公認会計士にとってのファンド転職の魅力とは
公認会計士としての専門性を活かしながら、経営や投資に深く関わりたいと考える方にとって、ファンド業界は魅力的な選択肢です。ここでは、会計士がファンドに関心を寄せる理由を三つの観点から紹介します。
財務・会計の専門知識が投資判断に活かせる
公認会計士として身につけた会計・財務の知識は、企業の価値を見極めるという意味で、ファンド業務においても重要な基盤となります。特に、FASや投資銀行などで財務デューデリジェンスやバリュエーションに関わった経験がある場合、その専門性はファンドにおける投資判断やモニタリング業務で活かされやすいといえます。監査法人の経験だけでは直接的な投資判断には届きにくいものの、その基礎力が評価され、関連分野を経由することで活躍の場が広がります。
将来のキャリアの幅が広がる
ファンド業界での経験は、単なる転職先としての魅力にとどまらず、その後のキャリアにも大きな広がりをもたらします。たとえば、ファンドでの投資先支援やPMIに関与した実績は、事業会社への転職時に大きな武器となります。特に経営企画やCFO候補としての需要が高く、ファンド経験者を高く評価する企業は少なくありません。監査・会計からよりビジネスサイドへと軸足を移す第一歩として、ファンド業界は魅力的なステージです。
経営や投資に深く関われる
ファンドの業務では、単に数字を扱うだけでなく、投資先企業の経営課題に踏み込み、実際に企業価値を高めるための施策に関与します。FASや投資銀行を経由してファンド業界へ進む場合、そうした“経営に携わる立場”での経験を積むことができる点も、公認会計士にとっての大きな魅力です。机上の分析にとどまらず、経営層と直接対話しながら変革を推進していくダイナミズムは、監査業務では得がたい成長機会となるでしょう。
ファンド業界の種類と会計士が活躍できるフィールド
一口に「ファンド」といっても、その種類や投資対象、業務内容は多岐にわたります。中でも公認会計士が活躍できるフィールドとして代表的なのが、PE(プライベート・エクイティ)ファンドとVC(ベンチャーキャピタル)ファンドです。それぞれに求められるスキルや関与の仕方に違いがありますが、会計・財務の専門性が評価される場面が多くあります。ここでは、2つの代表的なファンドタイプと公認会計士の関わり方について解説します。
PEファンド
PEファンドは、未上場企業を中心に株式を取得し、経営に深く関与しながら企業価値を高め、一定期間後に売却して利益を得ることを目的としたファンドです。投資先企業の選定、財務デューデリジェンス、PMI(買収後の統合)など、会計士の知識と経験が活きる業務が多く存在します。特に、FASや投資銀行を経てPEファンドに転職するケースでは、M&A実務や企業分析に関する経験が即戦力として評価されやすくなります。
また、PEファンドでは投資先の経営陣との折衝や改善施策の立案・実行にも携わるため、財務面にとどまらずビジネス全体を見通す力が求められます。監査法人での経験のみでは十分とは言えませんが、FASや投資銀行で実績を積むことで転職の可能性が広がります。
VCファンド
VCファンドは、主に成長段階にあるスタートアップ企業に対して出資を行い、企業の成長とともに株式の価値を高めることを狙うファンドです。会計士がVCファンドで活躍する場面としては、財務状況の評価、資本政策の設計支援、IPOに向けた体制整備支援などがあります。
VCもPE同様少数精鋭で、スタートアップの不確実性やスピード感に対応する柔軟性が求められます。会計士としての安定したファクトベースの分析力に加え、ベンチャー経営に対する理解や熱意も重要視されるため、VCにフィットするかどうかは個々の志向にも左右されます。ただし、IPO支援や資本政策などの経験があれば、VCファンドでの活躍の場も十分に存在します。
FASや投資銀行を経てファンドに転職するルートも
ファンド業界を目指す公認会計士にとって、最も現実的で実績の多いルートが、FAS(Financial Advisory Services)や投資銀行を経由するキャリアパスです。監査法人での経験のみではファンドが求める即戦力にはなりにくいため、まずはM&Aや財務分析、企業評価といった領域における実務経験を積み、その後ファンドへステップアップする方法が一般的です。
