2025.08.15

公認会計士

公認会計士の監査法人以外のキャリアとは。転職成功のポイントや事例を紹介

公認会計士の監査法人以外のキャリアとは。転職成功のポイントや事例を紹介
働き方やキャリアの価値観が多様化する中で、公認会計士としての道も一つに限られる時代ではなくなりました。監査法人での経験を経て、次のステップとして別のフィールドに挑戦する人が増えています。会計士資格を活かしながら、経営、コンサルティング、財務戦略などに携わる働き方は、着実に現実的な選択肢となりつつあります。



本記事では、公認会計士が監査法人以外で築けるキャリアの可能性や転職のメリット、成功事例、注意すべきポイントを紹介します。今後の方向性に迷っている方や、自分に合った働き方を模索している方にとって、ヒントとなる情報をお届けします。
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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

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この記事の監修者

熊谷 孝裕

公認会計士、コンサルタント、経理財務領域に特化した転職支援で24年の実績。Big4、独立系FAS、ファンド、事業会社などへの紹介に強み。アビタスでの子会社役員・事業責任者を歴任し、キャリア支援に従事。ヘッドハンティング会社での経験を経て、現在はVRPパートナーズにて会計士・経営層の転職支援を担当。

公認会計士の監査法人以外のキャリアの選択肢は増えている

かつては、公認会計士といえば「監査法人でキャリアを積む」のが一般的なルートとされてきました。しかし現在では、会計士資格を活かして活躍できるフィールドは広がりを見せており、監査法人以外でキャリアを築く人も増えています。

近年の傾向として、公認会計士の若手層を中心に「より実務に近い立場でクライアントと向き合いたい」「会計以外のスキルを磨きたい」といった志向の変化が見られます。たとえば、コンサルティングファームで経営課題に取り組む、事業会社の経営企画部門で数字に基づいた戦略立案を行う、スタートアップのCFOとして経営に深く関与するといった選択肢が現実味を帯びています。

実務経験は監査法人以外でも積める?

公認会計士の登録を考えている方にとっては「実務経験をどこで積めるのか」が気になるポイントかもしれませんが、監査法人以外でも条件を満たすケースがあります。

具体的には、

  • 会計・税理士事務所・税理士法人
  • コンサルティング会社
  • 一般企業の経理部・税務部
  • 金融機関・保険会社
  • 公務員

などで実務経験を積むことが可能です。

詳細については、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

公認会計士登録に必要な実務経験はどこで積む?期間や条件を解説 | アクチュアリー・会計士・税理士の転職・求人なら【VRPパートナーズ】

監査法人以外のキャリア一覧

公認会計士としてキャリアを積む上で、監査法人以外にも多様な選択肢が存在します。特に近年は、監査以外のフィールドで専門性を活かし、自分らしい働き方を模索する若手会計士が増えています。ここでは、公認会計士が活躍できる代表的な転職先を紹介します。

事業会社

経理・財務部門での採用が多く、連結決算、開示業務、IFRS対応、M&A支援など幅広い業務を担います。最近では、経営企画や内部監査といった領域でも会計士のニーズが高まっており、企業の中から経営に貢献する役割を期待されています。

コンサルティング

FAS(財務アドバイザリー)や会計系のコンサルティングファームでは、監査経験を活かしつつ、財務デューデリジェンスやバリュエーション、PMI支援などのプロジェクトに関与できます。監査法人からの転職先としても人気が高く、成長性のある分野です。

税理士法人・会計事務所

税務・会計支援に特化した職場で、法人税申告や組織再編、事業承継支援など、監査とは異なる視点で企業を支援します。会計士資格を活かしながらも、よりクライアントに近い立場で実務を経験できる点が魅力です。

CFO

スタートアップや中小企業を中心に、公認会計士がCFOとして活躍するケースが増えています。資金調達、財務戦略、内部統制の構築など、企業の意思決定に直結する役割を担うため、経営に深く関わりたい方にとって魅力的なキャリアです。

