2025.06.18

公認会計士

公認会計士は在宅で働ける?向いている職種や在宅求人の探し方

公認会計士は在宅で働ける?向いている職種や在宅求人の探し方
リモートワークが一般化した今、公認会計士として「在宅で働ける仕事はあるのか」と考える方も増えています。従来の会計士業務は対面や出社が前提とされることが多かったものの、近年はクラウドツールや柔軟な働き方を取り入れる企業も増え、在宅勤務が可能な領域も広がってきました。

本記事では、公認会計士が在宅勤務できる職種や業務内容、在宅勤務が難しい業務との違い、さらには柔軟な働き方を実現するための転職活動のポイントまでを詳しく解説します。在宅勤務を希望する会計士の方にとって、現実的かつ具体的な判断材料となる内容をお届けします。
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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

公認会計士は在宅勤務可能?

コロナ禍をきっかけに多くの職種でリモートワークが普及しましたが、公認会計士にとっても在宅勤務は現実的な選択肢となりつつあります。特に、企業や事務所側でも柔軟な働き方を受け入れる動きが進んでおり、「会計士=常にオフィス勤務」というイメージは薄れつつあります。

2020年に実施された日本公認会計士協会近畿会のアンケート調査では、大手監査法人勤務者の半数近くがテレワーク中心となっており、中小監査法人でも、不定期にテレワークができる環境であると答えた人は32.3%になっています。

参考:ワーク・ライフ・バランスとキャリアに関するアンケート調査結果(2022年版)

一方で、すべての業務が完全に在宅で完結するわけではなく、業務特性や企業側の体制によっては、出社やクライアント先への訪問が必要なケースもあります。在宅勤務を希望する場合は、自分のスキルやキャリアを活かせる働き方が可能な環境を見極めることが大切です。

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在宅勤務がしやすい会計士の職種

在宅勤務に向いているのは、業務の多くがデータや資料のやり取りを中心とし、プロジェクト単位で完結できる職種です。コミュニケーションがオンラインで成立しやすく、成果物ベースで評価される環境では、会計士も高いパフォーマンスを発揮できます。

たとえば、以下のような職種は在宅勤務との相性が良いとされています。

FASデューデリジェンスやバリュエーションの資料作成、報告書レビューなど、個別作業が中心。
コンサルティングファームプロジェクトベースで進行しやすく、打ち合わせ・納品をオンラインで完結できるケースも多い。
IPO準備・開示支援業務有価証券報告書や内部統制文書などの作成支援は、在宅でも対応可能な業務が多い。
社外CFO・財務顧問(業務委託)スタートアップや中小企業の財務支援をリモートで行う働き方。会議や資料のやり取りもオンラインが中心。

いずれも、「アウトプット重視」の業務スタイルであれば、出社せずとも責任ある仕事を担うことができます。

在宅勤務がしづらい会計士の職種

一方で、クライアント先への訪問が必要であったり、物理的な資料の確認を伴う業務などは、在宅勤務との相性が良くありません。以下のような職種では、対面での対応や出社が求められることが多い傾向にあります。

監査法人の現場監査業務クライアント先への訪問や、ヒアリング・実査の立ち会いが多く、完全在宅は困難。
税理士法人での税務対応紙の領収書や原始資料をもとに業務を進める場合が多く、特に中小企業や個人顧客を担当する際は対面対応が中心。
内部監査(特に出張あり)グループ会社や全国拠点を巡回する業務は、現地確認が必須であるため、在宅だけで完結するのは難しい。
未経験者のOJTが必要なポジション新人や育成対象のメンバーがいるチームでは、対面での教育や細かなコミュニケーションが求められるため、出社が前提となることが多い。

これらの職種でも、一部の業務はリモート化が進みつつありますが、完全在宅を希望する場合はポジションの選定に注意が必要です。

在宅勤務ができる公認会計士の仕事

公認会計士の業務の中には、オフィスやクライアント先に出向かなくても対応可能な業務も多く存在します。ここでは、特に在宅勤務と相性が良いとされる会計士の仕事の具体例をご紹介します。

監査法人での監査調書作成やレビュー業務

監査法人においても、現場調査や実査といった対面対応を伴わない業務は、在宅勤務で行われるケースが増えています。たとえば、監査調書の作成やレビュー業務など、資料に基づく検討や文書の整理・確認は、クラウド環境下での作業が可能です。