FASでは、財務デューデリジェンス(DD)やバリュエーション、事業再生支援など、ファンド業務に直結するスキルを多面的に磨くことが可能です。また、投資銀行では、企業のM&A支援や資金調達業務を通じて、案件推進力や交渉力といった実務能力が養われます。これらの経験は、ファンドでの投資判断や経営支援に直結する武器となります。
特にPEファンドでは、FASや投資銀行での実務経験を持つ人材が高く評価される傾向にあります。現場での評価を見ると、FAS出身者は「財務のスペシャリスト」として、投資銀行出身者は「案件のドライバー」として、それぞれ異なる強みを武器に転職を果たしています。いずれにせよ、監査からファンドへと直接飛び込むよりも、段階を踏んだほうが転職成功率は高まりやすいのが現実です。
ファンド業界で求められるスキル・経験
ファンド業界で活躍するためには、監査経験だけでは足りません。投資判断や経営支援の現場では、より実践的かつ多角的なビジネススキルが求められます。ここでは、ファンドへの転職を目指す公認会計士にとって、特に重要とされるスキル・経験について解説します。
M&A・投資銀行での実務経験があると有利
PEファンドをはじめとするファンド業界では、M&A実務に通じた人材が高く評価されます。買収対象のスクリーニング、ディール構築、交渉、契約といった一連の流れを理解し、関与した経験があることで、即戦力としての信頼を得やすくなります。
こうした経験は、FASや投資銀行で培うことが多く、実際にファンドへの転職成功者の多くは、いずれかの領域を経由しています。監査業務では得られない「案件を前に進める」能力やスピード感、マルチタスク能力が身につく点で、非常に有利なキャリアステップとなります。
財務デューデリジェンスやバリュエーションの知識
財務デューデリジェンス(DD)やバリュエーションのスキルは、ファンドの投資判断に欠かせない要素です。対象企業の財務状況を正確に把握し、リスクや隠れた課題を見抜く力、そして企業価値を数値化する力は、ファンド業務の根幹を支えています。
FASやコンサルティングファームで、これらのプロジェクトに関与した経験がある場合、監査だけでは得られない分析の深度が身につくため、選考時のアピールポイントになります。特にバリュエーションの実務経験は、ファンド業界での通貨のように扱われる重要スキルのひとつです。
経営戦略・ビジネス理解・高いコミュニケーション力
ファンドの仕事は単に「数字を読む」だけではなく、投資先企業の経営陣と対話し、現場の課題を把握したうえで具体的な改善策を立案・実行することが求められます。そのためには、経営戦略に対する理解、業界構造やビジネスモデルに関する幅広い知識、さらには関係者と信頼関係を築けるコミュニケーション力が欠かせません。
監査法人やFASでの経験に加え、事業会社やコンサルティングファームでの経営支援経験がある場合は、こうしたスキルを持っていると見なされることが多く、ファンド業界への転職において大きな武器となります。
ファンド業界への転職で注意すべきポイント

ファンド業界は非常に魅力的なキャリアパスですが、転職市場においてはハードルの高い領域でもあります。特に公認会計士のような専門職からの転身を考える場合は、事前に理解しておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、転職活動を進める上で注意すべき点を整理します。
未経験からの転職はハードルが高め
ファンドは少数精鋭で構成される組織が多く、入社後すぐに戦力として動ける人材が求められる傾向にあります。そのため、会計や監査の知識だけでなく、M&Aの実務や投資判断に関わった経験がない場合、書類選考や面接の時点で難航するケースが少なくありません。
特にPEファンドでは、投資銀行やFAS、戦略系コンサルでの経験があるかどうかが大きな選考基準となります。監査経験しかない場合は、まずFASや関連分野での経験を積む「ワンクッション」を踏むことで、将来的なファンド転職の可能性を高める現実的なステップとなります。
求人数が少なく、タイミングと情報戦が重要
