監査法人とは
監査法人とは、公認会計士が複数名集まり法人化した組織で、企業や団体の財務諸表を監査することを主な業務としています。上場企業や大会社などでは、法令により財務諸表監査が義務付けられており、その役割を担うのが監査法人です。日本では「Big4」と呼ばれる世界的な大手監査法人のほか、準大手・中小の監査法人が存在し、それぞれ規模や特徴が異なります。
監査法人は単に数字をチェックするだけでなく、企業の健全な経営を支える重要な役割を果たしています。公認会計士にとっては、会計・監査の専門性を磨くだけでなく、企業の成長や社会の信頼性向上に貢献できる場でもあります。
公認会計士ができる監査法人の業務内容
監査法人での仕事は、監査業務を中心としつつも、近年はコンサルティングやアドバイザリー業務にも広がっています。ここでは代表的な2つの業務について解説します。
監査業務
監査法人の中心業務は、企業が作成した財務諸表の信頼性を保証する「監査業務」です。会計基準に沿って正しく作成されているかを確認し、投資家や金融機関、取引先に安心を与える役割を担います。特に上場企業では、監査法人による外部監査が必須であり、公認会計士は社会的責任の大きな仕事を担っているといえます。
監査では、財務諸表や内部統制のチェックだけでなく、クライアントの経営状況やリスクを把握しながら業務を進めるため、幅広い知識と分析力が求められます。若手のうちから大手企業に関与できる点は、監査法人で働く大きな魅力です。
コンサル業務
監査法人は近年、コンサルティングやアドバイザリー業務にも力を入れています。たとえば、M&Aに伴う財務デューデリジェンス、IPO支援、IFRS導入、内部統制構築、事業再生支援など、監査以外の分野で会計士が活躍できる場は広がっています。
こうした業務は、従来の監査で培った会計・財務の知識を応用できるだけでなく、企業の戦略や経営改善に直接関わることができる点が特徴です。そのため、将来的にコンサルティングファームや事業会社へキャリアチェンジを目指す場合にも大きな経験となります。
監査法人の求人
【大手監査法人】会計コンサルタント ●年収:700万~1,000万 ●業務内容: クライアント企業のCFO機能の高度化に向けて、会計の専門性を活かし、以下領域のコンサルティングに従事いただきます。 ・IFRS・USGAAP等の会計基準適用支援 ・経理業務の効率化・高度化支援 ・内部統制・内部監査の高度化支援 ・M&A後の会計基準・経理業務等の統合支援 ●おすすめポイント クライアントのCFO機能の高度化に向け、戦略系・BPR系・パフォーマンス系の分野で、 全体構想から業務要件の整理にかかる上流のサービス提供をしています。 クライアントは、大手・グローバル企業~中堅企業をターゲットとして、様々な領域のコンサルティングに従事いただきます。 |
【大手監査法人】リスクコンサルタント ●年収:700万~1,000万 ●業務内容: ・有事対応後の再発防止支援 ・データ・AIを活用したリスク予兆管理およびモニタリング ・リスクマネジメント ・コンプライアンスに関連するリスクマネジメント ・ESG(気候変動、人権など)及び地政学等に関連するリスクマネジメント ・内部統制(J-SOX、US-SOX、IT監査)対応 ・デジタル技術を活用した最適な内部統制・モニタリングの構築支援 ・財務経理・税務・法務・コンプライアンスに対する内部監査(IT監査含む) ・内部監査の品質評価対応 ・子会社あるいは海外事業管理を含めた経理ガバナンス ●おすすめポイント 不正対応、内部統制構築、リスク対応などの専門知識を活かし、企業のガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)領域の強化を支援しています。 これにより、企業のインテグリティを高め、AI時代の進化など環境の変化に対応した持続可能な経営基盤を構築するための総合的なサービスを提供しています。 さらに、得意とするこれらの知見を活用し、会計監査における不正リスク対応の体制強化にも深く貢献しています。 |
