2025.10.03

公認会計士

公認会計士の仕事はきつい?辞めたい理由とやりがい・キャリアの可能性を解説

公認会計士の仕事はきつい?辞めたい理由とやりがい・キャリアの可能性を解説
資格取得のために膨大な努力を重ね、晴れて公認会計士として監査法人に入社したものの、「思っていた以上に仕事がきつい」と感じていませんか。

終わりの見えない繁忙期の残業、常に勉強を続けなければならないプレッシャー、そしてミスが許されない責任の重さなど、資格を取得して安定したキャリアを歩める一方で、その裏には精神的にも肉体的にも厳しい現実があります。

本記事では、公認会計士の仕事が「きつい」と言われる理由を整理するとともに、そこから広がるキャリアの可能性についても解説します。

今の働き方に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

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この記事の監修者

熊谷 孝裕

公認会計士、コンサルタント、経理財務領域に特化した転職支援で24年の実績。Big4、独立系FAS、ファンド、事業会社などへの紹介に強み。アビタスでの子会社役員・事業責任者を歴任し、キャリア支援に従事。ヘッドハンティング会社での経験を経て、現在はVRPパートナーズにて会計士・経営層の転職支援を担当。

公認会計士の仕事が「きつい」と言われる理由

公認会計士は社会的に重要な役割を担い、高い専門性が求められる職業です。しかし実際に働いてみると、「想像以上にきつい」と感じる方が少なくありません。

その背景には、監査法人特有の働き方や職務の性質が関係しています。ここからは、公認会計士の仕事が大変だと言われる主な理由を具体的に見ていきましょう。

監査法人の激務と繁忙期の忙しさ

監査法人に勤める公認会計士の多くが直面するのは、繁忙期の過酷な労働環境です。特に3月決算の企業が集中する4月から5月は、多くの案件が同時進行するため、残業や休日出勤が避けられません。さらに四半期ごとに監査が発生するため、年間を通して「繁忙期が何度も訪れる」状況が続きます。長期にわたる過重労働は、心身の負担となり「きつい」と感じる最大の理由のひとつです。

常に勉強を求められるプレッシャー

公認会計士は資格を取得して終わりではなく、常に最新の知識を身につけることが求められます。会計基準や税制、企業法務のルールは頻繁に改正されるため、実務と並行して学習を続けなければなりません。業務で疲弊していても、自己研鑽を怠れば専門家としての信頼を失いかねない。この「学び続けなければならない」というプレッシャーは、会計士の精神的な負担を大きくしています。

業務が単調になりやすい

監査業務は、財務諸表や関連資料を精査し、正しく処理されているかを確認することが中心です。地道なチェック作業が多いため、慣れてくると業務がルーティン化しやすく、「やりがいを感じにくい」と悩む会計士も少なくありません。数字と向き合う時間が長い分、仕事の達成感や成果が見えにくい点も、きつさにつながっています。

クライアントからの「嫌われ役」になることも

監査の役割は、不正や誤りを見逃さず、必要に応じて厳しい指摘をすることです。クライアントにとっては耳の痛い指摘となるため、感謝されるよりも「嫌な存在」と受け取られてしまう場面もあります。仕事の意義は理解していても、人間関係の軋轢や心理的な負担は避けられず、孤独感を覚える人も多いのが現実です。

AI・テクノロジー進化への不安

近年はAIやデジタル監査ツールの普及により、一部の業務は効率化が進んでいます。しかし「将来的に自分の役割がなくなるのでは」と不安を抱く会計士も少なくありません。実際にはAIがすべてを代替するわけではなく、最終的な判断は人間の会計士に委ねられますが、テクノロジーの進化がキャリアの将来性に影を落としているのは事実です。

人手不足と増員しにくい業務特性

公認会計士の仕事は、資格保有者にしか担えない独占業務です。そのため、慢性的な人手不足が続いており、簡単に増員できる環境ではありません。監査需要は年々高まる一方で、資格取得者の数は限られているため、一人ひとりにかかる負担が大きくなります。特に若手の会計士は、経験を積む前に膨大な業務を抱えるケースもあり、心身の疲労やキャリアへの不安を強める要因となっています。

ミスが許されない責任の重さ

監査法人の業務は、上場企業をはじめとする多くのステークホルダーに直結しています。財務諸表の適正性を誤って判断すれば、株価の変動や企業価値の毀損につながり、社会的に大きな影響を及ぼします。こうした「絶対にミスできない」環境に置かれることは、常に高い緊張感を伴い、精神的なプレッシャーの大きさにつながります。

人間関係やチーム内ストレス

監査業務はチーム単位で進めることが多く、上司や同僚、クライアントとの関係性が仕事のしやすさに直結します。しかし、業務量が多い時期には余裕がなく、コミュニケーションがぎすぎすするケースも少なくありません。加えて、クライアントには厳しい指摘をしなければならないため、関係が悪化してしまうこともあります。人間関係に起因するストレスが積み重なることで、モチベーションを維持しにくい状況に陥ることもあるのです。

