会計士はフリーランスになるべき?
会計士がフリーランスという働き方を選ぶかどうかは、ライフスタイルやキャリアの方向性によって大きく異なります。たとえば、監査法人での長時間労働や厳しい繁忙期に疲弊し、より柔軟な働き方を望む方にとってはフリーランスは魅力的な選択肢です。一方で、収入の安定性や社会的信用といった観点からはリスクも伴います。
フリーランスの会計士は、監査法人や事業会社に属する場合と異なり、自ら案件を選び、スケジュールを調整できます。専門性を活かしてピンポイントで業務を受託することも可能であり、自分の得意分野に集中できる点は大きな魅力です。ただし、常に案件を獲得し続ける努力が必要で、営業力や人脈の広さが成果を左右するという現実もあります。
そのため、「安定よりも自由を重視したいのか」「キャリアの選択肢を広げたいのか」「一時的に環境を変えて体調や生活を立て直したいのか」といった目的を明確にしたうえで判断することが重要です。フリーランスは万能の選択肢ではありませんが、自分のWillに沿った働き方を実現できる可能性を秘めています。
フリーランスの会計士が行う仕事内容
会計士がフリーランスとして働く場合、携わる仕事内容は多岐にわたります。監査法人や事業会社に勤務していた経験を活かしながら、スポットで依頼を受けたり、非常勤として契約するケースが一般的です。ここでは代表的な業務内容を紹介します。
事業会社の経理財務
事業会社では、決算や開示業務、内部統制の整備などに会計士が関与することがあります。フリーランスの場合、繁忙期のみ数ヶ月間プロジェクト単位で依頼を受けるケースが多く、正社員を雇うほどではないが高度な知見が必要とされる場面で活躍できます。特にIPO準備中の企業や、グローバル展開を進める企業からのニーズは高く、専門性を発揮しやすい領域です。
監査法人での非常勤
監査法人では、繁忙期の人員不足を補うためにフリーランス会計士を非常勤スタッフとして採用することがあります。週数日の勤務や、特定クライアントの監査業務だけを担当するなど、柔軟な働き方が可能です。安定した収入を確保しやすい一方で、繁忙期の時期に仕事が集中するため、体調管理やスケジュール調整が重要になります。転職活動中に一時的に取り組む選択肢としても適しています。
企業や公的機関のコンサルティング
企業の経営課題や公的機関のプロジェクトに、専門家として参画するケースもあります。たとえば、M&Aにおける財務デューデリジェンス、事業再生支援、内部監査体制の構築など、専門性を必要とするコンサルティング業務はフリーランス会計士にとって魅力的な案件です。案件ごとに契約が区切られるため、自分のスキルやキャリアの方向性に合った仕事を選びやすい点も特徴です。
会計士がフリーランスになるメリット

フリーランスという働き方には、会社員にはない魅力があります。会計士としての専門性を保ちながら、自分のライフスタイルやキャリアに合わせて柔軟に働けるのは大きな利点です。ここでは主なメリットを見ていきましょう。
好きな業務を選べる
フリーランス会計士は、案件ごとに契約を結ぶため、自分の得意分野や興味のある業務に集中できます。監査だけでなく、M&Aのデューデリジェンスや事業再生支援、IPO準備など、キャリアの幅を広げることも可能です。自分で案件を選べることで、キャリア形成を主体的にコントロールできます。
時間・場所を選ばずに働ける
フリーランスの場合、案件によってはリモートワークが可能であり、働く時間も比較的自由に調整できます。たとえば、午前中は自宅で資料作成、午後はクライアント先で会議、といった柔軟な働き方ができます。子育てや介護などライフイベントとの両立を考える方にとっても大きなメリットです。
人間関係のストレスがない
監査法人や事業会社に勤務していると、部署間の調整や上司・同僚との関係に悩まされることもあります。フリーランスであれば、基本的にクライアントとの契約関係のみで働けるため、組織特有の人間関係のストレスを軽減できます。案件ごとに関わる人が変わるので、特定の人間関係に縛られにくい点も魅力です。
年収が上がる可能性がある
高い専門性を持つ会計士は、フリーランスとして高単価の案件を獲得できる可能性があります。特にM&Aや再生支援、IPO支援などは需要が高く、スキル次第で会社員時代以上の収入を得ることも可能です。案件数を調整すれば、収入と労働時間のバランスを取りやすいのも利点です。
体調を整え、転職活動に専念できる
心身の疲労や環境のミスマッチを感じたとき、一度フリーランスに切り替えることで、自分のペースを取り戻すことができます。非常勤や短期のプロジェクトで最低限の収入を得ながら、時間を確保して転職活動に専念することも可能です。会社員として働き続けながらでは難しい情報収集や面接準備もしやすく、次のキャリアに向けた準備期間としてフリーランスを活用するのは有効な選択肢です。
会計士がフリーランスになるデメリット
フリーランスという働き方は自由度が高い一方で、会社員にはないリスクも存在します。特に収入面や社会的信用、案件獲得の難しさなどはあらかじめ理解しておくことが重要です。ここでは代表的なデメリットを紹介します。
