2025.10.21

公認会計士

監査法人でUSCPAはどう活かせる?仕事内容・年収・キャリアの可能性を紹介

監査法人でUSCPAはどう活かせる?仕事内容・年収・キャリアの可能性を紹介
USCPA(米国公認会計士)は、グローバルに通用する会計資格として、監査法人や外資系企業で高く評価されています。特に、国際案件やクロスボーダー取引を扱う場面では「英語で会計を扱える専門家」としての強みを発揮できるため、キャリアアップを目指す会計士にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

一方で、「日本の公認会計士資格との違いは?」「監査法人ではどんな仕事を任されるの?」「監査法人以外でのキャリアはどう広がるの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。

本記事では、監査法人におけるUSCPAの活かし方や具体的な仕事内容、メリット・デメリットを整理するとともに、監査法人以外のキャリアパスや転職成功事例をご紹介します。最後に、会計士特化の転職支援を行うVRPパートナーズのサポート内容も解説します。
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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

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この記事の監修者

玉虫 智行

会計士・税理士領域に特化した人材紹介で21年の実績。独立系の会計コンサルティング会社や税理士法人への紹介に強み。管理部門特化の人材紹介会社での実績を経て、2011年にVRPパートナーズに参画。中長期的なキャリア支援と高精度なマッチングに定評がある。

USCPAは監査法人への就職・転職が狙える資格

USCPAは監査法人への就職・転職が狙える資格です。特にBIG4をはじめとする大手監査法人では、クロスボーダー案件や海外クライアントを担当する場面が多く、英語と国際的な会計基準に強みを持つUSCPAは高く評価されます。そのため、キャリアの幅を広げたい方にとって、監査法人での活躍を後押ししてくれる大きな武器となります。

USCPAとは

USCPA(U.S. Certified Public Accountant)は、アメリカ各州が認定する公認会計士資格です。米国会計基準(US-GAAP)や国際会計基準(IFRS)に精通した専門家として認知されており、監査・税務・アドバイザリーなど幅広い領域で活躍できます。試験はすべて英語で実施され、会計・監査だけでなくビジネス法やIT統制まで幅広い知識が求められるのが特徴です。

公認会計士との違い

日本の公認会計士試験は国家資格として国内の会計・監査業務に直結しています。一方で、USCPAはアメリカ資格でありながら、英語力と国際的な会計スキルを証明できるため、外資系企業やグローバル案件を多く抱える監査法人で評価されやすい資格です。

つまり、公認会計士が「日本の会計・監査に強い資格」だとすれば、USCPAは「国際舞台で通用する会計士資格」といえます。両方を保有していることで、国内外を問わずキャリアの幅が大きく広がります。

公認会計士のダブルライセンスについては、以下の記事でも紹介しています。

公認会計士がダブルライセンスで目指すべき資格とは? | アクチュアリー・会計士・税理士の転職・求人なら【VRPパートナーズ】

監査法人におけるUSCPAが活かせる仕事内容

USCPAを取得していると、監査法人では国際案件や英語を使う業務を中心に活躍の場が広がります。とくにBIG4をはじめとする大手監査法人では、クロスボーダーでの会計監査や海外法人との連携業務など、USCPAならではの専門性が求められる場面が数多くあります。

会計監査業務(国際案件・クロスボーダー対応)

海外子会社や外資系クライアントを対象とした監査業務では、USCPAの知識と英語力が直接活かされます。米国会計基準(US-GAAP)や国際会計基準(IFRS)を理解していることはもちろん、英語での資料読解やクライアント対応が求められるため、資格を持つことでスムーズに国際案件へアサインされやすくなります。

リファードワーク(海外案件の一部業務)

監査法人では、海外の現地法人が行う監査業務の一部を日本でサポートする「リファードワーク」があります。具体的には、IFRSやUSGAAPに基づく財務諸表の監査やレビューを行い、その結果を英語でレポーティングし、海外の監査チームと連携して業務を進めることが一般的です。こうした場面では、国際会計基準に関する知識や英語でのコミュニケーション能力が強みとなります。

アドバイザリー(M&A・内部統制・ガバナンス支援)

監査業務にとどまらず、M&AやPMI(企業統合プロセス)、内部統制やガバナンスに関わるアドバイザリー業務でもUSCPAは活かせます。特にクロスボーダーM&Aや海外子会社の内部統制支援などでは、会計知識と国際的な視点を兼ね備えた人材が重宝されます。監査法人内でコンサルティング寄りのキャリアを築きたい場合にも、USCPAは大きな武器となります。

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USCPA資格者が監査法人で働くメリット

USCPAを取得すると、監査法人での活躍の場は大きく広がります。特に国際案件や外資系クライアントを担当する際には、資格と英語力が強みとして評価されやすく、キャリア形成にも直結します。