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「きつい」だけではない、公認会計士の魅力

公認会計士の仕事は確かに「きつい」と思われるような側面もありますが、専門性の高さが評価されるからこそ得られる待遇や、多彩なキャリアの広がり、さらには企業や社会に貢献できるやりがいなど、ポジティブな魅力も数多く存在します。

ここからは、公認会計士ならではの強みについて見ていきましょう。

高年収・安定した待遇

公認会計士の大きな魅力のひとつは、やはり高い年収水準と安定性です。厚生労働省の調査によると、公認会計士や税理士の平均年収は700万円を超えており、日本の平均を大きく上回ります。さらに、大手監査法人で経験を積んだり、独立開業したりすることで、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。資格が国家レベルで保障されているため、景気変動に左右されにくい点も安心材料となっています。

幅広いキャリアの選択肢

公認会計士の専門知識は、監査法人だけでなく、一般事業会社の経理・財務、金融機関、FAS(Financial Advisory Services)、コンサルティング会社など、多彩なフィールドで活かすことができます。加えて、IPO支援や事業再生、M&Aなどの分野でも需要が高く、専門性を磨けば磨くほどキャリアの幅が広がるのが特徴です。ひとつの道に縛られず、将来の方向性を柔軟に描ける点は大きな強みと言えるでしょう。

企業成長や経営層に直接関われるやりがい

監査法人での業務を通じて、会計士は上場企業の経営層や役員と直接やり取りをする機会があります。経営判断の基盤となる財務情報に深く関わり、企業の健全な成長を支えることは、社会的な意義も大きなやりがいです。また、アドバイザリー業務やコンサルティング業務では、経営課題の解決に直結する提案を行うことも可能です。数字だけでなく、経営の意思決定に貢献できる点は、公認会計士ならではの醍醐味だと言えるでしょう。

公認会計士に向いている人の特徴

公認会計士の仕事は、専門知識だけでなく仕事に取り組む姿勢や考え方によって向き不向きが分かれる職業です。

激務や責任の重さに直面しても成果を出し続けられる人には、いくつかの共通した特徴があります。

ここでは、公認会計士に向いている人の代表的な資質を紹介します。

粘り強さと忍耐力がある

公認会計士の仕事は、膨大な資料や数字を相手に地道な確認作業を繰り返すことが多くあります。繁忙期には長時間労働も避けられないため、体力面だけでなく精神面での粘り強さが不可欠です。困難な状況でも諦めずに取り組める忍耐力を持つ人は、監査法人でも高い評価を得やすいでしょう。

コミュニケーション力が高い

会計士の業務は「数字と向き合うだけ」と思われがちですが、実際にはクライアントとのやり取りやチームでの協働が欠かせません。指摘をする場面では相手に納得してもらえるような伝え方が求められるため、柔軟で丁寧なコミュニケーション力が重要です。単に知識を持っているだけでなく、人間関係を円滑にできる人ほど、仕事を進めやすくなります。

論理的思考で物事を整理できる

会計士の仕事では、複雑な情報を整理し、根拠を持って結論を導き出す力が求められます。財務データの正確性を検証したり、クライアントへ改善点を提示したりする際には、論理的思考が欠かせません。感覚ではなく、数字や事実に基づいて説明できる能力は、会計士にとって最大の武器となります。

仕事がきついと感じたときのキャリアの考え方

公認会計士として働く中で「このまま続けて大丈夫だろうか」と悩む瞬間は誰にでもあります。

激務やプレッシャーを前にキャリアを見直したいと感じたときこそ、新しい選択肢を考えるチャンスです。

監査法人内で働き方を改善する方法もあれば、事業会社やFASなど別のフィールドへ挑戦する道もあります。ここでは、キャリアの考え方や具体的な事例を紹介します。

ワークライフバランスを改善できる転職先

監査法人での激務に限界を感じた場合、まずは働き方を大きく見直せる転職先を検討することが選択肢となります。

公認会計士がより良い働き方を実現するための転職先としては、企業内会計士、コンサルティングファーム、監査法人内のアドバイザリー部門などが挙げられます。

企業内会計士は年間を通じて勤務時間が安定しており、リモートワークやフレックスタイム制を導入している企業も多いため、家庭やプライベートと両立しやすい環境です。

コンサルティングファームでは働き方改革が進んでおり、繁忙期以外はスケジュールの調整がしやすく、専門性を活かしながら自由度の高い働き方が可能です。さらに、監査法人内のアドバイザリー部門では、監査に比べて繁忙期の負担が小さく、幅広い案件に携わりながら柔軟なキャリア形成を実現できます。

このように、公認会計士は自分のライフスタイルやキャリアの方向性に合わせて、多様な選択肢からワークライフバランスを整えられる環境を選ぶことができます。

公認会計士の働き方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

公認会計士の働き方|ワークライフバランスを向上させるために必要なこととは

監査法人以外のキャリアパス(事業会社・FAS・コンサル等)