ファンド業界は採用数そのものが非常に限られており、常時募集が出ているわけではありません。ポジションがオープンになるのは、人員の交代や新規ファンドの立ち上げ、投資案件の急増など突発的なタイミングが多く、一般的な転職サイトには掲載されない非公開求人として扱われるケースも多く見られます。
そのため、「募集が出た時にすぐ動ける」体制を整えておくことが成功の鍵になります。情報収集を怠らず、信頼できるエージェントと連携し、最新の求人動向や採用ニーズをキャッチアップすることが非常に重要です。競争率が高いからこそ、スピードと情報の質が勝敗を分ける要素となります。
公認会計士のファンド転職成功事例
弊社クライアントであるPEファンドに在籍している会計士の方に取材を行い、リアルな業務の内容や転職理由、求められるスキルについて詳しくお話を伺うことができました。ここではその一部をご紹介します。
「社会的価値のある仕事を」監査法人からPEファンドへ
PEファンドでシニアマネージャーとして活躍するAさんは、公認会計士として大手監査法人で監査や会計アドバイザリーを経験した後、PEファンドに転職されました。転職の理由は、PEファンドが社会の持続的成長に貢献する存在であると感じたこと、そして自らの成長を促す環境に身を置きたかったからだと語ります。
監査や会計アドバイザリー業務を通じて企業と関わっていたAさんですが、「数字の裏にあるビジネスの本質」にもっと深く関与したいと感じ、PEファンドへのキャリアチェンジを決意されました。背景には、突然の父の他界により家業を継げなかった個人的な経験もあったそうです。そうした体験から、企業の再生や成長に本質的に貢献できる仕事への想いが芽生えたといいます。
ファンドの業務と、活かされた会計士のスキル
Aさんは入社後、ミドル・バックオフィス業務、ファンドレイズ業務、そして投資実行・支援を行うフロント業務の3つを一通り経験されました。中でもミドル・バックオフィス業務では、ファンドの会計処理や投資家向けレポートの作成、ディスクロージャー業務を通じて、会計士としてのスキルがそのまま活かされたと話します。
その一方で、フロント業務では、財務モデルの構築、業界リサーチ、投資先企業へのハンズオン支援といった多岐にわたる業務に関わる中で、「机上の分析だけでは企業は動かない」という実感も得たとのこと。実際に現場に入り、経営者や従業員とともに価値向上を目指す体験は、監査法人時代とはまったく異なる次元のやりがいを感じたと語っています。
キャリアパスの多様性と、チームで働く力の重要性
PEファンドの現場では、会計士、弁護士、コンサルタント、投資銀行出身者など、さまざまな専門性を持ったメンバーが在籍しています。その中でAさんは、「自分の得意分野にこだわりすぎず、他者の強みを尊重し、チームとして成果を出す姿勢が重要」と強調します。
また、PEファンドでの経験は、その後のキャリアにも多様な展開が期待できるといいます。ファンド内での昇進はもちろん、事業会社の経営企画部門やM&A担当、あるいは独立・起業など、スキルの活かし方は広がっています。
こちらのインタビュー記事は、以下から全文ご確認いただけます。
企業価値を高め再生・成長を手掛ける。PEファンド業務から見るビジネスのダイナミズム | アクチュアリー・会計士・税理士の転職・求人なら【VRPパートナーズ】
ファンド業界での経験が広げるキャリアパス
ファンド業界で培われるスキルや経験は、今後のキャリア形成において極めて大きなアドバンテージとなります。投資判断に必要な分析力や、経営支援を通じた実践的なビジネス力、さらに多様な専門家と協業する中で育まれる高いコミュニケーション能力など、ファンド業務を通じて得られる知見は、その後のキャリアの選択肢を広げてくれます。ここでは、ファンド業界での経験を活かして描ける代表的なキャリアパスを紹介します。
事業会社の経営企画やCFOとしての転職
PEファンドでは、投資先企業の成長支援や事業再生に深く関わるため、経営の現場に密着した経験を積むことができます。そのため、ファンドを経て事業会社に転職し、経営企画部門や財務戦略部門、さらにはCFOとして活躍するケースが多数あります。
ファンドでの経験を通じて、企業価値向上のための施策を実行する力、ガバナンスの整備、資本政策の立案などに携わった実績は、事業会社において極めて重宝されます。中には、支援先企業にそのまま転籍し、経営陣の一員として迎えられる事例もあります。