ここでは、監査法人でUSCPA資格を持つことによる具体的なメリットを解説します。

国際案件への参画チャンスが広がる

USCPAは、米国会計基準(US-GAAP)や国際会計基準(IFRS)に関する知識を持っていることを証明できます。監査法人のなかでも国際部門や外資系クライアントの監査業務では、英語での資料読解や現地法人とのやり取りが必須となるため、資格保持者は優先的にアサインされやすくなります。これにより、クロスボーダーM&Aや海外子会社監査などの高度案件に携われるチャンスが増えます。

海外勤務やグローバルキャリアにつながりやすい

BIG4を中心とする監査法人は、海外ネットワークとの人材交流が盛んです。USCPAを持っていることで、海外駐在や短期出張の候補に選ばれる可能性が高まり、将来的にグローバルキャリアを築くうえで有利に働きます。

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USCPA資格者が監査法人で働くデメリット

一方で、USCPA資格者が監査法人で働く際には注意点もあります。

まず、日本の公認会計士資格がない場合は、監査報告書への署名権を持てません。ですが、国内の法定監査業務(インチャージを含む)に関与するUSCPA取得者も多くいらっしゃいます。

そのため、必ずしも担当できる業務が限定されるわけではありませんが、署名権の有無によって携われる範囲に一定の制約が生じる点は理解しておく必要があります。

また、英語力や国際会計の知識が前提となるため、常にスキルアップを求められる環境であることも事実です。加えて、国際案件は繁忙期に集中しやすく、業務量が多くなる点も負担に感じることがあります。

監査法人以外でのUSCPA取得者のキャリアパス

USCPAは監査法人だけでなく、幅広いフィールドで評価される資格です。特に「英語×会計」のスキルセットは、グローバルに事業を展開する企業や専門ファームで強いニーズがあります。ここでは代表的なキャリアパスを紹介します。

FAS・コンサルティングファーム

M&Aのデューデリジェンスや企業価値評価、事業再生支援といったFAS業務は、USCPA資格者が力を発揮しやすい分野です。英語での資料読解やクロスボーダー案件への対応力が求められるため、国際感覚を持つUSCPAは重宝されます。また、コンサルティングファームでは内部統制やガバナンス体制の構築支援といった業務にも携われ、監査法人以上に幅広い案件を経験できる環境が整っています。

外資系・グローバル企業の経理・財務

外資系企業やグローバル企業の経理・財務部門では、US-GAAPやIFRSに基づく決算・開示対応が必要です。USCPA資格があることで、海外本社とのやり取りや国際基準での報告業務を担える人材として高く評価されます。特に米国本社を持つ企業では、経理マネージャーやコントローラー職といった管理職ポジションを目指すうえでも有利に働きます。

事業会社の内部監査・経営企画

USCPAを持っていると、事業会社の内部監査部門や経営企画部門でも活躍の場が広がります。内部監査では、海外子会社の監査やリスク管理に強みを発揮でき、経営企画では、財務分析や資本政策の立案に国際会計の知識を活かせます。

独立・海外勤務という選択肢

USCPAは米国で通用する会計資格であるため、海外での勤務や独立という選択肢も現実的です。米国やアジア諸国に移住して会計事務所に勤めたり、独立して国際取引に強い会計士として活動したりすることが可能です。日本国内でも、外資系企業や海外投資家を顧客とする独立開業という道があり、グローバルに活躍できる柔軟性を持つのはUSCPAならではの強みです。

USCPA×監査法人キャリアを成功させるポイント

USCPA資格を持って監査法人に入ることで国際的なキャリアを築けますが、その可能性を最大限に引き出すには戦略的な行動が必要です。ここでは、監査法人で評価され、長期的に成長できるためのポイントを整理します。

監査法人で評価されるスキルの習得する

USCPAを持っているだけでなく、実務で活きるスキルを磨くことが重要です。特に、IFRS・US-GAAPの深い理解、英語でのクライアント対応力、データ分析やITツール活用スキルは、監査法人で高く評価されます。資格知識と実務経験を結びつけることで、国際案件の中心メンバーとして信頼されやすくなります。

効率的に経験を積むキャリア設計する

監査法人のキャリアは繁忙期の業務に左右されがちですが、ただ目の前の仕事をこなすだけでは成長が限定的です。国際部門への配属希望を早めに出す、アドバイザリー案件に積極的に関わる、海外研修や出向の機会を狙うなど、計画的に経験を積むことが将来のキャリアを広げるカギとなります。

海外案件・グローバルネットワークを活かす

USCPAを持っているからこそ、海外案件やグローバルネットワークを活用することができます。現地法人との共同監査、クロスボーダーM&A、海外出向といった経験は、監査法人内での評価を高めるだけでなく、将来的に外資系企業やFAS、コンサルティングファームへのキャリアチェンジにも直結します。ネットワークを広げ、国際的なプロジェクトに積極的に関わることが成功のポイントです。

キャリアに迷ったらVRPパートナーズに相談を

USCPAを取得したものの「監査法人でキャリアを積むべきか」「FASや外資系に挑戦すべきか」と悩む方は少なくありません。キャリアの選択肢が広いからこそ、短期的な転職メリットだけでなく、中長期的なキャリア設計を一緒に考えてくれる専門エージェントに相談することが重要です。

