監査法人を辞めたい……と感じる理由
監査法人で働くなかで「このままでいいのだろうか」「辞めたい」と感じたことのある方は、決して少数派ではありません。特に20代〜30代の若手会計士の間では、業務負荷の高さやキャリアへの不安、人間関係のストレスなど、さまざまな理由から転職を考える声が増えています。ここでは、実際に多くの会計士が抱える代表的な悩みを紹介します。
繁忙期の激務に疲弊した
監査法人で働くうえで避けて通れないのが、年末から春先にかけての繁忙期です。この時期は深夜残業や休日出勤が当たり前になり、心身ともに疲弊する人が少なくありません。特に若手のうちは担当業務が多く、プレッシャーも大きいため、体力的にも精神的にも限界を感じてしまうことがあります。「これがあと何年も続くのか」と考えると、自然と転職を意識してしまうのは無理もないでしょう。
単調な業務に将来性を感じられない
監査業務は決して楽な仕事ではありませんが、その一方でルーティン化しやすく、創造性を発揮する場面は限られています。同じような手続きを繰り返す毎日にやりがいや成長の実感を持てず、「このまま同じことを繰り返していていいのだろうか」という不安を感じることもあるでしょう。特に成長意欲の高い若手にとっては、物足りなさを感じやすい環境です。
明確なキャリアパスが見えない
公認会計士としてのスタート地点として監査法人に入社したものの、その後のキャリアが漠然としていて不安を抱える方は少なくありません。パートナーを目指すにも長い道のりが必要であり、途中で自分に合わないと感じても異動の自由度が高くないケースもあります。また、監査経験を活かして別の分野にチャレンジしたいと思っても、社内での選択肢は限られているのが現実です。
出世競争に疲れてしまった
大手監査法人では、昇格のタイミングが明確に設定されており、年次ごとの評価や成果が昇進に直結します。しかし、それがかえって過度な競争を生み、プレッシャーやストレスにつながることもあります。周囲との比較や評価に一喜一憂し、「本来の仕事に集中できない」「もっと穏やかな環境で働きたい」と考えるようになった方も多いのではないでしょうか。
人間関係や法人のカルチャーが合わない
職場の人間関係は、仕事の満足度を大きく左右します。上司との相性やチーム内の空気感、組織としての価値観などが自分に合わないと感じたとき、それは長期的なキャリア形成において大きな障害となります。監査法人はクライアントワークが中心であり、緊張感のある現場が続くなかで、些細な人間関係のズレが大きなストレスに発展することも珍しくありません。「ここでは自分らしく働けない」と感じるようになったとき、転職は現実的な選択肢のひとつとなるのです。
監査法人を辞めたいと思ったときにやるべき準備

「辞めたい」という気持ちが芽生えたとき、衝動的に行動するのではなく、冷静に準備を進めることが大切です。キャリアの方向性を誤らないためにも、現職で得た経験やスキルを正しく把握し、自分に合った選択肢を見つけるステップを踏んでいきましょう。
今までの経験とスキルを棚卸しする
まず取り組みたいのが、これまでの業務経験や培ってきたスキルの棚卸しです。担当してきたクライアントの業種や業務内容、会計・税務の知識、マネジメント経験などを整理することで、自分が何を強みとして転職市場でアピールできるのかが見えてきます。特に監査業務は専門性が高いため、職務経歴書に具体的な業務内容を記載できるよう、言語化することが重要です。
自分のキャリアビジョンを明確にする
次に必要なのは、今後のキャリアで何を重視したいのかをはっきりさせることです。たとえば、「専門性を活かしてコンサルに進みたい」「ワークライフバランスを重視したい」「経営に近いポジションで意思決定に関わりたい」など、人それぞれのビジョンがあります。辞めること自体が目的になってしまうと、また同じ悩みを抱える結果にもなりかねません。どんな働き方や価値観を大切にしたいのか、自分なりの軸を見つけることが、納得のいくキャリア選択につながります。
辞める適切なタイミングを見極める
退職のタイミングは、転職活動の成否にも大きく影響します。監査法人の場合、繁忙期を避けた退職が一般的であり、引き継ぎやチームへの影響も考慮する必要があります。また、事業会社やFASなどへの転職を希望する場合、それぞれの業界における採用の活発な時期も把握しておくとよいでしょう。経済状況や業界の動向も踏まえつつ、余裕を持って転職活動を進められる時期を見極めましょう。
