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公認会計士登録に必要な実務経験
公認会計士の登録には、試験合格後に一定期間の実務経験を積む必要があります。この実務経験は、業務補助や実務従事の形で行われます。それぞれの経験について詳しく見ていきましょう。
業務補助
業務補助は、監査証明業務に関して公認会計士や監査法人の業務を補助することです。業務補助は、試験合格前後にかかわらず、実務経験として積むことができます。業務補助においては、最低でも2法人の監査証明業務に従事する必要があります。これにより、監査業務の一連の流れや実務を習得することが求められます。
具体的には、監査法人で補助業務を行う場合、法定監査だけでなく任意監査でも業務経験として認められます。また、雇用形態が常勤か非常勤かは問いませんが、業務補助の内容が監査法人や公認会計士の監査業務に密接に関連している必要があります。
実務従事
実務従事は、財務に関する監査や分析業務、さらには資金運用に関する業務などを担当することです。実務従事の対象となる業務は、公認会計士法施行令第2条に基づき、国や地方公共団体の機関、または開示会社などの大手法人での業務です。例えば、公共団体での会計検査や財務分析業務、また金融機関や保険会社での資金運用業務などが実務従事として認められます。
実務従事を行うためには、対象となる法人が資本金額5億円以上である必要がありますが、業務を通じて法令に基づいた財務分析や監査業務を行っていることが重要です。これにより、実務経験として認められるかどうかが判断されます。
公認会計士登録に必要な実務経験の期間
公認会計士として登録するためには、3年以上の実務経験を積む必要があります。
業務補助の場合、勤務日数や時間に特別な基準はありません。監査法人などの代表者がその業務を適切と認めれば、実務経験としてカウントされます。
実務従事の場合、常勤で3年が基準となりますが、非常勤やパートタイム勤務の場合は、常勤の勤務日数に応じて換算されます。例えば、常勤の半分の勤務日数であれば、実務経験として認められる期間も半分となります。
また、令和5年(2023年)4月1日から実務経験の期間が2年以上から3年以上に変更されました。これから実務経験を積む場合は、最低でも3年間の実務経験が必要です。しかし、令和5年4月1日時点で2年以上の実務経験がすでにあった場合は、追加で1年間の実務経験を積む必要はなく、経過措置が適用されます。
実務経験を積める職場
実務経験を積む場所にはいくつかの選択肢があります。それぞれの職場で積むべき実務経験の内容や注意点について説明します。
監査法人
監査法人では、業務補助と実務従事の両方を経験できるため、公認会計士試験合格者は監査法人で実務経験を積むことが一般的です。
しかし、監査法人で行った業務がすべて実務経験として認められるわけではないことには注意が必要です。
具体的には、単なる事務作業や庶務業務、営業部門や総務部門の補助などは実務経験として認められない可能性があります。このため、監査業務や財務分析業務に関連する実務を中心に経験を積むことが重要です。
監査法人への志望動機の書き方などは以下のページで詳しく解説しています。
会計・税理士事務所・税理士法人
会計事務所や税理士法人での実務経験も公認会計士登録には有効です。たとえ小規模な事務所であっても、実務経験を積むことが可能です。ただし、実務経験として認められるためには、一定の条件があります。例えば、一般的な会計監査や、資本金が5億円以上の法人を対象とした原価計算や財務分析業務を行っていることが求められます。
そのため、すべての会計事務所や税理士法人が実務経験の要件を満たすわけではありません。実務経験を積むためには、事前にその事務所が提供する業務内容を確認し、要件を満たしているかどうかを確認することが重要です。
コンサルティング会社
コンサルティング会社でも、公認会計士としての実務経験を積むことができます。特に、財務コンサルティングや経営コンサルティングの分野では、財務分析や原価計算に関する業務に従事することが多く、実務経験として認められる場合があります。
コンサルティング会社の実務経験が認められるためには、対象となる法人が資本金5億円以上であることが条件となります。しかし、所属するコンサルティングファーム自体が資本金5億円未満でも、コンサルティング業務の内容が、対象となる法人(例えば、資本金5億円以上の企業や開示会社など)の会計や財務に関するものであれば問題なく認められます。
一般企業の経理部・税務部
一般企業の経理部門や税務部門でも、公認会計士として実務経験を積むことができます。特に、原価計算や財務分析に関連する業務は、公認会計士としての実務経験の要件を満たす可能性があります。