公認会計士の専門知識は、監査業務に限らず幅広い分野で活かせます。たとえば、事業会社の経理・財務部門で経営に近い立場から意思決定に関わる道、FAS(Financial Advisory Services)でM&Aや事業再生に携わる道、コンサルティングファームで戦略立案やPMI支援に挑戦する道などがあります。監査法人で培った経験は、異なる業界でも高く評価されるため、自分の志向やライフスタイルに合ったキャリアを選ぶことが可能です。

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キャリアに迷ったらVRPパートナーズに相談を

私たちVRPパートナーズでは、公認会計士の方が将来の働き方やキャリアに悩んだときに、安心して相談いただける環境をご用意しています。

短期的な転職ニーズだけではなく、独立やCFOといった長期的な目標も見据え、一人ひとりに合わせたカウンセリングを行っているのが特徴です。

コンサルタントは全員が業界経験20年以上で、求人票に載らない実際の職場環境や組織の雰囲気についてもお伝えすることができます。さらに、一人の担当者が企業との調整から転職希望者の支援まで一貫して行うため、双方の状況を踏まえた適切な提案が可能です。

以下では、実際に転職を成功させた事例や、公認会計士の方にご紹介できる求人の一部をご案内します。

公認会計士の転職成功事例

実際に、VRPパートナーズでサポートさせていただいた転職事例をご紹介します。

大手監査法人でシニアスタッフとして勤務されていた20代後半の男性は、監査クライアントから業務改善に関する助言を求められる機会が多くあったものの、監査業務の独立性との兼ね合いから十分に応えられないことにもどかしさを感じ、転職を検討されました。さらに、ご家庭の事情からも「よりワークライフバランスを大切にできる職場環境」を希望されていたことから、複数の求人企業の中からご本人の希望に沿った会社を選定し、転職活動を進めました。

最終的に財務会計アドバイザリー会社のコンサルタント職へと転職。年収は850万円から800万円とわずかに下がったものの、残業時間が大幅に減少し、家族との時間をしっかり確保できるようになったことで、労務環境の改善と実質的な待遇アップを実現することができました。ワークライフバランスを整えつつ、専門性を活かしてキャリアを広げられた成功事例といえます。

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おすすめの求人一覧

【Big4系FAS】財務デューデリジェンス

●年収:700万〜1200万円

●業務内容:
・財務デューデリジェンス
・会計ストラクチャー助言業務
・カーブアウト財務諸表作成支援等の売却支援
・財務モデリング業務
・財務、会計領域に係るポストマージャーインテグレーション(経営統合)支援
・上記業務に関連するプロジェクトネジメント

●おすすめポイント:
監査経験を活かしてM&A領域でキャリアアップを目指す日・米の公認会計士にとって、即戦力として活躍できるポジションです。監査出身者が多く在籍しているため組織に馴染みやすく、テレワークを中心とした働き方により、裁量を持って業務に取り組むことができます。また、セクター(業界)とサービスラインが交差するマトリックス型の組織体制となっており、入社後も多様なキャリアパスを描きやすい環境です。
【独立系コンサル会社】財務会計コンサルタント

●年収:600万〜900万円

●業務内容:
・金融機関を対象とした、財務諸表作成支援業務(米国会計基準、IFRS基準、日本会計~金商法、会社法~)
・一般事業会社(主に上場企業)を対象に、財務諸表作成支援業務のほか、IPO、M&Aなど各種コンサルティング業務

●おすすめポイント
コンサル会社ですが残業時間は月平均10時間程度で有給消化率ほぼ100%。コンサル会社のなかでは極めて珍しくワークライフバランスがとりやすい環境です。クライアントへ行き来する業務を除いて制限なく在宅勤務することができます。コロナ禍以前から全社的に在宅ワークの制度導入をしており同社では基本的なワークスタイルです。

まとめ:公認会計士はきついがキャリア次第で可能性は広がる

公認会計士の仕事は、繁忙期の激務や人手不足、常に学び続けるプレッシャーなど、多くの面できつさを感じやすい職業です。クライアントへの厳しい指摘や責任の重さも重なり、20〜30代前半で将来に不安を抱く方も少なくありません。

しかし一方で、公認会計士は高年収や安定性、幅広いキャリアパスといった大きな魅力を持ち、経営層に直接関わるやりがいも得られる職業です。大切なのは「今の環境が自分に合っているかどうか」を見極め、必要に応じて新しい選択肢を探すことです。

監査法人以外にも、FAS(Financial Advisory Services)、事業会社、独立系コンサルティングなど、活躍できるフィールドは数多くあります。もし現状に限界を感じているなら、専門の転職エージェントであるVRPパートナーズに相談してみてください。経験豊富なアドバイザーが、あなたに合ったキャリアの方向性を一緒に見つけ、無理のない働き方を実現するサポートを行っています。

「きつい」と感じた今こそ、自分のキャリアを広げるチャンスです。未来を前向きに描く第一歩として、ぜひプロに相談してみてはいかがでしょうか。

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