投稿日:2025.01.31/最終更新日:2025.12.05

公認会計士

公認会計士のFASへの転職|未経験からの転職難易度や後悔しないためのコツを解説

公認会計士のFASへの転職|未経験からの転職難易度や後悔しないためのコツを解説
公認会計士として働く中で、FAS(Financial Advisory Services)への転職を検討する方は少なくありません。FAS業界はM&Aや企業価値評価、財務デューデリジェンスなど、多岐にわたる専門的な業務を扱い、キャリアアップやスキルの幅を広げる場として非常に魅力的です。

しかし、未経験からの転職には難易度や注意点も伴います。本記事では、公認会計士がFASへの転職を成功させるためのポイントや後悔しないための準備方法などを解説します。
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VRPパートナーズ編集部

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FASとは

FAS(Financial Advisory Services)は、企業の財務戦略やM&A(合併・買収)、事業再生などに関する専門的なアドバイスを提供するサービスです。

上場企業や中堅の株式会社、事業会社、金融機関など、さまざまな企業や法人を顧客としています。
顧客は日本企業だけでなく、海外のグループ会社や金融機関、商社など多岐にわたり、経営者やCFOと直接コミュニケーションを取りながら、財務会計や会計監査の知見をもとに意思決定をサポートします。

企業の重要な意思決定を支援し、財務デューデリジェンスやバリュエーション、財務戦略の策定といった複雑なプロジェクトに対応するため、高度な専門知識と分析力が求められます。

ここでは、FASの分類や業務内容などを詳しく見ていきましょう。

FASの主な分類

FASは、FAS自体の規模やクライアントの規模によって業務内容と範囲が異なります。

FASは大きく分けて2つの分類があり、世界4大国際会計事務所である、KPMG、EY、デロイト、PwCの系列となる「BIG4系FAS」と、そのほかの「独立系FAS」に分けられます。

BIG4系FASは、クロスボーダー案件や大規模なプロジェクトを多く手掛けている点が特徴です。しかし、それだけにとどまらず、中堅上場企業や非上場の優良企業の案件も数多く扱っています。プロジェクトによっては複数名のチームで取り組むことが多く、それぞれが専門性を活かして役割を分担しながら業務を進めます。ミドルクラスの案件では、独立系FASと同様に、幅広い業務に関与できる機会も多いのが魅力です。

一方、独立系FASは、比較的小規模な案件や、中堅企業やベンチャー企業を対象とすることが多いです。独立系FASでは、一人が複数の役割を担うことが求められるケースが多く、プロジェクト全体を把握しながら柔軟に対応する必要があります。

FASの業務内容

FASの仕事内容は、企業価値評価や財務デューデリジェンスといった財務系のアドバイザリーにとどまりません。M&Aのストラクチャー設計や、投資ファンドや金融機関との取引条件の調整など、より経営に近い領域まで踏み込んだ支援を行うことも多くあります。

FASの業務内容は多岐にわたりますが、代表的なものは以下の通りです。

  • M&Aアドバイザリー:FA(Financial Advisory)とも呼ばれ、M&Aの際に買い手と売り手のどちらかについて案件全体のプロジェクトマネジメントを行う。
  • 企業価値評価(バリュエーション):企業の買収価格や売却価値を算定し、クライアントにとって最適な意思決定をサポート。
  • 財務デューデリジェンス:対象企業の財務諸表やキャッシュフローを分析し、潜在的なリスクや問題を洗い出す。
  • 再生計画策定:経営再建のための計画を立案し、実行支援を行う。
  • フォレンジック:不正行為や法的問題の調査を行い、調査結果を報告書にまとめる。場合によっては、調査内容を基に法廷で証言を行うこともある。
  • ストラテジー部門:M&A戦略・事業性調査等のM&Aの初期的検討を行うPre M&AからM&A後の統合・分離支援やバリューアップ支援などのPost M&A(PMI)まで幅広く関与する。