【大手監査法人】フォレンジック(不正調査、危機対策支援) ●年収:700万~1,000万 ●業務内容: ・コンプライアンスリスク対応支援:グローバルコンプライアンス態勢構築、贈収賄リスク対応支援、競争法リスク対応支援 ・不正対応支援:不正リスク評価支援、モニタリング/改善対応支援 ・不正調査:会計不正、品質偽装等の各種調査委員会等の支援 不正調査の対象は、会計不正、資産の不正流用、情報漏洩など、多岐に渡ります。 調査の手法としては、証憑書類の調査、関係者へのインタビュー、関係者が送受信したメールのレビュー、構成員向けアンケートなどがあります。 ●おすすめポイント: ・過去数年間の成長率は業界トップクラスで今後も高い成長率が期待されている領域である一方、この領域の専門家が少ない事から同分野での第一人者になれる可能性があります。 ・会計監査、経理・財務、法務・コンプライアンス、内部監査など多様なバックグランドの人材がおり、国籍や性別も多様です。 ・クロスボーダーの案件が多く、グローバルに活躍できるフィールドがあります。 |
監査法人で働く魅力

監査法人は、公認会計士が専門性を発揮できる代表的な活躍の場です。その魅力は、安定した雇用や高収入といった待遇面だけでなく、社会的意義やキャリア形成の面にもあります。ここでは、監査法人で働く主な魅力を紹介します。
社会的に意義の高い仕事ができる
監査法人の仕事は、企業の財務情報が正しく開示されているかを確認することです。これは投資家や取引先など多くのステークホルダーの信頼を支えるものであり、社会的に非常に意義の高い業務といえます。会計士として働くことで、経済活動の透明性や健全性を守る役割を担うことができます。
若手でも第一線で活躍できる
監査法人では、新人や若手であっても大企業の監査に参加する機会があります。配属されるチームの一員として、早い段階からクライアントの財務資料に直接触れ、実務経験を積めるのが特徴です。責任ある仕事を通じて短期間で成長できる環境が整っています。
不況に強く将来性がある
監査は法律で義務付けられている業務であるため、景気の影響を受けにくいという強みがあります。企業の経営環境が厳しい状況でも監査のニーズはなくならないため、安定的に仕事を続けやすいのが大きな魅力です。将来にわたって需要が見込まれる職業として安心感があります。
男女平等に働ける環境がある
監査法人は能力や成果が評価される環境であり、性別に関わらず平等にキャリアを築くことができます。近年では産休・育休制度や在宅勤務制度も整備され、ライフイベントに合わせた柔軟な働き方が可能になっています。女性の会計士も管理職やパートナーとして活躍しており、長期的なキャリアを築きやすい環境です。
高収入で安定した雇用がある
監査法人は会計士にとって高い収入水準を誇る職場です。特にBig4など大手監査法人では、若手のうちから年収500万〜700万円程度が見込め、経験を積むことで1,000万円以上の水準に到達することも可能です。安定した給与と充実した福利厚生により、安心して働ける点も大きな魅力です。
監査法人の年収
監査法人は、公認会計士にとって安定した収入を得られる職場です。ただし法人の規模や役職によって年収水準には差があります。ここでは、Big4監査法人と準大手・中小監査法人の年収イメージを紹介します。
Big4監査法人の年収
Big4監査法人に入所した場合、1年目から比較的高い年収を得ることができます。入所1年目~3・4年目ほどのスタッフ(アソシエイト)の年収は、残業代を含めておよそ年収500万〜700万円程度が一般的です。その後、入所4年目~8年目ほどでシニアに昇格すると、年収は700万〜900万円程度に上がります。
さらにマネージャークラスになると1,000万円前後に達し、シニアマネージャーやパートナーへとキャリアを進めれば、年収数千万円に到達するケースもあります。特にBig4は案件規模が大きく、成果や専門性次第で昇進スピードも早まることがあるため、高収入を目指しやすい環境といえるでしょう。
準大手~中小監査法人の年収
準大手や中小の監査法人の年収は、Big4に比べると若干低い傾向があります。スタッフクラスで 500万円~600万円程度、シニアクラスで 800万円~900万円程度 が一般的です。
ただし、少人数のチームで幅広い業務を任される機会が多いため、若手のうちから実務の裁量を持てる点は魅力です。また、Big4に比べて残業時間が少なくワークライフバランスを取りやすい法人も多いため、「収入よりも働きやすさを重視したい」という方にとっては十分に魅力的な環境です。
監査法人で働く公認会計士の働き方

監査法人は、法律で定められた業務を担うため、特有の働き方やスケジュール感があります。ここでは、繁忙期の時期や日々の働き方、リモートワークの可否について解説します。
監査法人の繁忙期は?