アセットマネジメントや投資銀行など金融業界への展開
ファンドで得た投資スキルや金融リテラシーは、他の金融領域でも強く評価されます。特に、アセットマネジメント会社での運用業務や、投資銀行でのM&Aアドバイザリー業務など、近接する分野への展開は自然な流れとなるでしょう。
また、ファンドでの実績は「投資家目線」を備えた人材としての価値を高め、信託銀行や証券会社のバンカーなど、広範な金融職へのキャリアチェンジも可能にします。財務・経営の両面から企業を支援できる人材として、複数の業界から求められる存在になり得ます。
経営ノウハウを活かした独立・起業
ファンドでの経験を通じて得られる最大の資産の一つが、経営全体を見通す視点です。投資先企業の再生・成長を支援する中で、戦略立案から現場改善、財務構造の見直しに至るまで、リアルな経営の意思決定に触れる機会が豊富にあります。
こうした経験を活かして、自ら起業したり、経営コンサルタントとして独立したりする道も、ファンド出身者にとっては現実的な選択肢です。中には、ベンチャー企業の経営陣にジョインし、成長フェーズを共に歩むようなケースも見られます。
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公認会計士がファンド業界への転職を成功させるポイント

ファンド業界は少数精鋭の狭き門であり、採用の難易度は高いものの、戦略的に準備を進めることで十分にチャンスを掴むことができます。ここでは、公認会計士がファンド転職を目指す上で、事前に意識しておきたいポイントを4つに分けて解説します。
財務・投資関連スキルを事前に磨いておく
ファンド業務においては、財務モデリング、バリュエーション、M&Aストラクチャリングといったスキルが必須です。監査業務ではこれらの実務経験が得にくいため、FAS部門や会計アドバイザリー業務を通じて、ファンドで評価される実践的スキルを身につけておくことが大切です。
独学であっても、企業価値評価のフレームワークや、LBOモデルの作成などに取り組むことで、選考時のアピール材料になります。また、業界レポートやM&Aニュースに日頃から触れておくことで、会話の引き出しも増えるでしょう。
自身の経験をファンド業務に置き換えて整理する
監査法人での経験を、ファンド業務にどのように活かせるかを言語化することが重要です。たとえば、監査で関与した企業の業界構造をどう捉えていたか、経営課題をどう見抜いていたかなど、表面的な業務内容ではなく、思考のプロセスに踏み込んで整理しましょう。
実際にファンドでは、財務数値を読む力以上に、それがビジネス全体の中でどう機能しているかを考える力が求められます。自身の過去の経験が、そのような視点とどうつながるかを整理しておくことで、説得力のある志望理由や自己PRにつながります。
志望動機を明確にし、業界理解を深めておく
ファンド業界は人気が高く、書類や面接での評価ポイントも非常にシビアです。そのため、「なぜファンドなのか」「なぜこのファンドなのか」という明確な志望動機を持っているかどうかが、選考通過の大きな分かれ目になります。
業界の構造や投資スタイル(バイアウト、グロース、ハンズオン型など)を理解したうえで、自身がどのように貢献できるかを語れるよう準備しておきましょう。可能であれば、実際にファンド出身者に話を聞いたり、書籍・取材記事などから現場の理解を深めることをおすすめします。
専門エージェントと連携し、非公開求人や選考対策に備える
ファンド業界の求人は、一般に出回らない非公開求人が大半を占めており、タイミングも極めて重要です。そのため、ファンド領域に精通した転職エージェントと早めに連携をとっておくことが成功への近道です。
また、書類添削や面接対策においても、ファンド特有の質問傾向を熟知しているエージェントの存在は心強いサポートになります。限られたポジションに対して、自分の強みを最大限に伝えるためにも、信頼できるプロとともに準備を進めることが非常に有効です。
監査法人からファンドへ転職する際のよくある質問
ここでは、監査法人からファンドへ転職する際のよくある質問をまとめました。
ファンドへ転職するのに最適なタイミングは?