FASは、単なる数字のチェックではなく、「企業の将来像をどう描くか」という視点で、経営者と並走するコンサルティング的な役割も兼ねている点が特徴です。

各部門には会計士や弁護士、投資銀行出身者など、さまざまなバックグラウンドを持つ専門家が集まり、プロジェクトごとにチームを組んで業務を遂行します。会計士は財務分析や内部統制の専門知識を生かし、弁護士は法的リスクの検証を担うなど、それぞれの専門知識を組み合わせて問題解決に取り組んでいます。

FASとIBD、コンサルの違い

FAS、IBD(Investment Banking Division)、コンサルティングファームは、それぞれ異なる役割を担いながら、企業の成長や課題解決を支援しています。ただし、業務内容に共通点がある部分もあり、それぞれの特徴を理解することが重要です。

FAS(BIG4系)

FASは、M&Aの売り手企業または買い手企業のどちらかにつき、その利益の最大化を目指します。BIG4系FASでは、国内外のネットワークを活用し、会計税務、コンサルティング、法務の専門家と連携して、デューデリジェンスやバリュエーションを含む包括的な支援を提供します。このように、M&Aにおける幅広いサービスを一貫して提供できる点が特徴です。

IBD(投資銀行)

IBDもM&Aの売り手企業または買い手企業に寄り添い、その利益の最大化を目指します。特に、大手企業のM&Aでは、株式や国債の発行を通じた資金調達機能を持つことが優位性となります。IBDは「カバレッジ(営業)」と「エグゼキューション(ディール実行)」という2つの部門に分かれており、組織としての役割分担が明確です。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームは、業務改善や戦略立案、組織改革など、経営課題全般を対象にしたサービスを提供します。特に、企業の内側に深く入り込んで長期的な成果を目指す点が特徴です。M&Aに直接関与するケースは少ないものの、統合後の業務改善やPMI(Post-Merger Integration)の支援を行うことがあります。

公認会計士がFASへの転職を考える際は、FASが提供する幅広いサービスを理解しつつ、IBDやコンサルとの違いを把握することが重要です。それぞれの特徴を踏まえて、自身のキャリア目標に合った選択をしましょう。

FASの転職市場動向

FASはM&Aの増加に伴い、需要が高まっている業界です。矢野経済研究所の調査によると、事業を継続するためのM&Aを活用する中小企業の潜在市場規模は約13兆5000億円に上り、2035年まで増え続ける見込みがあります。

また、2023年には上場企業のM&Aが7年ぶりに200件以上となり、アフターコロナによる経済活動の正常化が海外M&Aの件数を回復させています。

さらに、大手転職サイトやFAS・会計士に特化した転職サイトでも、新着のFAS関連求人が継続的に公開されており、2025年以降も高い需要が続くと予測されています。
募集拠点は東京都内がメインではあるものの、大阪・名古屋など東海・関西エリア、福岡など地方の拠点を持つFASも増えており、東京一極集中から少しずつ分散する動きも見られます。

M&Aを取り巻く環境は中小企業の事業承継だけでなく、国内外の企業再編や成長戦略としての買収・統合にも及んでおり、FASへの転職市場はますます活発化していくといえるでしょう。

参考:事業承継M&A、潜在需要13兆円超 35年まで増加続く

参考:上場企業の海外M&A、2023年はコロナ前を超えて7年ぶりの高水準に

FASの年収・待遇水準

FASの年収は、監査法人より高く、実力主義の評価制度が採用されており、20代後半〜30代で年収600万円から1,000万円台へ昇進する例も多く見られます。

FAS全体の平均はおよそ700万〜2,500万円の間に収まります。

BIG4系では平均約1,100万円、独立系でも成果報酬を含めると高額帯まで伸びやすく、アソシエイトで700万〜900万円、シニアマネージャーで1,600万〜2,100万円、パートナーでは4,000万円〜1億円に達するケースもあります。専門性が高く、市場需要が拡大していることから、経験値に応じて報酬が大きく上振れしやすい点が特徴です。