収入が不安定になる
フリーランス会計士は案件ごとに契約を結ぶため、案件の有無によって収入が変動します。監査法人や事業会社のように毎月安定した給与が振り込まれるわけではなく、繁忙期は高収入でも閑散期には収入が大きく減少する可能性があります。生活費や税金を確実にまかなえるよう、計画的な資金管理が求められます。
ローンの審査に落ちる可能性がある
フリーランスは収入が安定していないと判断されやすく、住宅ローンや自動車ローンの審査で不利になる場合があります。特に独立して間もない時期は、年収が十分でも実績が不足していると信用力が低く見られることがあります。将来的に大きな買い物を予定している方は、この点を踏まえてタイミングを検討する必要があります。
営業力が必要になる
案件を獲得するためには、自ら営業活動を行う必要があります。知人や前職のネットワークを頼る場合もありますが、継続的に案件を受注するには、自分の専門性をアピールしたり、顧客との信頼関係を築いたりする力が欠かせません。特に独立直後は実績づくりに苦労するケースも多く、安定して仕事を得るまでには一定の営業努力が求められます。
フリーランス会計士に必要なスキル

フリーランスとして安定的に活躍するためには、会計士としての知識や経験だけでなく、独立した立場ならではのスキルも必要になります。ここでは特に重要な3つのスキルを紹介します。
コミュニケーション能力
案件を獲得するには、専門知識を持っているだけでなく、依頼主との信頼関係を築くことが欠かせません。顧客が求めていることを正確に把握し、分かりやすく説明できるスキルがあると、継続的な依頼や紹介につながります。フリーランスは組織に守られる立場ではないため、自ら顧客対応を行う力が非常に重要です。
専門性
監査や会計業務の基礎力は当然のことながら、M&A、事業再生、IPO支援、フォレンジックなど、特定の分野に強みを持っていると案件の獲得がしやすくなります。特定領域の専門家としてポジションを確立することで、単価の高い案件や長期的な契約にもつながりやすくなります。
基礎スキル
フリーランスとして働く以上、実務以外の事務処理もすべて自分で行う必要があります。請求書や契約書の作成、確定申告に関する知識、基本的なPCスキルは欠かせません。特に経理や税務に関する作業は、信頼性を左右するため、最低限の事務スキルを整えておくことが重要です。
会計士のキャリアについてはVRPパートナーズへ
フリーランスという働き方は、自由度が高くキャリアの幅を広げられる一方で、収入の不安定さや営業の難しさといったリスクもあります。そのため「本当に独立を続けていくのか」「転職して安定した環境に戻るのか」を見極めることが重要です。
VRPパートナーズは、公認会計士に特化した転職エージェントとして、多くの会計士のキャリア支援を行ってきました。監査法人や事業会社、FAS(Financial Advisory Services)、コンサルティングファームなど、幅広い選択肢を提示できるのが強みです。フリーランスとして一時的に働きながら、次のキャリアを探したい方にとっても、最適な求人やキャリアパスを提案することが可能です。
キャリアに迷ったときは一人で悩まず、専門のサポートを受けることでより納得のいく選択ができます。
会計士におすすめの求人
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| 【独立系コンサルティング会社】事業再生コンサルタント ●年収:700万~1000万 ●業務内容: 事業・財務の一体的な再構築支援を通じて、企業の収益力強化・財務状況の適正化を実現し、再生に向けたスキームの構築から各種実行手続きまで総合的に支援。 <具体的な業務内容> ・事業・オペレーション・財務の再構築(リストラクチャリング)支援 ・課題把握のためのDD及びキャッシュフロー改善支援 ・事業再生計画・構造改革プラン策定支援 ●おすすめポイント: ・「財務と事業の両輪」でのアプローチを強みとして、中堅中小企業から大企業に対して幅広いサービスを提供 ・経営者に寄り添って経営の視点で考えること、机上の空論にならないようにレポーティングだけではなく「実行支援」を重視したサービスを提供 ・海外にも拠点を有する事から現地の市場調査、現地企業との資本提携・業務提携を提供するなどアジア、北米、ヨーロッパなど日本企業の海外展開を支援 |
まとめ
会計士がフリーランスになることで、業務の自由度や働く場所・時間の柔軟性を手に入れられます。一方で、収入の不安定さや社会的信用の低下といったデメリットも存在し、必ずしも誰にでも適した働き方とは限りません。
特に、今の環境に疲れてしまった方にとっては、非常勤や短期案件を受けながら体調を整えつつ転職活動を進める「準備期間」としてフリーランスを選ぶのも有効な手段です。その後のキャリアの方向性をどう描くかが何より重要になります。
将来のキャリアを真剣に考えるなら、専門的な知見と豊富な支援実績を持つVRPパートナーズに相談し、自分に合った最適な道を見つけてみてください。