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監査法人以外のキャリアを選ぶメリット

監査法人で得られる経験は、会計士としての基礎を築くうえで非常に有意義です。しかし、あえて監査法人以外のキャリアを選ぶことで、専門性を広げたり、ライフスタイルに合った働き方を実現したりと、違った価値を得られる可能性があります。ここでは、監査法人を出て別の道を歩むことの主なメリットを紹介します。

業務の幅が広がり、市場価値が上がる

監査業務は企業の過去の数字を検証することが中心ですが、監査法人以外の職場では、将来に向けた経営支援や戦略立案、プロジェクトの実行など、よりビジネスに近い領域に関与することができます。財務だけでなく、税務・法務・ITといった周辺分野との連携も求められ、自身の市場価値を高める経験につながります。

転職先によってはワークライフバランスが改善する

監査法人では繁忙期に深夜まで働くこともありますが、転職先によっては柔軟な働き方が可能になるケースもあります。たとえば、事業会社の経理部門や内部監査ポジションでは、繁忙期が限定的であったり、リモート勤務やフレックスタイム制を導入している企業も増えています。働き方を見直したい方にとっては、大きなメリットとなります。

会計以外の専門スキルを習得できる

監査法人では会計に関するスキルが中心ですが、他の職場では、たとえばM&Aに関する実務、税務戦略、資本政策、システム導入支援など、より実践的で多様なスキルが求められます。新たな分野に挑戦することで、自身の専門性に厚みを持たせ、今後のキャリア選択の幅を広げることができます。

公認会計士が監査法人以外に転職した事例

ここでは、実際に監査法人からキャリアチェンジを果たした公認会計士の事例をご紹介します。監査で培ったスキルを活かしながら、より広い領域へとステップアップした2名のケースを通じて、監査法人以外でのキャリア形成の可能性を具体的にイメージしていただければと思います。

大手監査法人から大手FASへの転職事例

20代後半の男性会計士の方は、大手監査法人でシニア職として監査業務に従事していました。もともと、監査経験を活かしてFAS業界でキャリアを築きたいと考えており、先に独立系FASへ転職した先輩の影響から、中小FASでの幅広い実務を希望されていました。

そこで、独立系FASの求人に加え、Big4系FASの中でもミドルマーケット部門をご提案しました。この部門ではサービスラインをまたいで柔軟に経験を積めることから、幅広いスキルを身につけたいというニーズにもマッチしていました。

結果的に、ご本人はFAS業界未経験の状態で中小に飛び込むよりも、大手で基礎を固めながら専門性と実務の幅を同時に高められる環境に魅力を感じ、Big4系FAS会社への転職を決断されました。年収も900万円から950万円へとアップし、スキルの深化と待遇面の両立を実現された好事例です。

大手監査法人から財務会計コンサルへの転職事例

同じく20代後半の男性で、大手監査法人にて監査シニアスタッフとして勤務されていた方の事例です。監査業務を通じてクライアントからの相談に応じる機会が増える中、独立性の観点から深く踏み込めない状況にもどかしさを感じておられました。

さらに、家庭の事情から、より安定した働き方ができる職場を希望されていたこともあり、複数の求人からワークライフバランスを重視できる企業を選定し、選考を進めました。

結果として、財務会計アドバイザリー会社に転職。表面上は年収が850万円から800万円に減少しましたが、残業時間が大幅に減り、労働時間を踏まえると実質的な待遇アップを実感できる環境に身を置くことができました。業務への満足度も高く、今ではクライアント支援に直接携われるやりがいを日々感じているそうです。

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監査法人以外に転職する際のポイント

監査法人以外のキャリアに踏み出す際は、職場環境や業務内容が大きく変わることから、事前準備や情報収集が重要です。ただ漠然と転職を考えるのではなく、自分の志向や強みを整理した上で動くことが、納得感のあるキャリア選択につながります。ここでは、監査法人を離れる際に意識すべきポイントを解説します。