BIG4系FASと独立系FASでの年収差

BIG4系FASは採用基準や案件規模が大きいため、初年度から高い報酬が設定され、平均年収は約1,100万円に達します。監査法人で培った財務分析力がそのまま評価されやすく、待遇が安定している点も特徴です。

一方、独立系FASはベース年収こそ800万〜1,200万円程度に落ち着く傾向があるものの、成果報酬型のインセンティブによってレンジは大きく広がり、結果次第では2,000万円を超えるケースもあります。

組織規模が小さく、若手のうちから幅広い業務を経験しやすい環境であるため、経験と成果がダイレクトに報酬へ反映されやすいのが魅力です。

役職別の平均年収

役職の上昇とともに年収が段階的に伸びる構造がFASの特徴です。

アソシエイトは700万〜900万円が一般的で、シニアアソシエイトになると1,000万〜1,400万円に昇給します。マネージャーでは1,400万〜1,800万円、シニアマネージャーでは1,600万〜2,100万円に達し、案件管理やチーム運営を担う立場としてより高い報酬が提示されます。

ディレクター以上になると1,800万円を超え、独立系では成果次第で数千万円規模、パートナーでは4,000万〜1億円に到達することも珍しくありません。

専門性と成果が明確に評価されるため、経験を重ねるほど高い収入を実現しやすい環境です。

FASに転職するメリット

公認会計士がFASに転職する最大のメリットは、キャリアの選択肢が広げられることです。公認会計士の主要である監査業務だけでは、キャリアパスが限定されてしまいます。

FASに転職することでM&A経験や財務分析を中心としたアドバイザリー業務の経験・実績を積むことができ、自身の市場価値を高めることが可能です。

特に、BIG4系のFASは、国内外でのグループネットワークを活用し、クロスボーダー案件や大規模なプロジェクトに携わる機会が多いのが特徴です。ただし、英語力が求められる案件ばかりではなく、国内案件も多くあるため、グローバル案件への関与は個々の希望やスキルに応じたものとなります。多様な案件を通じて、個々のキャリア目標に応じた経験を積むことができます。

独立系FASではより幅広い業務に携わることができ、特に中堅・中小企業やスタートアップを支援する案件では、クライアントとの密なコミュニケーションを通じて、経営課題の解決に直接的な影響を与えるやりがいを感じられます。案件の規模や内容が多様なため、自分の強みや関心に応じたキャリアを築きやすい環境が整っています。

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公認会計士が活躍できるFASの求人例

【Big4系FAS】ファイナンシャルアドバイザー
●年収:700万~1200万
●業務内容:
・M&A戦略策定支援
・M&A候補先企業の発掘
・M&A実行ストラクチャーの策定支援(デロイトトーマツ内の税理士法人と協働)
・M&Aプロセスにおけるプロジェクト・マネジメント
・M&A候補先企業との交渉支援
・デューディリジェンスの実行支援
・企業価値評価
・M&A実行に必要となる各種契約書の策定支援(弁護士と共同で実施)
・クライアント社内プロセスにおける承認取得支援
・M&A実行後のPMI戦略策定支援
●おすすめポイント:
・M&Aにおける初期検討段階から契約締結に至るまでの幅広いプロセス(案件のソーシング、バリュエーション、契約交渉など)に関与する事ができるため、M&Aの全体像を早期に掴むことができる
・多様な専門性を有する他部門との協業により、M&Aに関する総合的なサービスの提供に係る知見・経験を獲得できる
・ミドルマーケット部門が担当する案件の業種・業態は多岐に渡るため、特定の業界に制限されることなく幅広い領域でM&Aプロフェッショナルとして活躍の機会がある
・国内マーケットのみならず、アジア全体のマーケットにフォーカスしたビジネス展開をしており、海外事務所と連携しつつクロスボーダーのM&Aアドバイザリーにも関与可能
【独立系FAS会社】M&A支援・再生支援
●年収:800万〜1200万円
●業務内容:
M&A関連サービスや事業再生支援等に携わっていただきます。
クライアントは大手監査法人が監査をしているような規模の上場会社やファンドが多く、案件の流入経路は監査法人やファンド経由もありリピーターが多いです。
●おすすめポイント:
FAS経験豊かなメンバーが揃っています。Big4系FAS会社のようにサービスラインごとに縦割りがありません。100%リモートワーク可(オフィスワークの義務無し。希望次第でオフィスワークでもOK)、残業はおおよそ40-60h/ひと月、入社後はメンター制度でしっかりとフォローがあります。