特に大手監査法人ではリモートアクセス環境が整っており、期中や期末の監査においても、在宅で一定の業務を担うことができる体制が構築されています。監査チーム内のコミュニケーションも、チャットツールやオンライン会議でカバーされており、柔軟な働き方が進んでいます。

開示書類作成や内部統制資料のチェック業務

有価証券報告書や四半期報告書といった開示書類の作成支援や、内部統制の文書レビュー・整備支援は、データや文書を扱う業務のため、在宅での対応がしやすい分野です。

IPO準備企業や上場企業の開示体制構築を支援するポジションでは、クライアントとのやり取りも主にオンラインで完結できる場合が多く、場所に縛られずに働ける環境が整っています。資料のレビューや指摘対応、ガイドラインに沿った改善提案など、専門性が求められる分野だからこそ、会計士の強みを発揮できます。

コンサル・FAS領域のリモート対応例

経営コンサルティングやFASといった領域でも、業務内容によってはリモート対応が可能です。特に、財務デューデリジェンス(DD)の報告書作成や、バリュエーション資料の作成など、分析・資料作成を中心とした業務は、在宅勤務での遂行がしやすい傾向にあります。

実際、クライアントとの打ち合わせや進捗報告もオンラインで行われることが増えており、案件ごとに在宅対応を前提としたアサインがされるケースも増加しています。FAS領域の中でも、分析やレポーティング業務を得意とする会計士にとって、在宅勤務は実現しやすい選択肢です。

社外CFOやフリーランス会計士としての在宅案件

近年は、スタートアップ企業や中小企業の社外CFOとして関与するフリーランス会計士の働き方も一般化してきています。経営数値の見える化、資金繰り管理、予算設計、資本政策の支援など、戦略的な業務を在宅ベースで行うケースが増えています。

また、フリーランスとして活動する会計士の場合、自身でクライアントを選び、働く時間や場所をコントロールできるため、在宅ワークと非常に相性が良い働き方です。顧問業務、開示支援、経理代行といった案件を業務委託で請け負いながら、複数の企業に関与する「複業型会計士」として活躍する方も増えています。

公認会計士が在宅勤務をするメリット

在宅勤務は、働き方の自由度を高めるだけでなく、公認会計士としてのパフォーマンス向上にもつながる面があります。ここでは、在宅勤務ならではの代表的なメリットを紹介します。

通勤時間を削減できる

もっとも大きな利点のひとつは、通勤にかかる時間と体力を省略できることです。とくに繁忙期の長時間勤務が発生しがちな業務では、自宅での業務開始・終了ができることは大きな負担軽減になります。その分、休息や自己研鑽に充てる時間も確保しやすくなります。

集中しやすい環境で作業できる

在宅勤務では、オフィスに比べて話しかけられたり突発的な会議が入ったりすることが少なく、自分のペースで業務を進めやすい傾向があります。監査調書の作成や財務資料のレビュー、開示書類の精査など、集中力が求められる業務においては、在宅のほうが生産性が高いと感じる会計士も多くいます。

家庭や育児との両立がしやすい

特に小さなお子さんがいる方や、家族の介護を担う方にとって、在宅勤務は柔軟な働き方を可能にします。通勤時間が短縮するため、業務と家庭を無理なく両立できる環境を築くことができます。

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公認会計士が在宅勤務をするデメリット

一方で、在宅勤務には注意すべきデメリットも存在します。快適に働ける環境を整えるためには、あらかじめこうしたリスクを理解し、対策を講じておくことが重要です。

チームとのコミュニケーションが取りづらい

在宅勤務では、同僚とのちょっとした相談や確認がしづらくなり、意思疎通に時間がかかることがあります。特に監査やプロジェクト業務など、複数名で連携しながら動く仕事では、コミュニケーションの齟齬が発生しやすい点に注意が必要です。

情報管理・セキュリティリスク

会計士の扱う情報は、財務データや契約書、機密資料など機微なものが多く、在宅環境でのセキュリティ対策が不十分だと情報漏洩のリスクが高まります。パソコンやネットワーク環境の整備、ファイルの取扱ルールなど、万全な管理体制が求められます。

自己管理が求められる

在宅勤務では、時間管理やタスクの進捗管理を自ら徹底する必要があります。周囲の目がない環境では、集中力が途切れたり、オンとオフの切り替えが難しくなるケースもあります。生産性を維持するには、自律的な働き方が不可欠です。

キャリア形成や評価が見えにくくなる可能性

特に企業勤務の会計士にとっては、在宅勤務が多いと上司や他部署との接点が減り、自分の業績が伝わりづらくなることもあります。対面でのやり取りが少なくなることで、評価や昇進の機会に影響が出ることを懸念する声も少なくありません。

公認会計士が柔軟な働き方を実現するには?