監査法人における最大の繁忙期は、3月決算企業の監査が集中する 4月〜6月頃 です。この時期は連日長時間勤務となることが多く、残業や休日出勤も珍しくありません。また、12月決算や9月決算などの企業も存在するため、年に数回、規模の大小はあれど繁忙期が訪れます。逆に夏以降は比較的落ち着く傾向があり、有給休暇を取得しやすい時期といえます。
監査法人で働く公認会計士のスケジュールは?
公認会計士の1日は、クライアント企業の決算スケジュールや監査チームの進行状況によって左右されます。通常は午前中にチーム内の打ち合わせを行い、その後は会計資料の確認や内部統制のテストを実施。午後はクライアントへの質問対応や監査調書の作成にあてることが多いです。繁忙期には夜遅くまで作業が続くこともありますが、チームで役割分担をしながら効率的に進めていきます。若手でも早期から実務を任されるため、実践的に成長できる環境です。
監査法人ではリモートワークは可能?
近年、監査法人でもリモートワークは広がりつつあります。クライアント先での実地監査が必要な場合を除き、資料確認や調書作成などは自宅から対応可能です。特にBig4を中心にテレワーク環境が整備され、柔軟な働き方を選べるケースが増えています。ただし、繁忙期やチームでの連携が重要な場面では出社を求められることもあるため、完全リモートというよりは「必要に応じて出社」となるのが一般的です。
公認会計士の転職ならVRPパートナーズへ
監査法人は、公認会計士として専門性を磨き、キャリアを築くうえで代表的な選択肢のひとつです。しかし「Big4と準大手ではどちらが良いのか」「監査法人から事業会社やコンサルに転職できるのか」など、キャリアの方向性に悩む方も少なくありません。
VRPパートナーズは、公認会計士に特化した転職エージェントとして、多くの会計士のキャリア形成を支援してきました。監査法人をはじめ、FAS(Financial Advisory Services)、コンサルティングファーム、事業会社など、幅広い選択肢から最適なキャリアパスを提案できます。履歴書や職務経歴書の添削、面接対策、非公開求人の紹介など、会計士のキャリアを理解した専門的なサポートが受けられるのも大きな強みです。
「監査法人で経験を積みたい」「監査法人から新しいフィールドへ挑戦したい」と考えている方は、ぜひVRPパートナーズにご相談ください。
まとめ
監査法人は、公認会計士が社会的意義の高い仕事に携わりながら、安定した収入と幅広いキャリアの可能性を得られる場です。監査業務に加えてコンサルティングやアドバイザリー業務にも関わることができ、若手のうちから成長できる環境が整っています。
一方で、法人の規模や社風によって得られる経験や年収には違いがあるため、自分のキャリアプランやライフスタイルに合わせて選択することが重要です。
今後のキャリアに迷ったときは、公認会計士の転職支援に強みを持つVRPパートナーズに相談することで、自分に最適な道を見つけやすくなります。監査法人でのキャリアをスタートさせたい方も、新たなステージに進みたい方も、ぜひ一度専門家に相談してみてください。