FAS転職が難しい・やめとけと言われる理由

FASへの転職は難しい、やめとけなど、厳しい環境だと言われることがあります。特に、激務やプレッシャーの大きさ、配属領域を選べない難しさ、高い成果を求められる風土などが代表的な理由です。

それぞれ、一つずつ見ていきましょう。

激務・プレッシャーの大きさ

FASは扱う案件そのものが難度の高いものばかりで、クライアントの意思決定に直結する財務分析や助言が求められます。短期間で高精度のアウトプットを出し続ける必要があるため、監査法人よりも業務量が多く、精神的なプレッシャーも大きくなりがちです。特にM&Aの繁忙期には、連日の長時間勤務が続くこともあり、忙しさに耐えられるかどうかが大きな分岐点になります。

配属・案件を選べない場合もある

FASでは、市場動向や案件の急増に応じて人員配置が決まるため、必ずしも希望分野に配属されるわけではありません。財務デューデリジェンスやバリュエーション、事業再生など、どの領域でも専門性が求められる一方で、自分が得意とする領域と異なる案件を担当することもあります。その中で成果を期待されるため、柔軟性とキャッチアップ力が求められる点が「難しい」と言われる理由につながります。

高い成果を求められ続ける環境

FASは成果がはっきりと可視化される業務であるため、入社直後から一定水準以上のパフォーマンスを求められます。クライアントとの折衝、分析の精度、プロジェクトの進行管理など、どれも高いレベルでこなす必要があり、成果が出なければ評価に直結します。特に独立系FASでは成果報酬型の要素も強いため、結果に対するプレッシャーはさらに大きくなる傾向があります。

FASに転職するデメリット

FASに転職するデメリットとしては、一部のプロジェクトでは繁忙期やタイトなスケジュールにより、長時間労働が発生する場合もあります。しかし、近年では、裁量労働制やテレワークの導入などにより、働き方の柔軟性が向上している企業も多く見られます。職種やプロジェクトの種類によっては、比較的ワークライフバランスが取りやすい環境で働けるケースもあります。

また、公認会計士の経験やノウハウだけでは業務を進められないこともあるため、常日頃から情報をインプットしていく姿勢が求められます。業務と並行して知識を身につけていかなければならないため、大変だと感じる方は少なくありません。

ただし、知識や経験は自身のキャリアアップにもつながるため、「集中的に経験を積みたい」「キャリアアップをしたい」という意欲が高い方は、FASに転職する適性が高いといえるでしょう。

FASに向いている人の特徴

FASは高度な財務分析力と実務遂行力が求められるため、向いている人には一定の傾向があります。

まず、短期間で大量の情報を処理し、構造的に整理できるタイプは適性が高いと言えます。責任ある立場で数字を扱いたい若手や女性にもチャンスがあり、将来性の高いキャリアを築ける領域です。

M&Aや事業再生ではスピード感のある意思決定支援が求められるため、限られた時間の中で高精度のアウトプットを出す力が重要です。

次に、クライアントとの対話を通じて状況を深く理解し、的確な助言につなげられるコミュニケーション能力も欠かせません。経営層と直接やり取りする場面も多く、言語化能力や説明力が評価に直結します。