多様な働き方が求められる時代において、公認会計士も「在宅勤務」や「フレックス勤務」といった柔軟なワークスタイルを実現したいと考える方が増えています。ただし、働き方の選択肢を広げるには、求人選びの段階から明確な基準を持つことが大切です。以下では、会計士が柔軟な働き方を叶えるための具体的なアプローチを紹介します。

在宅勤務やフレックス制度のある求人に的を絞って探す

柔軟な働き方を第一に考えるのであれば、はじめから制度として在宅勤務やフレックスタイム制を導入している求人に的を絞ることが効果的です。とくに近年では、IPO準備企業やSaaS系ベンチャー、グローバル展開を進める事業会社などが、柔軟な勤務形態を前提とした人材採用を進めています。

求人票の段階では見えにくい部分もあるため、勤務形態の実態や運用ルールを事前に確認し、自分の希望する働き方と合致しているかを見極めることが重要です。

働き方に理解のある企業文化や制度を重視して転職先を選ぶ

制度が整っていても、実際には「取りづらい雰囲気」がある企業も少なくありません。柔軟な働き方を持続的に実現するには、制度だけでなく文化やマネジメントのスタンスも含めて、働き方への理解がある企業を選ぶことが大切です。

たとえば、評価基準が労働時間ではなく成果に基づいているか、子育てや介護との両立に対するサポート体制があるか、といった点を確認しておくと安心です。実際の職場の雰囲気を知るには、社員インタビューや口コミ、面接時の質問を通じた情報収集も効果的です。

公認会計士の働き方に詳しい転職エージェントを活用する

柔軟な働き方を実現するためには、求人票だけでは見えづらい「働き方の実態」や「組織風土」まで踏み込んだ情報を得ることが重要です。そのためには、公認会計士のキャリアや職場事情に精通した転職エージェントを活用することが、有効な手段のひとつです。

たとえば、在宅勤務の実施率やフレックス制度の運用実態、実際に制度が活用されているかといったリアルな情報は、企業との信頼関係があるエージェントだからこそ把握できる部分です。また、「ワークライフバランスを重視したい」「育児と両立しやすい環境がいい」など、個人の価値観に合った求人を選ぶ際のアドバイスも受けられます。

転職活動を成功させるには、単に職種や年収だけでなく、「どう働くか」までを含めた視点で検討することが欠かせません。働き方に対する希望がある方こそ、専門性のあるエージェントに相談することで、理想のキャリアに近づけるはずです。

柔軟な働き方を目指すなら、VRPパートナーズにご相談ください

「在宅勤務が可能な職場で働きたい」「フレックス制度のある企業に転職したい」と考えていても、実際にそのような求人を自力で見つけるのは簡単ではありません。特に、公認会計士として専門性を活かしつつ柔軟な働き方を実現するには、業務内容と働き方のバランスを正確に把握する必要があります。

VRPパートナーズは、公認会計士のキャリア支援に特化した転職エージェントです。大手監査法人をはじめ、FAS、事業会社など、幅広いフィールドにおける非公開求人を多数保有しており、柔軟な働き方を重視したい方にもマッチする案件をご紹介可能です。

在宅勤務や時短勤務、副業可などの条件はもちろん、組織風土や働き方の実態なども丁寧にヒアリングし、将来を見据えたキャリア設計をサポートいたします。柔軟な働き方を実現したいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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まとめ

公認会計士にとっても、在宅勤務やフレックス制度を活用した柔軟な働き方は、今や現実的な選択肢となっています。業務内容や所属先によって実現のしやすさは異なるものの、制度が整った環境を選ぶことで、自分らしく、長期的に働けるキャリアを築くことが可能です。

柔軟な働き方を叶えるには、制度の有無だけでなく、実際に活用しやすい企業文化や支援体制があるかを見極めることが重要です。そのためにも、公認会計士の働き方に詳しい転職エージェントと連携し、自分に合った環境を見つけていきましょう。

VRPパートナーズでは、皆さまのライフスタイルや価値観に寄り添ったキャリア支援を行っております。柔軟な働き方を実現し、専門性を活かしたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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