詳細な情報を集める理由はなく、知りながら野放しにしているのであれば大問題」との指摘です。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1134540/

また、NTT西日本・子会社の元派遣社員が顧客情報「900万件」を不正流出させたようですが、約900万件という巨大な数字には、ただただ唖然とするばかりですね。

https://smbiz.asahi.com/article/15032430

6.働かせるだけではだめ

2023年のノーベル経済学賞を受賞された米ハーバード大学教授のクラウディア・ゴールディン氏が記者会見を開かれましたが、席上で「日本の労働市場」にも言及された模様です。
具体的には、日本では、男性に比べて女性はパートなど短時間労働が多く、「働く女性が増えるのは良いこと」と指摘しつつ、「女性を労働力として働かせるだけではダメであり、真の意味での女性の社会参画は進んでいない」との見方をされています。

特に、手厚い育児休暇制度があるものの「職場に影響を与える可能性がある」との理由で取得しない人が多いというご指摘は、政治家や経営者を始めとして、国民全体で真摯な議論を継続しなければならない「国の課題」と言えそうですね。
https://mainichi.jp/articles/20231010/k00/00m/030/022000c

7.孫の育休

上述の「ご指摘」を考慮したのかもしれませんが、少子化対策として、男性を含めた育児休暇制度において、“孫が生まれたら「年7日の育休」取得可能”という新たな制度が登場した模様です。
甥姪や弟妹が生まれた社員も使えるため、「まご・おいめい育児休暇」と呼ばれるようですが、特に、男性社員が育児休暇を取得しにくい現状を打破するために考案された制度のようです。

いわゆる「BM社問題」で揺れ動く会社にとって、まさに、“Baby Movement”になることを大いに期待したいですね。
https://www.himawari-life.co.jp/-/media/himawari/files/company/news/2023/a-01-2023-10-02.pdf?la=ja-JP

8.千京ドルの価値!?

小惑星「プシケ」へ向かう探査機がケネディ宇宙センターから打ち上げられ、鉄やニッケルなどの金属質の小惑星に接近して調べるのは世界初の探査となる模様です。当該小惑星の価値は、な、なんと、1,000京ドル(=日本円で15垓円に相当)になる見込みです。想像を絶する価値ですが、糸井重里氏らを中心に放送された「徳川埋蔵金伝説」を彷彿とさせますね。

なお、探査機は2029年に当該小惑星到着し、2年2か月にわたって表面観測を続けるとのことです。ちなみに、「プシケ」とは、ギリシャ神話に登場する女神の名前のようですが、まさに、「幸運の女神」となることを大いに期待したいですね。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20231013-OYT1T50353/

9.輸送と救出

終わりの見えないウクライナ/イスラエル情勢ですが、現地からの邦人救出にも“法律の壁”が存在する模様です。
時事通信による世論調査では、海外での邦人救出に自衛隊を活用することに「賛成」34.6%「反対」51.1%と慎重な意見が(依然として)多い状況です。

もともと自衛隊法第84条の3で「在外邦人等の輸送」が規定されているのですが、自衛隊は「邦人輸送OK」で「邦人救出NG」という見解で、国際常識からすれば非常に奇妙な規定とも言われています。国民の生命を守るのは国家の責務である「はず」なのですが。。。
https://www.jfss.gr.jp/news/orita/20150319.htm

10.継続は力なり!

“今日はあなたの残りの人生の最初の日!”これは、NHKの実践ビジネス英語などでお馴染みの杉田敏先生が番組で紹介されていた有名な米国の諺です。前向きに言い換えれば、人生はいつからでもやり直せる!という感じかもしれませんね。
東大卒元キャリア官僚という“自頭力の良さ”を有するギフテッド的な人は数多くあれど、定年後のセカンドキャリアとして『60才で医師免許取得』は、生涯現役を目指す人々にとって希望の星と言えそうですね。

ただし、投入される国費と医師としての稼働期間を考慮すると、医学部は入試だけの成績で合否を決定すべきなのかという点も悩ましいところで、実際、30年前に某国立大学で50才代受験生を、合格点に達しているにも拘わらず経済性から不合格として裁判になったケースがあった模様です。
入試要項に年齢制限を設けるのか、特に、臨床という“現場活動”を伴う医学部では、なかなか悩ましい問題ですね。
https://www.moneypost.jp/1065932?_from=widget_ranking_pc

いかがでしたか。日本が世界に誇る「和算」の大家である『関孝和』の全集刊行を記念してトークイベント「関孝和の数学:一般論の追究」が、10月13日(金)に書泉グランデで開催されました。https://www.shosen.co.jp/event/12918/

京都大学名誉教授の上野健爾先生によるご講演でしたが、10月6日(金)に刊行された同先生の御著書『関孝和全集』の値段に、思わず“面白そうだけど買えねえなあ”と三木谷氏のようなセリフを絶叫しそうになりました。

 

(ペンネーム:活用算方)

あわせて読みたい ―関連記事―