また、専門領域を深掘りしながら継続的にスキルを磨ける人は、FASでの成長スピードが速く、年収の伸びも期待しやすい傾向があります。

FASに向いていない人の特徴

一方で、FASの働き方とミスマッチが生じやすいタイプも存在します。

まず、変化の激しい環境が苦手で、状況に合わせて柔軟に動けない人は、案件の進行スピードについていけずストレスを感じやすい傾向があります。

また、明確な答えのない状況に対して自ら仮説を立てて検証するプロセスに不安を覚えるタイプは、業務の特性上、負荷が大きくなりやすいです。

さらに、長時間の集中作業や繁忙期の業務量に抵抗がある場合、継続して成果を出すことに難しさを感じる可能性があります。

FASは成果に対する期待値が高いため、環境に合わせて学び続ける覚悟がないと、適応が難しくなる場面が出てきます。

FAS転職で求められるスキル・資格

FASへ転職をする際には、以下のようなスキルや資格があると、有利に進めることができます。

  • 公認会計士・USCPA・税理士などの資格
  • 会計・財務に関する実務経験
  • 英語力・プレゼン力などのビジネススキル

それぞれ、一つずつ見ていきましょう。

公認会計士・USCPA・税理士などの資格

FASの領域では、公認会計士やUSCPAといった専門資格が強い評価につながります。財務諸表の理解や監査で培った分析力は、M&Aの財務デューデリジェンスやバリュエーションにおいて即戦力として期待されるため、選考でも明確にアドバンテージになります。

特にUSCPA(米国公認会計士)やIFRS対応の経験、経理・経営企画・内部監査など事業会社での実務経験が評価されます。

また、税務ストラクチャリングや企業再編を扱う場面では、税理士資格が有利に働くこともあります。特定の資格が必須ではないものの、資格が担保する専門性は選考過程で大きく評価されます。

会計・財務に関する実務経験

FASでは、会計・財務の実務経験がそのまま職務に直結します。監査法人での監査経験はもちろん、決算業務や管理会計の経験も評価されやすく、財務データの構造を理解して分析に落とし込める力は必須のスキルです。特に財務デューデリジェンスでは、短期間で企業の実態を把握し、リスクを見抜く力が求められるため、監査経験者が強く評価されます。また、事業再生やフォレンジックの領域では、企業の状況を多面的に理解する視点が必要となり、過去の経験が業務の精度に大きく影響します。

英語力・プレゼン力などのビジネススキル

FASでは、財務分析だけでなくクライアントとのコミュニケーションが重要な役割を占めます。海外案件に関わる機会があるため、英語力は業務の幅を広げるうえで大きな武器になります。また、分析結果をわかりやすく説明するプレゼンテーション能力や、クライアントの意図を正確に汲み取る対話力も欠かせません。特に経営層に対して論理的に説明し、意思決定を支援する場面が多いため、ビジネススキルの成熟度が成果に直結します。

未経験からFASへの転職難易度

FAS未経験の公認会計士でも、FASへの転職は十分可能です。公認会計士としての資格や監査業務で培った経験は、FAS業界で求められる財務デューデリジェンスやバリュエーションといった業務に即戦力として活かすことができます。そのため、特にBIG4系FASでは、公認会計士の採用ニーズが高い領域が多く、未経験から転職するケースも多く見られます。

また、FA(Financial Advisory)やストラテジー部門など、M&Aの企画・交渉に関わる部門で活躍する公認会計士も増えています。これらの部門では、財務的な専門知識だけでなく、クライアントの課題を深く理解し、戦略的な提案を行うスキルが求められますが、ポテンシャル採用の枠が用意されている場合もあります。

一方で、独立系FASでも公認会計士を積極的に採用しており、中堅・中小企業やスタートアップの支援を通じて、実践的なスキルを身につけることが可能です。

転職活動を進める際には、自分のスキルや経験を適切にアピールすることが重要です。不安がある方は、FASや公認会計士の転職支援に特化したエージェントを活用することで、自分に合ったキャリアパスを見つける手助けが得られるでしょう。詳しくは、弊社のエージェントにご相談ください。