監査以外の業務に興味を持った理由を明確にする

「監査を辞めたい」だけではなく、「なぜその領域に挑戦したいのか」という理由を明確にしておくことが重要です。たとえば、より事業に近いポジションで企業に貢献したい、経営に携わる経験を積みたい、働き方を見直したいといった、自分自身の価値観や目的を言語化することで、志望先とのマッチ度も高まり、選考でも説得力を持たせることができます。

志望先ごとの業務内容や働き方を事前に理解しておく

事業会社やFAS、コンサル、税理士法人など、職場によって求められるスキルや業務範囲、働き方には大きな違いがあります。例えば、事業会社では会計業務だけでなく予算策定や経営指標の分析を担うケースもあれば、FASではプロジェクトごとに異なるクライアント課題に取り組むことが求められます。ミスマッチを避けるためにも、求人票だけでなく実際の現場の話や先輩会計士の経験談を参考にしながら、具体的な業務イメージを掴んでおくと安心です。

会計士資格以外に求められるスキルを整理する

監査業務と異なり、他の職場ではプレゼン力、プロジェクトマネジメント、データ分析スキル、英語力などが求められることがあります。会計士資格はベースとして有効ですが、職種によってはそれだけでは選考を突破できない場合もあるため、足りないスキルを把握し、補う意識を持つことが大切です。短期的にすべてを備える必要はなく、今後の学習や経験を通じて身につける意欲があることも評価されます。

自分に合った選択肢を探るためにエージェントを活用する

キャリアの選択肢が広がるほど、自分に合った道を見極めるのは難しくなります。そんな時は、公認会計士の転職に精通したエージェントを活用するのがおすすめです。単に求人を紹介するだけでなく、自分のキャリアの方向性に合わせた選択肢の整理や、非公開求人の提案、志望先との面談調整、選考対策まで幅広く支援してくれます。情報の非対称性が大きい監査法人以外の転職では、信頼できるパートナーを得ることが成功の近道です。

会計士の転職ならVRPパートナーズへ

監査法人を離れてキャリアチェンジを目指す際、自分に合った選択肢を見極め、確実にチャンスを掴むには、専門性の高い転職支援が欠かせません。VRPパートナーズは、公認会計士に特化した転職エージェントとして、多くの方のキャリア構築をサポートしてきた実績があります。

私たちは、単に求人をご紹介するだけではなく、監査法人での経験や今後の志向を丁寧にヒアリングし、一人ひとりに合ったキャリアの方向性を一緒に考えます。FASや財務会計コンサル、事業会社、CFOといった監査以外の選択肢についても、リアルな情報や選考の傾向を踏まえて的確にご提案いたします。

また、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策も個別に対応しており、初めてのキャリアチェンジでも安心して挑戦できる環境を整えています。監査経験しかないことに不安を感じている方でも、どのようにアピールすれば良いかを明確にし、自信を持って転職活動に臨むことができます。

「監査から次の一歩を踏み出したい」「自分の市場価値をもっと高めたい」

そんな思いをお持ちの方は、ぜひ一度VRPパートナーズにご相談ください。

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まとめ

公認会計士が監査法人以外のキャリアを選ぶ動きは、年々広がりを見せています。事業会社、FAS、コンサル、税理士法人、CFOなど、監査で培ったスキルを活かせるフィールドは多岐にわたり、働き方や専門性の面でも新たな可能性を見出すことができます。

もちろん、監査法人を離れるには不安もつきものですが、実際にキャリアチェンジを果たした先輩会計士たちのように、自分に合った環境で新しい価値を生み出している方は数多くいます。大切なのは、自分が何にやりがいを感じ、どのような働き方をしたいのかを明確にし、その実現に向けて情報を集め、行動を起こすことです。

VRPパートナーズでは、監査法人以外への転職を目指す会計士の方に向けて、実務に即したアドバイスと充実したサポート体制をご用意しています。選択肢を広げたいと考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。新しいキャリアの第一歩を、一緒に考えていきましょう。

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