転職市場での自分の立ち位置を確認する
同じ監査法人に長く在籍していると、自分の市場価値を客観的に把握する機会が少ないかもしれません。まずは求人情報をチェックしたり、転職サイトに登録してスカウト状況を見たりすることで、自分のスキルがどのようなポジションで評価されるのかを知ることができます。また、業界未経験のポジションに挑戦したい場合は、どのような経験が求められているかを確認し、足りない部分があれば補っておくことも有効です。
信頼できるエージェントに相談する
一人での情報収集には限界があります。特に公認会計士の転職は、専門性が高いため、業界理解に長けた転職エージェントの存在が非常に重要です。監査業務からFAS(Financial Advisory Services)や事業会社への転職、コンサルティングファームへのキャリアチェンジなど、希望に沿った選択肢を的確に提案してくれるエージェントに相談することで、視野が広がります。VRPパートナーズのように会計士に特化したエージェントであれば、職務経歴書の添削や面接対策もきめ細やかにサポートしてくれます。
監査法人以外の転職先
監査法人を辞めたいと考えたとき、次のキャリアとしてどのような選択肢があるのかを知っておくことは非常に重要です。公認会計士の資格や経験は、監査業務以外にも幅広く活かせる場があります。ここでは、監査法人からの転職先として多く選ばれている代表的な進路をご紹介します。
コンサルティングファーム
公認会計士の転職先として人気が高いのが、コンサルティングファームです。なかでも業務改善やM&A支援、ガバナンス強化などの領域では、会計知識や監査経験が高く評価されます。特に、BIG4のアドバイザリー部門や総合系コンサルティングファームでは、クライアント企業の経営課題に対して実践的な提案を行う場面が多く、会計士としての専門性に加えて、論理的思考力やコミュニケーション力も求められます。
FAS
FASは、監査経験をダイレクトに活かしやすいフィールドです。財務デューデリジェンス(DD)やバリュエーション(企業価値評価)といったM&A関連業務では、数字を正確に読み解く力が求められ、監査で鍛えた分析力が高く評価されます。また、PMI(買収後の統合支援)や財務アドバイザリー(FA)、さらには不正調査を行うフォレンジック領域でも会計士が活躍しており、FAS業界全体で採用ニーズは安定しています。
独立系FASにおいては、業務の分業が少ないぶん、M&Aプロセス全体に関わる機会が多く、手を動かしながら幅広いスキルを身につけたい方に向いています。反対に、大手FASでは業務が細分化されているものの、研修やグループ内異動制度なども整っており、未経験でも挑戦しやすい環境が整っています。
税理士法人・会計事務所
税務領域に関心がある方は、税理士法人や会計事務所も転職先として有力です。監査法人で培った会計知識をベースに、申告書作成や税務相談、組織再編などの業務に携わることができます。特に、税理士試験の科目合格者やダブルライセンスを目指す会計士にとっては、実務経験を積む良い機会となるでしょう。
また、最近では相続・事業承継や国際税務など、専門的な領域に対応する事務所も増えており、自分の志向に合った分野に特化してキャリアを築くことも可能です。ただし、監査業務とは異なる業務特性があるため、転職前に仕事内容をしっかり理解しておくことが大切です。
事業会社
監査法人を離れ、事業会社で「中の人」として働くことを希望する会計士も少なくありません。経理・財務部門への転職が一般的ですが、それ以外にも、経営企画や内部監査、IPO準備、IR、管理会計など、企業の中核を担うポジションで活躍する道があります。特に、上場準備企業やベンチャー企業では、公認会計士の専門性を求めるケースが多く、意思決定への関与度も高い傾向があります。
また、ワークライフバランスやライフイベントを考慮して、より安定した環境を求めて事業会社への転職を選ぶ方も多いです。働き方やキャリアの選択肢が多様化している今、会計士が事業会社で長く活躍するケースも増えています。
監査法人を辞めた人の転職事例

「監査法人を辞めたい」と思ったとき、気になるのは実際に転職を成功させた人たちの事例です。
ここでは、同じような悩みを持ち、次のキャリアに進んだ会計士たちの転職パターンをご紹介します。
