2025.05.06

アクチュアリー

「公認会計士はやめとけ」と言われるのは本当?現実と会計士の魅力とは

「公認会計士はやめとけ」と言われるのは本当?現実と会計士の魅力とは
「公認会計士はやめとけ」

そんな声を耳にして、不安になったことはありませんか?

会計士は難関資格でありながら、ネット上ではネガティブな意見も散見されます。これから資格取得を目指す受験生や、すでに働いている若手会計士の中には、「自分の選択は正しかったのか」「このまま会計士として働き続けていいのか」と悩んでいる方もいるでしょう。

この記事では、公認会計士が「やめとけ」と言われる理由を冷静に整理した上で、その真偽や実際のメリットについても客観的に解説します。後半では、会計士としてのキャリアに迷ったときの具体的な行動指針についても紹介しますので、今後の働き方を見直したい方はぜひ最後までご覧ください。
著者画像

この記事の著者

VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

公認会計士はやめとけと言われる理由

インターネット上では「公認会計士はやめとけ」といった声が散見されます。これから会計士を目指す人にとっては、不安になるような意見かもしれません。では、なぜそのような意見が出てくるのでしょうか。主な理由について解説していきます。

試験の難易度が非常に高いため

公認会計士試験は、合格までに多くの時間と労力を要する難関試験として知られています。短答式・論文式の2段階構成で、特に論文式試験は高度な知識と思考力を求められ、合格までに数年単位の努力を必要とすることも珍しくありません。合格率も毎年10%前後と低く、「勉強しても受からない」という現実に直面し、途中で断念してしまう人も多いのが実情です。こうした背景から、「やめとけ」という声があがることもあるのです。

仕事が激務になりやすいため

晴れて試験に合格し、公認会計士として監査法人などで働き始めても、その後に待っているのは激務の日々です。特に繁忙期となる3月決算の時期は、残業が続くこともあり、休日出勤を求められるケースも珍しくありません。

また、クライアント対応や社内調整など、精神的にもタフさが求められる環境が続きます。こうした労働環境に不安を覚え、「長く続けられないのでは」と考える人が出てくるのも無理はありません。

単調な作業が多く、飽きやすいため

公認会計士の業務、とりわけ監査業務では、証憑(しょうひょう)チェックや数字の突合、資料の作成など、ルーティンワークが多く発生します。もちろん重要な業務ではありますが、単調になりがちなため、「やりがいを感じにくい」「成長を実感しにくい」と感じる若手会計士もいます。特に、クリエイティブな仕事や多様な経験を求める人にとっては、物足りなさを感じやすい職種と言えるかもしれません。

AIによる代替が懸念されていたため

一時期、「AIが会計士の仕事を奪うのではないか」という議論が盛んに行われました。たしかに、証憑チェックや数値分析といった定型的な作業は、AIによって効率化が進んでいます。しかし実際には、専門的な判断を要する監査の現場や、クライアントとのコミュニケーションなど、人間の介在が不可欠な業務も多く、すぐに完全に代替されることは考えにくいのが現状です。それでも「将来性が不安」という声があがる背景には、業務の自動化に対する漠然とした不安があると言えるでしょう。

公認会計士はAIに代替されるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

公認会計士はAIに代替されるのか|AI活用事例や今後必要となるスキルとは

投資活動に制約がかかるため

公認会計士は、職業倫理上の理由から一定の投資活動に制限がかかるケースがあります。特に、監査法人に所属している間は、監査先企業の株式を保有できないなどのルールが存在します。資産形成に積極的な人や、投資をライフワークにしたいと考えている人にとっては、こうした制約がネックになることもあります。仕事上の利害関係とプライベートの活動とのバランスに悩む場面があるのも事実です。

会計士に特化した転職支援サービスはこちら

「公認会計士はやめとけ」という噂は本当?

ネット上でたびたび目にする「公認会計士はやめとけ」という言葉。その背景には試験の難易度や仕事の大変さといった理由が挙げられますが、必ずしもすべてがネガティブな側面だけとは限りません。ここでは、その噂に対する現実的な視点を紹介します。

試験の難易度は高いが、実際に多くの合格者がいる

たしかに公認会計士試験は難関であり、合格までには長い学習期間と努力が求められます。しかし、毎年合格者が出ており、働きながら合格を目指す社会人や、大学在学中に合格する学生も少なくありません。近年は予備校やオンライン講座の充実により、効率よく学べる環境も整ってきています。「難しい=無理」ではなく、正しい努力と計画によって十分に到達可能な資格と言えるでしょう。

働き方改革で激務も緩和しつつある

以前は「会計士=激務」というイメージが強く、特に繁忙期の長時間労働が問題視されていました。しかし、近年は働き方改革の影響もあり、業界全体で労働時間の見直しやリモートワークの導入が進んでいます。監査法人によってはフレックスタイム制を導入していたり、育児や介護と両立しやすい体制を整えているケースもあります。全体としては、働きやすさに配慮した組織づくりが進行中です。

単調な作業以外も選択肢がある

監査業務においては証憑チェックや数値の照合といった作業が多くなる場面もありますが、公認会計士としてのキャリアはそれだけに留まりません。たとえば、財務デューデリジェンスやバリュエーションといったFAS業務、IPO支援、内部統制構築、ガバナンス領域のアドバイザリーなど、会計士が活躍できるフィールドは年々広がっています。単調な作業に飽きてしまうという声がある一方で、多様なキャリアパスが選べるのも会計士の強みです。