公認会計士としてのキャリアを活かしてファンド業界に転職する場合、実務経験3年目〜5年目が一つの目安となります。このタイミングでは、監査法人での業務を一通り経験し、会計士としての基礎が確立しているため、次のステップとしてFASや投資銀行、戦略コンサルなどへのチャレンジがしやすくなります。
ファンド業界においては、直接の採用よりも「M&Aや財務アドバイザリーなどの経験を積んだ上での転職」が王道ルートとされているため、まずはファンドとの接点が強い領域へのキャリアチェンジを見据えた転職計画を立てることが重要です。
監査から業務内容はどう変わる?
監査業務は、主に過去の数字や証憑をもとに企業の財務状況をチェックする守りの業務であり、独立性を求められる立場です。一方、ファンド業務では、投資対象の企業の将来性を見極め、成長戦略を描き、実行支援を行うという“攻め”の立場が求められます。
たとえば、財務モデルを使って今後のキャッシュフローを予測したり、経営陣とともにガバナンス体制を再構築したりするなど、より実践的かつ当事者意識を伴う業務に関わることになります。数字を見る目は共通しつつも、役割と視点が大きく異なる点は理解しておくべきポイントです。
ファンド業界は激務?残業は多い?
PEファンドなどは、一般的に少数精鋭で高い成果を求められる環境であるため、ワークライフバランスが整っているとは言い難い側面があります。特に投資実行の局面やExit前後などは、短期間で集中的に稼働することが求められる場面も多く、残業や休日対応が発生することも珍しくありません。
ただし、業務の密度が高く意思決定スピードも早いため、時間以上に得られる経験値が大きいという声もあります。また、フロント業務だけでなくミドル・バックオフィス業務などを担うポジションでは、比較的安定した働き方が可能なケースもあります。
自分がどのフェーズにやりがいを感じるのか、どの程度の働き方を望むのかに応じて、ポジションを選ぶことが重要です。
公認会計士の転職ならVRPパートナーズへ
ファンド業界を目指す公認会計士にとって、転職活動は単なる求人応募の繰り返しではなく、限られた機会を確実に捉えるための“戦略設計”が不可欠です。VRPパートナーズは、公認会計士のキャリア支援に特化したエージェントとして、あなたの転職成功を徹底的にサポートします。
私たちは監査法人で働く方々の実情や悩みを深く理解しており、FASや投資銀行、コンサルファームなど、ファンド転職に至る“現実的なステップ”を踏まえたご提案を強みとしています。将来的にファンドを目指すために、まずどこでどのような経験を積むべきか。あなたのバックグラウンドを丁寧に整理し、志向や適性に合ったキャリアパスを共に設計します。
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ファンド転職に必要な経験やスキルを正しく理解し、自信を持って前に進むために。まずはお気軽にご相談ください。会計士の将来の可能性を、私たちと一緒に広げていきましょう。
まとめ
公認会計士がファンド業界へ転職するには、監査経験だけではなく、M&Aや財務アドバイザリーといった実務経験を積みながら段階的にキャリアを築いていく必要があります。直接の転職が難しいからこそ、FASや投資銀行、戦略コンサルなどを経由し、自身のスキルや強みを磨いていくことが現実的なアプローチです。
一方で、ファンドでの経験は、事業会社の経営企画やCFO、アセットマネジメント、さらには起業といった多様なキャリアパスを切り開くきっかけにもなります。投資家としての視点と、経営者に近い立場での実行力を兼ね備えた人材として、社会に大きなインパクトを与えることができる仕事です。
VRPパートナーズでは、公認会計士としての専門性を活かしながら、ファンド業界を目指す方々を徹底的にサポートしています。求人のご紹介だけでなく、今後のキャリア設計や選考対策、非公開ポジションのご案内まで、実績とノウハウに基づいたきめ細やかな支援をご提供いたします。