ただし、実務経験を認められるためには、対象となる企業が資本金5億円以上であることが条件です。企業の規模や業務内容によっては、実務経験の要件を満たすことが難しい場合もあるため、企業の規模や担当する業務内容に注意が必要です。
金融機関・保険会社
銀行や保険会社でも、貸し付けや債務保証、資金運用に関連する業務を通じて、公認会計士としての実務経験を積むことができます。これらの業務に従事している場合、実務経験として認められることがあります。
ただし、これらの業務に限定されており、他の部署に配属された場合は実務経験の要件を満たさない可能性があります。したがって、就職時や配属時に業務内容をしっかり確認し、実務経験として認められる業務に従事できるかを確かめることが重要です。
公務員
公務員としてのキャリアも、公認会計士を目指すうえでの選択肢の一つです。特に、国税局などでの税務調査や監査業務は、実務経験として認められる場合があります。しかし、法人の税務申告業務は実務経験として認められません。
公務員として実務経験を積む場合は、まず公務員としての採用プロセスを経る必要があります。そのため、公務員という道を選ぶ場合は、就職活動や採用試験に関する準備を早期に進めることが大切です。
公認会計士が実務経験を積む際の注意点
公認会計士として登録するために求められる実務経験は、単に年数を満たせば良いというものではありません。実務内容の適格性、証明書類の準備、そして働きながら試験勉強を続けていく体制など、押さえておくべきポイントが複数あります。ここでは特に重要な注意点を整理して解説します。
期間要件が3年以上に引き上げとなった
2023年4月1日の法改正により、公認会計士登録に必要な実務経験期間が2年以上から3年以上に引き上げられました。
背景としては、企業活動の高度化やグローバル化により監査業務がより複雑になっていること、そして国際教育基準(IES)でも3年間の実務経験が推奨されていることが挙げられます。欧州でも3年以上を求める国が多く、日本でも国際水準に合わせた形です。
ただし、金融庁は以下のように経過措置を設けています。
- 2023年4月1日時点で実務経験が2年以上ある方
→追加で1年以上積む必要はなく、2年以上で要件を満たす
- 2023年4月1日時点で実務経験が2年未満の方
→今後は3年以上必要となる
実務経験のスタート時期によって要件が変わるため、自分がどの区分に当てはまるか早めに確認しておくことが重要です。
業務補助証明書の発行が必要
公認会計士として登録するためには、実務経験が適切に積まれたことを証明する「業務補助等の報告書受理番号通知書」を取得する必要があります。単に実務経験を積むだけでは登録できず、金融庁への正式な申請手続きを経る必要があります。
証明書の交付を受けるには、業務補助等報告書(第一号様式)と業務補助等証明書(第二号様式)を作成し、提出者の住所地を管轄する財務局を通じて金融庁長官あてに提出します。送付時には、正本と写し、110円切手を貼った返信用封筒、連絡先、実務先の連絡先など所定の書類を同封します。
提出後は、金融庁・財務局が実務先(監査法人や公認会計士、実務従事先の法人など)に電話・メールで内容確認を行い、受理されると財務局を経由して通知書が交付されます。これは公認会計士登録時に必須の書類となるため、必ず保管しておきましょう。
なお、報告書を提出できるのは公認会計士試験に合格し、実務経験が通算3年以上(経過措置対象者は2年以上)に達してからです。証明書は代表者の押印不要となりましたが、押印があるものを提出しても問題ありません。実務従事の場合は法人概要資料や担当業務の資料など追加書類が求められるため、早めの準備が重要です。
実務と試験勉強の両立ができる職場を選ぶ
公認会計士として登録を目指す場合、実務経験を積みながら実務補習や修了考査の勉強を続ける必要があります。そのため、職場選びでは「学習との両立が可能な環境かどうか」が非常に重要です。
特に、受験生や実務補習生への理解がある監査法人や事務所では、繁忙期以外は残業を抑えられるよう配慮があるなど、学習の時間を確保しやすくなります。また、実務補習所の出席に柔軟に対応してくれるかどうかも大切なポイントです。
一方で、業務量が多く、実務補習や修了考査の勉強時間が十分に取れない環境では、登録までの期間が大きく延びてしまう可能性があります。
実務経験を積む職場を選ぶ際は、担当業務の内容だけでなく、働きながら学習できる制度や風土が整っているかも必ず確認しておきましょう。
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公認会計士登録におけるよくある質問

公認会計士として登録するために必要な実務経験を積むための準備や、実務経験後のキャリアに関する質問について解答します。これからのキャリアを築くための重要なポイントを確認しましょう。
実務経験のための就職活動はいつから始める?