VRPパートナーズは、公認会計士・USCPAの転職支援に特化したエージェントです。全コンサルタントが業界経験20年以上のベテランであり、求人票には出ない内部情報や各社の働き方の実態まで把握しています。面接対策から条件交渉まで一貫して支援するため、安心してキャリア形成を任せられる環境が整っています。

USCPA資格者の転職成功事例

ここでは、実際にVRPパートナーズを通じて転職を成功された方の事例を紹介します。

事例①

30代前半の女性は、USCPAを取得後に一般事業会社で貿易事務を担当していました。しかし、資格と英語力を活かしたキャリアに挑戦したいと考え、VRPパートナーズへ相談。

メガバンクでの実務経験やUSCPAのバックグラウンドが評価され、BIG4監査法人のリスクコンサルタント職に転職し、年収も550万円から630万円へとアップしました。

このように、資格を活かしたキャリアチェンジや年収アップを実現できる事例が多数あります。

事例②

20代半ばの男性は、大学在学中にUSCPA試験に合格。準大手監査法人でスタッフとして監査実務を2年間経験し、インチャージとしての役割も担っていました。学生時代からM&A業界で働くことを目標としていたため、監査経験を活かしつつ次のキャリアを模索。

VRPパートナーズでは、Big4系FASの財務アドバイザリー部門をご提案しました。財務DDやバリュエーション業務よりも、お客様に寄り添い価値を最大化できるFA業務に魅力を感じ、見事に転職を実現。年収も650万円から700万円へとアップしました。

USCPAにおすすめの求人一覧

【大手監査法人】会計コンサルタント
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クライアント企業のCFO機能の高度化に向けて、会計の専門性を活かし、以下領域のコンサルティングに従事いただきます。
・IFRS・USGAAP等の会計基準適用支援
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●おすすめポイント
クライアントのCFO機能の高度化に向け、戦略系・BPR系・パフォーマンス系の分野で、
全体構想から業務要件の整理にかかる上流のサービス提供をしています。
クライアントは、大手・グローバル企業~中堅企業をターゲットとして、様々な領域のコンサルティングに従事いただきます。
【大手監査法人】リスクコンサルタント
●年収:700万~1,000万
●業務内容:
・有事対応後の再発防止支援
・データ・AIを活用したリスク予兆管理およびモニタリング
・リスクマネジメント
・コンプライアンスに関連するリスクマネジメント
・ESG(気候変動、人権など)及び地政学等に関連するリスクマネジメント
・内部統制(J-SOX、US-SOX、IT監査)対応
・デジタル技術を活用した最適な内部統制・モニタリングの構築支援
・財務経理・税務・法務・コンプライアンスに対する内部監査(IT監査含む)
・内部監査の品質評価対応
・子会社あるいは海外事業管理を含めた経理ガバナンス

●おすすめポイント
不正対応、内部統制構築、リスク対応などの専門知識を活かし、企業のガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)領域の強化を支援しています。
これにより、企業のインテグリティを高め、AI時代の進化など環境の変化に対応した持続可能な経営基盤を構築するための総合的なサービスを提供しています。
さらに、得意とするこれらの知見を活用し、会計監査における不正リスク対応の体制強化にも深く貢献しています。
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●年収:700万~1,000万
●業務内容:
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・不正対応支援:不正リスク評価支援、モニタリング/改善対応支援
・不正調査:会計不正、品質偽装等の各種調査委員会等の支援
不正調査の対象は、会計不正、資産の不正流用、情報漏洩など、多岐に渡ります。
調査の手法としては、証憑書類の調査、関係者へのインタビュー、関係者が送受信したメールのレビュー、構成員向けアンケートなどがあります。
●おすすめポイント:
・過去数年間の成長率は業界トップクラスで今後も高い成長率が期待されている領域である一方、この領域の専門家が少ない事から同分野での第一人者になれる可能性があります。
・会計監査、経理・財務、法務・コンプライアンス、内部監査など多様なバックグランドの人材がおり、国籍や性別も多様です。
・クロスボーダーの案件が多く、グローバルに活躍できるフィールドがあります。
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まとめ

USCPAは、監査法人において国際案件やアドバイザリー領域で強みを発揮できる資格であり、監査法人以外でもFASや外資系企業など幅広いキャリアに直結します。英語力やグローバルな会計知識を証明できるため、今後のキャリア形成において大きな武器となるでしょう。

一方で、資格をどう活かすかによってキャリアの方向性は大きく変わります。監査法人での経験をさらに伸ばすのか、M&Aや経営企画へ広げていくのか、あるいは海外勤務を視野に入れるのか──選択肢が広いからこそ、慎重に判断する必要があります。

VRPパートナーズでは、公認会計士やUSCPAに特化した転職支援を行っており、一人ひとりの志向やキャリアビジョンに合わせた最適な選択肢をご提案しています。資格を最大限に活かし、将来につながるキャリアを描きたい方は、ぜひ私たちにご相談ください。

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