FASに転職した際のキャリアパス

FASに転職したあとは、キャリアを積み上げていくために段階的な役職が用意されています。主なキャリアパスとしては4つ挙げられます。

  • コンサルタント/シニアコンサルタント
  • マネージャー
  • シニアマネージャー
  • パートナー・ディレクター

ここでは、FAS業界での代表的なキャリアパスについて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

コンサルタント/シニアコンサルタント

転職後は、コンサルタントとしてスタートすることが一般的です。この段階ではデータ分析やリサーチ、財務モデリングなどの基礎業務に従事し、FAS業務の基本を習得します。

一定の経験を積むと、シニアコンサルタントに昇格します。この段階では、プロジェクトの一部を担当し、クライアントとのやり取りやアドバイスの提供を行うことが多いです。

また、自身のスキルと知識を生かし、財務デューデリジェンスや企業価値評価などの専門的な業務を遂行していきます。

マネージャー

コンサルタントとしての経験を重ねると、マネージャーへと昇格します。マネージャーは、複数のプロジェクトを管理し、クライアントに対する主要な窓口として業務をリードするため、責任感が問われる役職です。

また、クライアントとの信頼関係を構築し、業績向上に寄与できることが求められます。

シニアマネージャー

マネージャーとしての業績を認められると、シニアマネージャーに昇格します。シニアマネージャーはより大規模かつ複雑なプロジェクトを担当し、クライアントにとっての主要なアドバイザーとして活躍します。

また、チームメンバーの育成やコーチングにも重点を置き、組織全体の業績向上に貢献するポジションです。

パートナー・ディレクター

キャリアの頂点として、パートナーやディレクターが挙げられます。パートナーはファーム全体の戦略的決定やビジネス開発、クライアント獲得などの経営的な役割を担います。

一方、ディレクターは特定の領域での専門知識を生かして企業全体の成長戦略を策定し、実行をリードするのが特徴です。双方の役職ともに高度な経営力やリーダーシップ、クライアントとの深い信頼関係が必要不可欠です。

FASへの転職を失敗・後悔しないためのポイント

FASへの転職を成功させるためには、以下の3つを事前に準備しておくことをおすすめします。

  • キャリアの目標を明確にする
  • 転職先の特徴をきちんと確認する
  • 公認会計士の転職に特化したエージェントに依頼する

ここでは、転職で失敗や後悔をしないために押さえておくべきポイントを紹介します。

キャリアの目標を明確にする

FAS業界は多岐にわたる業務内容があるため、自分のキャリアの目標を明確にすることが大切です。M&Aや事業再生、財務デューデリジェンスなど、どの分野に特化したいのかを見定めることで、転職後のキャリアパスがはっきりします。

転職を決める前に自分がどのようなスキルを身につけ、将来的にどのポジションを目指すのかを考えることが成功への第一歩です。

転職先の特徴をきちんと確認する

FASを提供する企業には、それぞれに異なる強みや文化、業務内容があります。転職先の特徴や企業文化を事前にリサーチし、自分の働き方や価値観と一致しているかを確認することが重要です。

たとえば、プロジェクトの規模やクライアントの種類、勤務形態などを見極めることで入社後のギャップを減らすことにつながります。

公認会計士の転職に特化したエージェントに依頼する

FAS業界への転職は専門的な知識や経験が求められるため、公認会計士の転職に特化したエージェントに相談することをおすすめします。転職エージェントは業界の最新情報や企業の詳細な情報を持っており、履歴書や職務経歴書の作成から面接対策までの手厚いサポートを提供してくれます。