監査実務の経験を積み、公認会計士としての登録要件を満たすための就職活動は、論文式試験後の8月下旬〜9月初旬に動き出すのが基本です。
新卒採用では、論文式試験の受験後から就職活動がスタートし、合格発表(11月中旬)前後に選考・内定が進むのが一般的です。2024年度の「4法人リクルート協定」では、以下のようなスケジュールが定められています。
- 9月2日以降:法人説明会等のイベント開始
- 10月1日以降:エントリーシート提出可能
- 11月15日以降:面接申込開始(同日が合格発表)
- 12月5日以降:面接実施
- 12月12日以降:内定通知、12月13日までに承諾
したがって、論文式試験後から積極的に説明会や情報収集を行い、合格発表後すぐに動ける準備を整えておくことが重要です。
一方で、中途採用(既卒者)で監査法人への就職を目指す方も、実務経験を積む目的での採用を受けることが可能です。 たとえば、他業種で勤務していた方が試験合格を機に転職を考えるケースや、会計士登録を目指しているが実務経験がない方が対象となります。
この場合も、新卒と同様のタイミング(秋~冬)に選考が行われることが多く、新卒枠に近い形で応募することが一般的です。一部の監査法人では、中途採用枠を通年で受け付けているケースもありますが、特に新卒選考と並行する時期は求人が活発になるため、早めの準備が鍵となります。
アルバイトや非常勤でも実務経験は積める?
アルバイトや非常勤としても、実務経験を積むことは可能です。ただし、重要なのは、担当する業務内容が実務経験として認められるものであるかどうかです。
例えば、監査法人や会計事務所で業務補助や監査証明業務に関わる業務を行っていれば、非常勤やアルバイトであっても実務経験として認められることがあります。雇用形態に関係なく、実務経験を積むためには、業務内容が会計士としての専門知識を活かすものであることが求められます。
実務経験の手続きはいつから始めれば良い?
実務経験の手続きは、公認会計士試験に合格し、実務経験が通算で必要年数(原則3年以上、経過措置該当者は2年以上)に達したタイミングで進められます。実務経験そのものは試験合格前から積むことができますが、金融庁への「業務補助等報告書」の提出は、試験合格後でなければ行えません。
実務経験が満たされる見込みが立った段階で、勤務先の担当者に証明書発行の依頼をしたり、必要書類を揃え始めたりするのがスムーズです。金融庁や財務局による実務内容の確認が入るため、勤務先の連絡先や担当者情報を整理しておくことも重要です。
登録に必要な手続きは時間がかかることもあるため、実務経験の年数が満たされる前から準備を進め、スムーズに申請できる体制を整えておくことをおすすめします。
実務経験後のキャリアステップについて
実務経験を終えた後、公認会計士としてのキャリアの選択肢は広がります。まず、監査法人や会計事務所でのキャリアをさらに積み重ねる道もありますし、コンサルティングやFAS(Financial Advisory Services)など、異なる分野へ転職することも可能です。
実務経験後には、自分の進みたいキャリアパスに合わせて転職を考えるのも良いでしょう。多くの公認会計士は、実務経験を通じて自身の得意分野を見つけ、その分野でさらなるスキルアップを目指すことができます。また、企業の経理部門や財務部門での経験を積む選択肢もあります。自分の将来像に合ったキャリアステップを選ぶことが大切です。
公認会計士のキャリアについては、以下の記事でもご確認いただけます。
公認会計士の実務経験が積める求人例
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実務経験が積める職場の探し方
公認会計士として登録するための実務経験は、要件を満たす職場で働かなければ得られません。どこでその経験を積めるのかが分かりにくいという声も多く、最初の職場選びが大きなポイントになります。
実務経験を積める職場を探す方法として、最も一般的なのは監査法人の採用情報を確認することです。監査法人は実務経験の要件を満たしやすく、採用枠も毎年一定数あります。試験合格後に新卒枠として受ける方法のほか、既卒向けの中途採用や非常勤採用も行われています。
また、大手転職サイトや専門エージェントを活用することで、会計事務所・税理士法人・コンサルティング会社・事業会社の経理財務など、実務経験として認められる可能性のある求人を効率的に探せます。求人票だけでは実務経験として認められる業務かどうかは判断が難しいため、専門知識を持つエージェントに相談することも効果的です。
その他、一般企業の経理部門や金融機関でも、財務分析や原価計算に関わるポジションであれば実務経験として認められる場合があります。企業によって担当業務が大きく異なるため、応募前に「会計士の実務経験に該当する業務が含まれるか」をしっかり確認することが重要です。
実務経験を積める職場は限定的ですが、探し方を押さえておけば選択肢は広がります。自分の将来のキャリアを見据えながら、最適な環境を見つけていきましょう。
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公認会計士の転職ならVRPパートナーズへ
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