AIの活用は進んでいるが代替はされない

AIやRPAの活用により、会計業務の一部は自動化されつつあります。たとえば仕訳作業や帳簿チェックなどは、AIによって効率化が可能です。しかし、公認会計士の仕事には専門的な判断や倫理的な視点、クライアントとの対話を必要とする場面が多く、こうした領域はAIでは代替できません。むしろ、AIの導入によって煩雑な作業が減り、より付加価値の高い業務に集中できる環境が整いつつあると言えるでしょう。

投資活動が全てできなくなるわけではない

会計士には倫理規定があるため、特定の投資に制限がかかるケースはありますが、すべての投資が禁止されているわけではありません。例えば、監査法人に所属していても、監査に関与しない企業への投資や、一定のルールに則った資産運用は可能です。独立開業後であれば、より自由度の高い資産形成も行えます。重要なのは、職業倫理を守りながら適切に運用するというスタンスであり、会計士だからといって投資が一切できないというわけではないのです。

公認会計士の魅力・メリット

「やめとけ」と言われる一方で、公認会計士は依然として人気の高い資格の一つです。その理由は、厳しい試験を突破した先に得られる多くのメリットにあります。ここでは、公認会計士という資格が持つ代表的な魅力を紹介します。

年収が高く安定している

公認会計士の大きな魅力のひとつは、高水準の年収です。新卒で監査法人に就職した場合でも、初年度から残業代込みで年収600万弱が見込まれ、経験を積むごとにさらに収入が伸びていきます。マネージャークラスになれば年収1,000万円に達するケースも珍しくありません。独立後や事業会社への転職を経て高収入を得ている方も多く、経済的に安定したキャリアを築ける資格として根強い人気があります。

社会的信用が高い

国家資格である公認会計士は、専門性と倫理性を兼ね備えた職業として社会的にも高く評価されています。企業や金融機関との取引、住宅ローンの審査などにおいても、「公認会計士であること」がプラスに働く場面が多くあります。また、名刺に肩書きを記載できることで、対外的な信用力が増すのもこの資格ならではの利点です。長期的な信頼を得やすい職業であることは、人生全体において大きな強みとなるでしょう。

キャリアの選択肢が豊富

監査法人での勤務に限らず、公認会計士のキャリアは多岐にわたります。たとえば、FAS(Financial Advisory Services)業務や事業再生支援、IPO支援、企業内の経理・財務部門、さらにはコンサルティングファームなどへの転職も可能です。近年では、スタートアップやベンチャー企業でのCFO(最高財務責任者)ポジションに就く会計士も増えています。専門性を武器に、自分らしいキャリアパスを選択できるのが、公認会計士という資格の大きな魅力です。

会計士に特化した転職支援サービスはこちら

公認会計士に向いている人の特徴

公認会計士には高度な専門知識だけでなく、適性も重要です。たとえば、長時間にわたる監査業務や資格取得の勉強には「忍耐力」が欠かせません。また、膨大な資料を正確に処理するには、地道な作業を苦にしない「継続力」や「注意力」も求められます。

さらに、財務データを分析し判断するには「ロジカルな思考力」が必要不可欠です。不正を見逃さないための「正義感」や「倫理観」も重要な資質と言えるでしょう。そして、監査やコンサル業務では、社内外との調整・説明が不可欠であるため、「コミュニケーション能力」も大切です。これらの特徴に共感できる方は、公認会計士として活躍できる素質があります。

公認会計士に向いている人については、以下の記事で詳しく紹介しています。

公認会計士に向いている人・向いていない人の特徴。就職先別の適性について

公認会計士のキャリアに悩んだらVRPパートナーズへ

「このまま監査を続けていて良いのだろうか」「もっとやりがいのある仕事がしたい」

そんな悩みを抱える会計士の方は少なくありません。

VRPパートナーズは、公認会計士のキャリア支援に特化した転職エージェントです。監査法人からFAS、コンサルティングファーム、事業会社の内部監査部門など、プロフェッショナルな転職先への支援実績が豊富にあります。

「FAS業務に挑戦したい」「クライアントに寄り添った仕事がしたい」「ライフスタイルを見直したい」といったご希望に対して、業界知識を持つコンサルタントが丁寧にヒアリングを行い、最適なキャリアの選択肢をご提案します。

試験に合格した後の人生こそが、本当のスタート。自分の強みを活かし、納得できる働き方を実現するために、まずはお気軽にご相談ください。

会計士に特化した転職支援サービスはこちら

まとめ

「公認会計士はやめとけ」といったネガティブな意見には、それなりの背景がありますが、すべての人に当てはまるわけではありません。たしかに試験の難易度や業務のハードさは事実としてありますが、それを上回るだけのやりがいやメリットも多く存在します。

重要なのは、自分自身が何を求めているのかを見つめ直すことです。そして、キャリアに迷ったときには、一人で悩まず専門家に相談することが、より良い未来を切り開く第一歩になります。

公認会計士としての可能性を最大限に活かすために、あなたのキャリアに合った道を一緒に探してみませんか?VRPパートナーズが、その一歩をサポートします。

コラム一覧へ戻る

求人の紹介をご希望の方

人材ビジネス20年以上の経験を有するプロが
あなたの転職をサポートします。

無料
転職支援サービスのお申し込み