その結果、自分に合った求人を見つけやすくなり、転職活動を効率的に進めることが可能です。

FASへの転職ならVRPパートナーズにお任せください

公認会計士からFASへの転職を考えているなら、VRPパートナーズにお任せください。VRPパートナーズは、公認会計士や税理士、アクチュアリーなど、専門職に特化したエグゼクティブサーチを行っています。

FASや事業会社の経営企画など、特化型の非公開求人を多数保有しており、ご登録から内定までの面談サポートはすべて無料です。正社員の中途採用やエグゼクティブ層の比較相談も可能です。

FAS業界は専門知識と高い分析力が求められる分野ですが、VRPパートナーズでは転職者の経験やスキルを最大限に生かした最適なキャリアパスを提案します。

経験豊富なコンサルタントが、FAS業界の最新動向や各企業の特色を踏まえた情報を提供し、面接対策や交渉も含めたきめ細やかな支援を行っているため、FASへの転職を成功させて次のキャリアステージへと進みたいと考えている場合は、ぜひVRPパートナーズをご検討ください。

FASへの転職成功事例

ここでは、実際に弊社VRPパートナーズが支援し、FASへの転職を成功させた方の事例を紹介いたします。

監査法人からFASに転職した事例

転職前

  • 勤務先:大手監査法人
  • 職種:監査部門、職位:シニア
  • 年収:900万円

転職後

  • 勤務先:Big4系FAS会社
  • 職種:ミドルマーケット部門(バリュエーション)
  • 年収:950万円

監査経験を活かしてFAS業界への転職を考えた事例です。この方は、先輩が独立系FAS会社に転職されたことに影響を受け、中小のFAS会社で幅広い経験を積みたいという希望をお持ちでした。

弊社では独立系FAS会社を複数ご紹介する一方で、Big4系FAS会社のミドルマーケット向け部門であれば、サービスラインをまたいで幅広い経験を積むことができる可能性があると提案しました。その結果、独立系FASとBig4系FASの双方を並行して選考を進め、最終的にFAS業界未経験での飛び込みリスクが少なく、専門性を身につけながら経験を積めるBig4系FAS会社への転職を決断されました。

大手監査法人からFASに転職した事例

転職前

  • 勤務先:準大手監査法人
  • 職種:スタッフ
  • 年収:650万円

転職後

  • 勤務先:Big4系FAS会社
  • 職種:財務アドバイザリー(FA):コンサルタント
  • 年収:700万円

大学在籍中にUSCPAに合格し、準大手監査法人で2年間の監査経験とインチャージを経験した20代半ばの男性の事例です。学生時代からM&A業界でのキャリアを目指していたため、転職を検討する際にはFASへの転職が第一の選択肢となっていました。

転職に向けて、USCPAの資格を活かしながら経験を積む方針を明確にしつつ、さらなるスキルアップのためにCFA(証券アナリスト)の勉強も並行して行っていました。監査経験の中で財務DD(デューデリジェンス)やバリュエーション業務に興味を持ち、クライアントの利益を最大化する支援に携わりたいという思いを強く持つようになりました。

最終的に、Big4系FAS会社での財務アドバイザリー部門への転職が実現。お客様の利益を100%守る働き方に魅力を感じ、希望通りのキャリアステップを実現した成功例です。

まとめ

FAS(Financial Advisory Services)への転職は、監査経験を持つ方にとってスキルを生かしながら新たなキャリアを築く絶好の機会です。M&Aの増加や経済のグローバル化に伴い、FASの市場は成長を続けており、さまざまな企業が会計や財務の専門知識を持った人材を求めています。

特に、財務デューデリジェンスや企業価値評価、M&Aアドバイザリーといった業務は、会計士としての経験を生かしながらも、さらに高度なスキルを身につける場として魅力的です。

FASに転職する際には、業界の特性や各ファームの違いを理解し、自分のキャリアゴールに合わせた選択をすることが重要です。VRPパートナーズでは、一人ひとりに合った転職サポートを提供しているので、「FASへの転職を確実なものにしたい」「初めての転職活動で不安」などを思っている場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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