大手監査法人から財務会計アドバイザリー会社へ
20代後半の男性会計士は、大手監査法人でシニアスタッフとして勤務していました。年収は850万円と高水準でしたが、監査業務を通じてクライアントから業務改善の相談を受けることが多く、もっと踏み込んだ支援ができればという想いが強まっていきました。一方で、監査という立場上、クライアントへの助言が制限される場面もあり、もどかしさを感じていたといいます。
また、ご家庭の事情からワークライフバランスを重視した働き方を希望しており、業務時間の面でも改善を求めていました。そうした希望を踏まえ、数社の求人を比較検討したうえで、財務会計アドバイザリー会社への転職を決意。コンサルタント職として新たなキャリアをスタートさせました。
結果として、年収は800万円とわずかに下がったものの、残業時間が大幅に削減され、自由度の高い働き方を実現。待遇の実質的な改善と、クライアントに深く関わるやりがいのある仕事の両立が叶った好例といえるでしょう。
監査法人からFAS業界へ
20代後半の男性会計士は、大手監査法人の監査部門でシニア職として勤務していました。年収は900万円と高い水準でしたが、これまでの監査経験を活かしながら、より幅広い業務に携わりたいという希望からFAS業界への転職を検討し始めました。
当初は、先に独立系FAS会社へ転職した先輩会計士の影響もあり、中小規模のFAS会社で経験を積みたいという思いがありましたが、複数のFAS会社を比較検討していくなかで、Big4系FAS会社にも興味を持つように。特に、ミドルマーケット向けにサービスを提供する部門であれば、幅広い業務領域に関わることができ、業務の中で専門性も深められる点に魅力を感じました。
結果として、未経験からのFAS業界挑戦ではありましたが、バリュエーション業務を中心とするミドルマーケット部門でのポジションを獲得。年収も950万円にアップし、待遇面でも満足のいく転職となりました。独立系・大手の双方を見極めたうえで、自分の希望に最も合った環境を選んだ好例です。
監査法人を辞めたいと思ったら、まずはVRPパートナーズへ
「監査法人を辞めたい」と感じたとき、焦って行動する前にまずは信頼できる専門家に相談してみることが、納得のいくキャリアチェンジへの第一歩です。VRPパートナーズは、公認会計士の転職に特化したエージェントとして、監査業務に携わる方々の悩みや不安に寄り添った支援を行っています。
FAS(Financial Advisory Services)業界への転職支援をはじめ、コンサルティングファームや事業会社、税理士法人などへのキャリアチェンジにも豊富な実績があります。監査法人特有の悩みや、会計士としての強みを理解している担当者が在籍しているため、「何から始めればいいか分からない」という方でも安心してご相談いただけます。
履歴書や職務経歴書の添削はもちろん、面接対策や企業ごとの選考傾向のアドバイスまで、一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。無理に転職を勧めるのではなく、将来的なキャリアの選択肢を整理するための情報提供や壁打ち相手としてもご利用いただけます。
もし今、「このままでいいのか」と感じているなら、まずは一度、VRPパートナーズに相談してみませんか? あなたの可能性を広げる出会いが、そこにあるかもしれません。
まとめ
監査法人で働く中で感じる「辞めたい」という気持ちは、多くの会計士が一度は経験するものです。繁忙期の激務、将来への不安、人間関係の悩み……その背景には、真剣にキャリアを考えるからこそ生まれる葛藤があります。
一方で、公認会計士の専門性は、監査法人の外でもさまざまな形で活かすことができます。コンサルティングファーム、FAS、事業会社、税理士法人など、転職先の選択肢は決して一つではありません。
今の環境に疑問を感じたら、それは新しいキャリアの一歩を踏み出すサインかもしれません。後悔しない選択をするためにも、自分の経験や希望を見つめ直し、信頼できるパートナーと一緒に次のステージを考えてみてはいかがでしょうか。
VRPパートナーズでは、あなたのキャリアに本気で向き合い、最適な選択肢をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。あなたの一歩を、私たちが全力で支援します。